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#2.5 一人飲 -after a festival-

※これから読まれる方へ


 ナンバリングが"4"ではなく"2.5"になっているのは、"2"から繋がる"上映作品"の後日談になっているためです。

 ナンバリングの意味が分っている方がほとんどだとは思いますが、まあ念のためということで。

 上映会当日の午後10時、"バー O.S.T"にて。


 上映会も終わり、ホールの片付けも今日できる分は終わらせて、水瀬は一人カウンターで飲んでいた。

 彼はホールで何かしらのイベントがあると、終わった後に独りバーで飲むのを習慣としていた。


 当然この日は上映会のため、バーは臨時休業にしている。

 火置は少しばかり片づけを手伝った後、夜食を作るということで家の方に戻っていった。

「はぁ、やっと終わったなぁ……。3時間位の映画だったのに妙に長くて、倍以上の時間が流れた気がしてなんか疲れた。まぁ3時間でも最近からしたら長いのは長いけど……」

 独り()ちる水瀬の言葉を、手の内のグラスとカウンターだけが聞いていた。





「ふう」

 数杯飲んだところで水瀬は、グラスをカウンターに置き一息ついた。

 そのカウンターに置いたグラスの氷が転がり音を立てた瞬間、ドアベルの音が響く。

 水瀬がドアの方へ目を向けると、店に入ってきたのは森だった。

「あっれー、水瀬さんまだいたんですかぁ? でもそっち側で飲んでいるなんて珍しいですね」

 彼女は水瀬がカウンターの外側で飲んでいるのを見て軽く目を見開き、彼の隣のスツールにちょんと腰掛ける。

「まだって……。ドア開けて入ってきたのに、まだいるってどういうことですか? それに、ここの店員は私一人ですよ」

 森の少し天然な物言いにオイオイと思う水瀬だったが、別に怒るようなことでもないのでおちゃらけるような感じで返した。

「あははは、そういえばそうですねぇ。こりゃ失礼しました」

「ん?」

 彼女の返事に、何かいつもと違う雰囲気を感じた水瀬は軽い調子で聞いてみる。


「あ~、もしかして飲んできていらっしゃる?」

「ああ、はい。さっきまで会社の人達との打ち上げで飲んでたんですけどぉ、どうもアンケートでの評価がイマイチだったみたいで、映像技術部の人に散々嫌味言われたんですよぉ。やれ営業1課からの脚本が悪いだの、営業2課のプレゼンが悪いだの、ホールの音響が悪いだの、招待する顧客の選別を間違っているだのって自分たちの事は棚に上げて、こっちの所為にばかりされたんですよぉ」

「はぁ、そうなんですか」

 水瀬としては映画の内容について、少し長いなと思っただけで別に面白くないとは思っていなかった。

 しかし、評価が悪いのを人の所為にできるほどいい作品だったか、といわれると首を傾げるところではあったが。

「それで、最初は黙って聞いていたんですけどぉ、あんまりうるさいから水ぶっかけて出てきちゃいました。それで、そのまま帰るのもなんだしと思って、ここまで来たら明かりが点いていたから入っちゃいました」

「それは、また……」

 森の言うことも理解できるが、かといって水を掛けられるほどの事だったのかといわれると、さすがにそれはどうかと思い引き気味に呟く水瀬だった。


 しかし彼女の次の言葉に、さもありなんと頷くことになる。


「まぁ確かに水をぶっかけたのは少しやりすぎだったかもですけど、私達を落とすだけ落としておいて手を握ってきたり肩を抱いてきたり、挙句には"この後、付き合えよ"なんて馬鹿にするのもほどがあります! んっとに、セクハラで訴えてもいいくらいですよ! そう思いません、水瀬さん!?」

「ああ、うん、そうだね。その怒りはよく分かるよ……」

 水瀬も森の思いそのものには共感しているものの、自分で頷いたというよりは相手の剣幕に押されて頷いてしまったという感じだった。


 しかしこのまま続けても森の愚痴を延々と聞かされる羽目になりそうだと感じた水瀬は、流れを変えるべく彼女に殊更明るく声を掛ける。

「あ~、ところで、何か食べてこられました? 私は今から夜食を取るつもりなのですが、森さんも良かったら一緒にどうですか?」

「え~、いいんですかぁ? 実は打ち上げでは食事も出ていたんですけど、あんな事があってすぐ出てきちゃったんでほとんど食べてないんですよぉ」

 森がそう言った瞬間、カウンターの下の方から何か空気を搾り出すときのような音がした。

 その音に水瀬は声に出さずクスリと笑い、カウンターに置いていた携帯電話を開いてどこかへ掛け始める。

「ああ、俺。夜食って何作ってんの? ああ、そう。悪いけど一人前増やせる? いや、今、森さんが来ててね、何も食べてないっていうもんだから……。あ、OK? それじゃ悪いけど頼むよ」

 どうやら水無瀬が電話をかけた先は、自宅にいる火置へらしい。

 森の方はというと、自分の分も出てきそうなことに顔が期待感で一杯になっていた。





 それから15分ほどして店の奥の方から、何かが軋む音と共に誰かが入ってくる気配がする。

 2人が音の方へ目を向けるとそこには火置がいて、何やら白いものを載せてラップを被せた大皿を持っていた。

「ああ、いきなり悪いな、火置」

「まあ、材料は前に買い込んだ分があったから、その辺は問題ないさ。あれ? 森さん、そういえばあの後に打ち上げがあるとか言ってなかったっけ?」

「はあ、そうなんですけど……」

 火置の一言に、何となく森が凹みそうな気がした水瀬は会話に割って入る。

「まあ、火置、その辺はまた後でゆっくり話すよ。それより早く食わせてくれ、何か俺もそれ見たら腹が減ってきたよ」

「おお、すまん。今回は先日の豚ロースがあったから、カツサンドを作ってみたんだ。森さん、揚げ物ってぇかトンカツはOK? ……って、聞くまでもなかったか……」

 火置は最近の女性がダイエットなどの関係であまり揚げ物を食べないと聞いた事があり、念のため聞いてみたが、森の目はごちそうを前にした子供のようにキラキラと輝いていた。


 火置はカウンターの中に入ると、2人の前に皿を置きラップを外した。

「どうぞ、召し上がれ」

「「いただきます」」

 火置の声に水瀬と森はカツサンドを手に取り、火置も一切れ摘む。

「ふむ、まぁこんなもんかな」

「いやいや、冗談抜きに美味いぞ、これ」

 火置の自己評価に、それを否定しつつ賛辞を送る水瀬。で、会話に入っていない森はというと。

「このカツサンド、すんごく美味しいです!」

 喜色満面で、カツサンドを頬張っていた。

 森の様子にホッとした水瀬だったが、すぐに落胆した顔になって火置を見上げる。

「あ~、火置? 材料まだあったか?」

 皿の上にはパンくずすら残っていなかった。


 ちなみに火置が用意したのは、1人3切れのつもりで9切れだった。

 1切れの大きさは食パンを3等分したもので、中のトンカツも食パンから少しはみ出るくらいのものを使っていたため、3切れもあれば夜食としてはいいのでは、と火置は踏んでいたのだが……。


「ごめんなさい! ごめんなさい! ……」

 森は自分がカツサンドを平らげてしまった事に気付くと、スツールを降りてコメツキバッタのように何度も頭を下げる。

 さすがに水瀬も食べていいといった手前、なんとも言えず苦笑するしかなかったが、それでもなんとかこの場をとりなそうと口を開く。

「まあまあ、そんなに謝らなくてもいいよ。食べていいと言ったのはこっちだしね、気にしないでよ」

 その時の火置はというと、水瀬と違いすごく嬉しそうな顔をしていた。

「そうそう。やっぱりさぁ、あれだけ夢中になって食ってくれると、作った方としては下手な賛辞よりも嬉しいんだよね」

「うん、そうだよな。酒を()いでも難しい顔で飲まれるより、美味しそうな顔で飲んでくれる方が嬉しいからね」

 火置は全部食べたことについては何も言わず森の食べっぷりを賞賛し、水瀬も彼の言葉尻に乗る形で森を慰めた。

 もっとも火置としては、自分が作った料理を夢中になるくらい美味しく食べてくれたのが嬉しかっただけなのだが。


「まぁ、火置もああ言ってますし、もう謝らないでください。ああ、そうだ。よかったらアレの上のやつ、飲んでみませんか?」

「はぁ、そうですか、分かりました。では、お言葉に甘えさせていただきます」

 水瀬の言葉に森はようやく謝罪を止めスツールに座り、それと入れ替わるように水瀬が席を立った。

 それからカウンターに入った水瀬は、そこにいる火置に声を掛ける。

「火置、お前も飲むだろ? 今から作るから、お前も何か作ってきてくんない?」

 水瀬の頼みに火置は軽く顔をしかめるが、すぐにパッと明るい表情になって彼に思いついた事を話す。

「ああ、それはいいが、カツサンドにしても食パンはさっき使い切ったんだよなぁ……。そういえば……、おい水瀬、家にあったアレ使っていいか?」

「あれかぁ、明日店で使おうかと思っていたけどまあいいか。いいよ使ってくれ」

「おっし。んじゃま、作ってくるとするか。あ~、森さんはまだ食べられる?」

 火置の提案に水瀬は一瞬考え込むしぐさをするがすぐに承諾し、それを聞いた火置は一つ頷き森の方へ向いた。

「はい!」

 返事をする森の声音は、すごく嬉しそうだった。

 




「んじゃ水瀬、作るのに30分ほどかかるから、俺の分は帰ってきてから作ってくれ」

「ん、分かった」

 水瀬は火置が出ていくとカウンター下の冷蔵庫から材料を取り出し、砕いた氷と一緒にシェイカーに入れてシェイクする。

 材料が混ざりにくいのか普通より少し長い時間をかけてシェイクし、あらかじめ用意していたグラスにシェイカーの中身を入れ森の前に置いた。

「どうぞ、(ぬる)くならないうちに飲んでくださいね」

「はい、ありがとうございます。……あれ? これって見た目はグラスホッパーっぽいんですけど、あまり甘くないし緑が少し濃いですね」

 グラスの中身を一口含んだ森は、少し首を傾げて水瀬を見た。

「そうなんですよ。実はこのカクテル、詳しいレシピは言えませんがベースをグラスホッパーと違う材料で作っていまして。ただ色と爽快感を出すのにミントリキュールは使っていますが。あと生クリームに相当するものなんですけど、実はレシピを教えてくれたミントさんのオリジナルで何を使っているのか知らないんですよ。彼女もそれのレシピだけは教えてくれなかったので、これについては予め彼女に連絡して作っておいてもらうんです」

 水瀬は日頃あのカクテルについて語ることがあまりないからか、珍しく饒舌になっていた。


「はぁ、そうなんですか。でも不思議ですね、これだけを飲んでも全然あの状態にならないなんて……」

「はは、そうですね。そのことは作ったミントさんも不思議に思っているようで、たまたま何の気なしに重ねたらこうなったと言っていましたよ」

「水瀬さんにレシピを教えた方って、何だか面白い方みたいですね」

「そうですね、確かに面白い方でした。色んな方がここに訪れましたが、飲み代の代わりにレシピを置いていった人なんて初めてでしたよ。それからもたまに来ては、店の手伝いをしてくれてましたからねぇ。今はどこにいるのやら」

「え? その方って、お店を持っているわけじゃないんですか?」

「はい。一応どこかの店で修行はしたらしいですけど、いろんなバーを回りたいとかであっちこっちを旅してますよ。それで手持ちが少なくなると、行った先で仕事して旅費を稼いでいるそうです」

 水瀬にとって"ミント"という人物は彼の中でかなり印象深いようで、彼女を語る彼の声はどこか憧憬を含んでいるように森は感じていた。





 それからしばらく2人が他愛もない話を続けていると、店の裏口から大皿を持った火置が入ってきた。

 彼の持った大皿の上には、細長いパンのようなものが20個近く積まれていた。

「お待たせ。ありゃ、2人とも話が弾んでいたようだな、おじさん邪魔だったかな?」

「そんなことはないよ。で、今度は何を作ってきてくれたんだい?」

 2人の楽しげな様子を見ておどける火置に、水瀬は軽く流しつつ話題を大皿のほうに変える。

「ああ、今度はホットドッグならぬ"カツドッグ"だ。さっきの材料がパン以外はまだあったんでな、パンに敷くキャベツをさっきは辛子マヨネーズで和えたものをカレー粉で炒めたものに換えて、カツにつけるソースにちょいとレモン汁を加えたくらいで後は一緒さ」

「でも、さっきのも美味しかったですけど、何だかいい匂いがしてそれもすごく美味しそうですねぇ」

 森は先程の事から少し抑えてはいるようだったが、火置の大皿を腹を空かせた子供のような目で見ていた。


 火置がカウンターに大皿を置くと、水瀬が誰よりも早く1つ摘み取った。もしかすると森に食べきられる前に確保しようとしたのかもしれない。

「おいおい水瀬よ、さっきの事も考えて量を増やしたんだ、そんなに急がなくてもお前の分くらいはちゃんと残るよ……たぶん……。ああ、森さんもさっきの事は気にせず食べてね」

 火置は水瀬の行動に半ば呆れた様子で彼を窘めつつ、森にも如才なく声を掛けた。ちなみに水瀬への言葉の最後である"たぶん"は、さすがに彼に聞こえない程度に落としていたが。

「あっ、いいんですか? では、いただきます♪」

 森は火置が入ってきた時からゴーサインを待っていたようで、彼から許可が下りた瞬間には既に一つ目のカツドッグを摘んでいた。


「わぁ、やっぱりこれもすごく美味しいですぅ。あ、すみません、もう一ついいですか?」

「ふむ、これならまあまあってところかな。……ん? ああ、さっきよりもたくさん作ったからな、遠慮なくどうぞ」

「これもまあまあって……。お前どんだけ自分に厳しいの。さっきもそうだが、これも十分美味いぞ」

 3人が舌鼓を打って談笑に興じている時、不意に水瀬が2人に声を掛ける。

「コーヒー淹れるけど、飲む?」

「え? あ、はい、いただきます」

「ああ、俺の分も頼む。っていうか俺が淹れようか?」

 隣に立っている火置が、夜食のついでと水瀬に提案した。

「いや、お前が上手いのは知っているけど今回はいいよ。また今度時間があるときに頼む」

「そうか。んじゃ、よろしく」

 火置は自分の提案が蹴られた事に何も思わなかったのか、水瀬の返事に一つ頷くとカウンターから出て森の隣に座る。

 火置がカウンターから出ると水瀬はカウンター下の棚からコーヒーメーカーとミルを取り出し、別の棚から豆の入った袋を取り出して必要分だけ豆をミルに入れるとガリガリと挽き始めた。





 火置が森の隣に座ると、彼女がすぐに話し掛けてきた。

「火置さんって料理できるんですねぇ、私尊敬しちゃいます。私実家住まいだから、つい母にお任せになっちゃって簡単なものしかできないんですよ」

「いやまぁ、うちは母子家庭で、加えて母親が仕事で役持ちだったから帰ってくるのがいつも遅くてね。腹が減っても飯作ってくれる人がいなかったから、自然とそうなっただけだよ」

 火置が森の言葉に謙遜していると、コーヒーの方は待つだけになったのか水瀬が会話に入ってくる。

「実は火置ってば、家事全般なんでもできるんですよ。今一緒に住んでいるんですけどね、飯は美味いわ掃除洗濯もできるわ、ホント女なら嫁に貰いたいくらいですよ。ということでどうです森さん、こんな優良物件中々ないですよ」

「そうですねぇ、これはいい買い物かも……」

 水瀬の火置に対する褒めているのかからかっているのか分からない物言いに、森は考え込むように首を傾げた。

「ちょっ、おま、なに言ってやがる!」

「おっと、そろそろコーヒーができるな。森さん、もうちょっと火置の相手お願いしますね」

 水瀬と森の話に声を上げて抗議する火置だったが、水瀬は彼を完全にスルーしてその場を離れていった。

「はい!」

「水瀬、おい、こら待て! 森さんも話に乗らないでっ! あ~もうっ!」

 自分の抗議を水瀬と森のどちらにもスルーされた火置は、その憤りをぶつけるかのようにムッとした表情でそっぽを向いた。


「ほい、お待たせ」

 それからすぐ、水瀬の声と共に火置と森の前にそれぞれカップが置かれる。

 挽きたての豆から淹れられたコーヒーから立ち上る甘い香りに、直前まで不機嫌だった火置の表情も緩んだように見えた。

 火置と森はほぼ同時にカップを手に取り、しばし立ち上る香りを楽しんでから口を付ける。

「わあ、すごくいい香りがします。家ではインスタントしか飲んだことがないから、挽きたての豆で入れたコーヒーってこんなにいい香りがするんですねぇ。味も濃いんだけど、どこかスッキリして美味しいです」

「ふん、まあままだな。でも以前に淹れてくれた時よりは上手くなっているじゃないか」

 素直に称賛の意を示す森とは対照的に、火置は上から目線で評価を述べた。

 2人からの意見を聞いた後、水瀬は表情を緩め森の方へ顔を向ける。

「私が淹れたコーヒーに、過分なお言葉をいただきありがとうございます。まあ正直なところ、森さんの隣で偉そうな顔をしているヤツの方がうまく淹れられるのですが、彼にしてもらうと少々時間がかかりますので……」

「はあ、そうなんですか。だったら、今度は火置さんが淹れたものを飲んでみたいですね」

「…………」

 水瀬の"偉そうな"のあたりで火置はまたムッとしたが、森の言葉にすぐに満更でもない顔になった。

 それから水瀬が火置をいじり、火置が彼にツッコむのを見て笑う森、なんのかんのいって楽しげな3人だった。





 しばらく3人での談笑は続いていたが、ドアベルの音でそれが中断される。

「ああ、すみませんが本日は臨時休業なので……」

 水瀬が入ってこようとした客へ断りの言葉を口にするが、入ってきた者達を見てその口を閉じた。

「よう、(かず)ちゃん。ほら、言っただろ? 開いてるって」

「こんばんは、水瀬君。すまないね、こんな時間から」

「こんばんは。おや、森さんじゃないか。今日はお疲れ様だったね。火置君もこんばんは」

 入ってきたのは、相羽・東森・高橋の常連3人組だった。

「あ、どうも、こんばんはです」

「皆さん、先程はどうもありがとうございました」

 3人からの挨拶に火置は首だけ彼らに向けて、森はスツールから降りて頭を下げた。


 常連の3人がスツールに座ると、水瀬はそれぞれにおしぼりを渡しながら聞いた。

「どうしたんです、こんな時間から? もう時間も時間ですし、今日はてっきり来られないとばかり思っていましたが」

 問われた3人は一瞬口を閉ざすが、東森が彼らを代表する形で話し始める。

「実は先程まで3人で商店街の居酒屋で飲んでいたのだけど、家路につこうとした段で相羽が急にここへ行こうと言い出したんだよ。そういえば、最近相羽は夫婦喧嘩をやらかしたと聞いていたから、家に帰り辛いのだろうと思って付いてきたのだが開いていてよかったよ」

「お、おい、東森! そんな事まで言わなくてもいいだろう!」

 相羽はさすがに恥ずかしいのか東森の話に声を上げて立ち上がるが、東森は彼を無視して水瀬に話しかけていた。


 東森の行動に相羽は、不機嫌な顔でスツールに座り直すしかなかった。

 と、そこで隣に座っている高橋が、相羽の肩を叩いて彼に話しかける。

「相羽よ、気持ちは分かるがそんなことはいずれ周りにも分かることだ、だからいつ言っても変わらんだろう。それに一燈(かずと)君はそんなことわざわざ言い触らしたりしないよ。なあ」

「はい。バーでの会話はバーの外には出さない、それが私達バーテンダーとお客様との不文律ですし、それを守ることが私達の矜持ですので……」

 高橋に話を振られた水瀬は、接客用の笑顔から一転して真面目くさった顔で己の矜持を語った。

 しかし次の瞬間、先程の顔が嘘のようにまた笑顔に戻って口を開く。

「なんて。実はこれ師匠の受け売りなんですよ。でも、私自身そうしなければ、と思っていますのでここでの話を外に言うような真似はしませんよ」

「まあ、一ちゃんのことだから、周りに言い触らすことはないってのは分かってるんだけどさ。やっぱり言われたくないことってあるじゃない」

 相羽が漏らした言葉に彼が落ち着いたのを見て取った水瀬は、火置達の方へ目を向ける。

 水瀬と目が合った火置は、彼が落とした視線の先にある物に気付くと目で彼に頷いた。


「そうですね。まあ、そんな話はこの辺で、皆さん良かったら召し上がりませんか?」

 水瀬はそう言うと、大皿のカツドッグを1個づつ別の皿に載せて彼らの前に置いた。

「へえ、どうしたんだいこれ。一ちゃんが作ったのかい?」

 カツドッグを見た相羽は、水瀬とそれを交互に見て口を開いた。

「いえ、これは火置が夜食のために作ったものです。私たちは先に頂いたので、お三方でどうぞ。あとコーヒーも淹れますので少々お待ちください」

 水瀬が常連3人の前にコーヒーを置くと、彼等はカツドッグを手に取った。

「へえ、旨いじゃない、これ。どこかで買ってきたと言われても、あっさり信じちまうよ」

「ふむ、近所のパン屋のヤツがこの辺じゃ一番と思ったが、これはそれに匹敵、いや旨いかもしれないな……」

「キャベツが炒められてしんなりしつつも、シャキシャキ感を完全に失っていない……。火置君、これうちの店で出さないか?」

「どうもありがとうございます。ですが素人の手慰みですので、すみませんが店に出すというのは勘弁してください」

 カツドッグを食べた3人が3人共言い方は違えど概ね良好な評価をされた事に、火置は子供のように照れくさそうな顔をしていたが、高橋の依頼については苦笑しつつ断った。





 水瀬達だけでなく相羽達3人も上映会に参加していたため、ここでの話題は必然的に上映された映画の話になっていた。

「今日の映画、どうだったよ。俺としては話がちょいと(くど)かった気がするよ。まぁ、それを除けば結構見れたと思うんだが……」

「そうだな、俺もどちらかというと話を詰めすぎといった感はあるが、それを除けばそれなりに見せ場はあったしまあまあだったんじゃないか」

「俺も似たようなもんだが、あの話の内容にしてはちょっと長かったように思う。まあ個人的には見れる代物だったとは思ったけど、映画というには色々詰めすぎで途中で寝ちまうん人もいるんじゃないかなって気がしたなぁ」

 相羽達がそれぞれ自分たちの意見を言い合う中、少し離れた席で森は真剣な表情でそれを聞いていた。


「一ちゃんよ、お前さんは今回の映画はどう思ったよ」

 常連たちの間では意見がまとまったようで、相羽が水瀬に話を振った。

「そうですね。私もお三方と似たような意見になりますが、あの内容であの尺はちょっと長すぎたように思います。ですが、物語そのものは悪くなかったと思いますよ。あと、所々に笑いというか和みというか、あまり話が殺伐としないようにそういうものを入れたことについても評価してもいいかなと思いました。まあ、ほかの観客から見て成功したどうかはさておいて、ですが。ということで火置、お前はどう思った?」

 水瀬は淡々と自分の意見を述べると、火置に話を振った。


「う~ん、そうだなぁ……」

 話を振られた火置は、少し唸りながらあさっての方を向いて考え込んでいたが、やがて考えがまとまったのか顔を相羽達の方に向けて口を開く。

「俺はどちらかてぇと映像屋なんで、物語よりも()の撮り方とかそっちの方を重点で見てたんであまりどうこうは言えないけど、全体としては見れるものだったんじゃないかな。話が長いってのも、原作ってぇか脚本書いた奴が今回が初めてって事で気合入りまくった所為だろうし。まあ、次に期待ってとこかな」

 火置の話が終わると同時に今度は先程から聞き役になっていた森が、いつになく真剣な面持ちで相羽達の方を向き話し始める。

 なぜか話を聞いている者たちは、その姿に"真剣"というよりどことなく"怒っている"という事を感じていた。仮にそうだとして、それが誰に向いているかは分からなかったが。


「私は作った側の人間なので、内容についてとやかく言うつもりはありませんが、皆さんが仰られていたことは私も少し感じていました。まあ、脚本を書いた者も"ちょっと詰めすぎたかなぁ"と言っていましたし。それとあまり褒められた話ではないですが、社内に彼の脚本をきちんと精査できる者がいなかった、いてもその人がそれをする時間が無かったというのもあったのではとも思います。そのあたりが皆さんの意見に対する、当社が今後こういった催しをする際の課題になるでしょうね」

 森は自分の意見を一息に話すと口を閉じ、表情をいつものほんわかしたものに戻し水瀬の方を向く。

「ああ、一気にしゃべったら喉が渇いちゃいました。水瀬さん、ビールいただけますか?」

「あ、はい。少々お待ちください」

 注文を聞いた水瀬は彼女の表情の変化に付いていけず、その返事は少しぎこちないものになってしまっていた。





 それから水瀬がカウンター内の作業で忙しくなってきたため、彼と森を除く4人で談笑していた。

 森は自分の手の内の酒をチビチビと飲みながら、何も言わず彼らの話を聞いていた。

 不意にどこからか着信メロディのような音が流れる。

 どうやらそれは相羽の携帯から流れ出たようで、どうも自宅からのメールらしかった。

「一ちゃん、勘定お願い。アレも飲みたかったけど、今日は帰るよ」

 相羽はメールを見た途端顔色を変え、どこか焦っているような感じで勘定を払うとそそくさと店を出て行った。

「それじゃ、俺たちも帰るか」

「そうだな。一燈君、俺たちの分も勘定してくれ」

 相羽が出て行った後、東森と高橋がドアのほうを向いて2人して盛大なため息をつき、それから水瀬の方を向き勘定を頼んだ。


「すみません、ちょっと待っていただけますか?」

 勘定を済ませて出て行こうとする東森と高橋を、森が立ち上がって止める。

「ん? 何か?」

 森の声に2人は足を止め、彼女のほうに振り向いた。

 森は2人が自分の方を見るや、彼等に頭を下げ口を開く。

「先程はどうもすみませんでした。それから皆様から頂いた意見は必ず上の方にも伝えますので、今後ともよろしくお願いします」


 森の言葉に目を丸くする2人だったが、2人ともすぐに口元を笑みの形に変えた。

「ん? ああ、そういうことですか。別に気にしてませんし、気にすることでもないと思いますよ。それに礼を言うのはこちらの方です。そう言えばちゃんと言っていなかったですね、この度はご招待いただき、ありがとうございました。まぁ皆で寄って集って"未熟だ"なんて言ってしまいましたが、だからこそ"熟成"する可能性があるということです。ですのであまり気にせず精進していってください。他の者は知りませんが、少なくとも俺はまたあなた方の作る映像を見てみたい、そう思っていますよ」


 そう東森が言えば、高橋も続けざまに口を開く。

「そうそう、こいつの言う通りですよ。俺も思う事はあれど、あの映画が駄作とは思っていません。それにほぼ全て自社製作で且つ初めてのものなのだから、多少粗が出た方が今後のためにはよかったと思いますよ。上から目線な言い方で申し訳ないが、これも一観客の意見と思ってもらえれば幸いです。また機会があれば、呼んでもらえるとありがたいですね。では、俺達はこれで」

 高橋が言い終えると彼等はくるりと背を向け店を出ていき、森の方もそれ以上何も言わず先程よりも深く頭を下げていた。


「私もそろそろお暇します。水瀬さん、お勘定お願いします」

 東森達が帰ったすぐ後、森も精算を申し出た。

「ああ、今回は私の奢りという事でお金はいりませんよ」

「いやでも、いろいろ飲み食いさせていただいてタダというわけには……」

 ロハと言われて恐縮する森に、横から火置が口を挟む。

「水瀬がいいと言っているんだから、言葉通り受け取っとけばいいんじゃない? 一応言っておくけど、夜食の材料は俺が金出したんだよね。だけど、俺も夜食の代金を取る気はないよ」

「まあ、火置の言い方も乱暴ではあるけれど、彼の意も汲んでやってはもらえませんか? 私の方も久々にホールで映画の仕事をさせてくれた事と、上映会に招待していただいた事のお礼をしたということでお納めしていただけませんか? どうしても気になるようでしたら、また店に飲みに来ていただければそれでチャラですよ」

「……分かりました。今日はありがたくご好意に甘えさせていただきます。水瀬さんも火置さんも、上映会の事も含め今日はどうもありがとうございました。また寄らせていただきます。では」

 完全には納得できていないものの、水瀬の申し出を受け入れた森は2人に頭を下げて店を後にした。





 常連達も家路につき、店の中にいるのはは水瀬と火置だけになっていた。

 客もおらず時間も午前零時をとっくに過ぎたという事で、そろそろ閉店と火置が水瀬に声を掛けスツールを降りる。

「さて、俺達もそろそろ片付けて帰るとするか」

「まあ、待て、一杯付き合えよ。さっき作ってやるって言ったカクテル、まだ出してなかったろう?」

 しかし水瀬は火置との約束を出し、彼を引き留めた。

「そういやそうだったか。んじゃ、作ってもらおうかい」

 火置としては先程の約束は軽い気持ちで言ったため、遂行されようが正直どうでも良かったのだが、無下に断るのも悪いと思い座りなおした。


「オーケー。ちょっと待っててくれ」

 水瀬は火置が座りなおすと、材料を冷蔵庫などから取り出しカクテルを作り始め、その間も彼は火置に話し掛ける。

「火置、あの映画の脚本書いたヤツの名前を見たか?」

「一応見たと思うが……。あれ? 誰だったか」

 火置はそこまで気を付けていなかったらしく、眉をひそめて首を傾げた。

「スタッフロールには"山地(やまじ) 文雄"となってた。お前、この名前を覚えてないか?」

「山地って、もしかして……」

 そんな火置を見た水瀬はニヤリと笑い、その名を告げる。

 そして火置は、告げられた名に目を丸くした。

 しかし次の水瀬の言葉に、火置の目がジト目に変わる。


「ああ。俺が知っている限りで、単発映画だというのに連続ドラマ並みのエピソードや設定を盛り込もうとするのはアイツしか知らない」

「まあ、そう言われれば俺もそう思うが……。ってお前、ちゃんと確認したのか?」

「いんや。森さんが来たときに一度聞いてきてもらおうと思っていたけど、聞こうと思っていたらお三方が来てそんな暇なくなったから。次に来た時にでもちょっと頼もうかと思ってる」

「はあ、そうかい……。まあ、次に言うときにはきちんと確認してから言ってくれな。でも、水瀬と俺に続いて山地か……。これで風音(かざね)がいたら、光陰大 映像研究会 "チーム フォー・エレメンツ"勢揃いだな」

 水瀬の話を呆れかえって聞いていた火置だったが、大学時代を思い出したのか同期の名を出したあたりから彼の目は何かを懐かしむようにここでない何処かを見ていた。

「風音 響姫(ひびき)かぁ、アイツもどうしてるんだろうな。卒業したら音楽で食ってくって言ってたけど、全然話を聞かいなぁ。まあ、裏方でもやっていけてるんならいいけどな」

「そうだといいな……。俺はお前を頼ってここに来たけど、山地が、まあそれが本人としてだが、ここにいるってんならもしかすると彼女も来るかもしれないな」

 火置の話に水瀬も過ぎた時間を思い返すように遠い目をし、火置は何となく会話をしながらも本当にそうなりそうな予感を感じていた。

「もし4人揃ったら、ここで再会を祝して飲もうぜ」

「そうだな」

 2人が頷き合ったその後、しばらく店内には水瀬の振るシェイカーの音だけが響いていた。





「はい、お待たせ。これがアレの上半分だ」

「さっき森さんに聞いたけど、ホント、パッと見は色の濃いグラスホッパーだな」

 火置は目の前に置かれたグラスをすぐには手に取らず、上から横から変わったものを見るように眺めていた。

「おいおい、見てたって味は分からないぜ。それに温くなると美味しくなくなるから、早いとこ飲んでくれ」

「ああ、すまん、すまん。それじゃいただくよ」

 水瀬に促された火置は、グラスを手に取り一口飲んだ。

「ふうん、これだけだとそれほど甘くないんだなぁ」

「ああ、そうだな。もう一方が結構甘いからな、それ上手くバランスが取れているんだろう」

 水瀬は火置が飲み始めたあたりからぼちぼちと洗い物を始め、火置も邪魔にならない程度にゆっくり話し掛ける。

「でも、本当にこれだけじゃ硬直しないんだな。お前が嘘言っているとは思ってないけど、何となく身構えてた自分がバカみたいだ」

「ふふ、まあアレを飲んだ事がある人ならそういう事もあるかもな。んじゃ、今度は下の方だけ飲んでみるか?」

「いや、今日はいい。実のところ、飲めなくはないがあまり甘い酒は好きじゃなくてな。そうだな、今度森さんが来たときにでも出してあげればいい。その時に俺も居合わせてたらいただくよ」

「そうかい? んじゃ、そうしようか」

 このあたりには水瀬も洗い物を終え注文待ちの状態だったので、火置の言葉に少し残念そうな顔になった。

 そして次の火置の言葉が、残念な顔どころか水瀬の表情を凍りつかせる。


「ところで水瀬よ、俺に何か言いたい事でもあるのか?」

「! なんだバレてたか。いつ分かった?」

 火置の言葉に一瞬顔を強張らせるが、すぐに何処かホッとした顔になった。

「いや、さっき俺を引き止めたとき、何か強引だなと思って」

「そうか、やっぱりちょっと不自然だったか……。いや実はな、お前に昼の店をやってもらえないかなと思ってな」

 水瀬はホッとしたついでに一気に思ったこと話し、今度は話を聞いた火置の顔が強張った。

「おい、マジかよ……。一応言っとくが、俺の料理はさっき高橋さんに言ったように素人の手慰みレベルだし、調理師免許も持ってねぇぞ」

「そうかもしれんが、少なくともあのカツドッグはあの3人を唸らせたし、お前の淹れるコーヒーは専門店で飲むのと遜色ないと思ってる。もう一つ言えば、調理師免許は別にいらないし俺が食品衛生管理者になっているから問題なく仕事ができるぞ」

 水瀬からくる熱に本気で言っていると分かって押し黙る火置だったが、ややあってゆっくりと話し始める。


「……よしてくれよ。世話になっている上に、俺の料理を買ってくれているのはありがたいと思っている。だけど、俺がしたいと思っている仕事は喫茶店のマスターじゃない、映像を撮ることだ」

「……そうか、そうだったよな。すまん。以前、爺さんがやってた頃は、昼の営業もしていたそうだ。その名残がバーらしくない表のウインドウだよ。俺がこの店を継いだ時、できれば爺さんのようにやりたかったけどうまくいかなかった。幸い夜の営業は常連も付いて、儲かっているわけじゃないが何とかやっている。そこでお前が来てさ、もしかしたらと思ってちょっと焦っちまったのかもしれないな……」

 少し苦しそうに自分の思いを語る火置に、水瀬は夢から覚めたような顔で彼に頭を下げ裏口から出ていった。


 それからすぐ、水瀬は両手に何かを持って帰ってきて、そのうちの一つを火置の前に置く。

「さっきは悪かったな、こいつは詫びだ」

「水瀬、お前……」

 火置の前に置かれたのは、500ml入りの缶ビールだった。

 火置はしばらく水瀬と缶ビールの間で視線を行ったり来たりさせていたが、不意に口元を緩め口を開く。

「おいおい、別に俺は怒ってないし、お前の気持ちも理解しているつもりだぜ? まあちょっとはお前の誘いに乗ってもいいかなと思ったけど、俺の中にこの夢がある限り道を逸れるわけにはいかないんだよ」

「分かっているさ。分かっているからこそ、詫びにこいつを持って来たんだ。大学時代、俺達が夢を語る時、いつもコイツが傍にあった」

 水瀬はそう言うと、持っていた缶を開け火置の前に掲げた。その時の彼の顔は、先程よりも幾分すっきりしていた。

「そういやそうだったな、俺達の間にはいつもこれがあった。んじゃ、せっかくだから乾杯するか。でも、乾杯のネタはどうするよ」

 火置も水瀬に倣ったように缶を開け、自分の目の前に掲げた。

「そうだな。かなりベタだけど、お互いの夢に乾杯ってのは?」

「ふむ、ベタだがストレートでいいんじゃないか。んじゃそれでいこう」

「それじゃ、「乾杯」」


 缶を打ち合わせる2人。

 しかし次の瞬間、ベコンと缶が凹む音がして、2人は何となく間が抜けた感じになって顔を見合わせた。

「あはは、やっぱ缶だとしまらんなぁ」

「でも俺達はずっとそれでここまできたんだ。少々歳食ったからって、無理に大人にならなくてもいいんじゃないか?」

 少し照れくさそうに頭をかく水瀬に、火置はどこか諭すように話した。

「それもそうだな。俺達はずっと俺達か……」

「そういうこった。ま、とにかく飲もうぜ」

「ああ」

 結局2人は、ここで夜が明けるまで飲むのだった。

 ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。


>おまけ

 今回の話に水瀬達の学生時代の話が出てきたので、当時の仲間たちについてちょこっと書いてみようかと。


 光陰大学 映像研究会 "チーム フォーエレメンツ"

 水瀬 一燈 : 照明・録音・雑用(買い出し・経理等)・アクション指導 リーダー(誰もしようとしないから仕方なく)

 火置 映二 : 撮影・雑用(家事関係)

 山地 文雄 : 脚本

 風音 響姫 : 音楽全般(劇伴から効果音、主題歌まで。ついでに歌う) チームの紅一点


 一応それぞれ担当を持っているが、状況に合わせて入れ替わる(水瀬が俳優している間、山地が照明など)。ただし音の関係は、風音にしかできないので彼女に一任。

 あと、水瀬と火置にのみ"雑用"の役割が付いているが、あくまで()内の事柄に対して中心となる者という意味であり、彼らだけが雑用を押し付けられているわけではない。

 それから監督と演出は基本的にネタを持ち込んだものが担当し、俳優は人が少ないので全員がなる。

 しかし脚本を書く関係上、監督はどうあれ演出は山地がすることが多い。

 チーム名の由来はメンバーの名字にそれぞれ"水"、"火"、"地"、"風"が付いているから(命名:山地)


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と、このような行き当たりばったりの作品ですが、今後ともよろしくお願いいたします。


2017/ 7/13 一部の単語に掛かっている""を削除。

2018/11/25 誤字を一か所修正

2019/ 2/17 後書きに文言を追加。

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