いっしょ。
思いつきです。
眼鏡男子。
ワタシには付き合ってる人がいる。
名前は稲見。鈍感。ほんと鈍い。顔はカッコいいとワタシは思ってる。眼鏡男子。勉強はできる。運動は……まあそこそこなのかな?
付き合い始めたのは、高一の冬。今は高二。お互い色々わかってきた頃──
「稲見」
「うん?」
「カッコいい」
「え!? あ、ありがとう──」
と顔を赤くして眼鏡のブリッジを押し上げる。
照れた顔を見るのは楽しい。からかうのも面白い。
「果乃も……か、可愛いよ」
不意にそんなことを言ってくる。
顔が熱くなる。
「な、何言ってんの!?」
「だって果乃が言ったんじゃん」
「そうだけど……」
恥ずかしいじゃないか。
「……」
「どうしたの?」
「ありがと……」
「うん!」
笑顔がまぶしい。
……言ったことが返ってくるのは、恥ずかしいけど嬉しい。
稲見もそうだといいな──
*
帰り道。稲見と並んで帰る。
手はつないでない。
稲見を見ると、欠伸をしていた。
「眠いの?」
「え? あ、見られちゃった?」
と稲見は苦笑いする。
「見ちゃった」
「はは……ちょっとだけどけどね。果乃は眠くない?」
「うん。全然大丈夫」
「そっか──」
稲見は笑って前を向く。
……手つないだら、びっくりするかな?
「手、寒くない?」
「手?」
「うん。手──」
つないで、手──気づけ……!
「寒いかな? 今日は暖かいって天気で……」
「違う!」
「え?」
思わず大きな声が出た。
「あ、何でもない……ごめん──」
こんなのいつものことだ。そんなことでいちいち大きな声出したら、稲見に迷惑かけちゃう……。
ワタシの一方的な思いで稲見を困らせたくない──
*
数日経ったある日の放課後。
稲見の様子が変だった。
今日も並んで歩いている。
「稲見?」
「…………」
何だろう。暗い……
「どう──」
「果乃は、俺のこと好き……?」
「え──?」
立ち止まる。
何急に……?
稲見が初めてそんなことを言うなんて──
「果乃、あの日から何か変だよ……おれ、何か悪いことした? 嫌いになった?」
「え?」
どういうこと? 変って……変なのは稲見で──
「あの日、何かした? 果乃……おれは、果乃が好きだよ? 果乃は、おれが嫌い?」
「そんなわけないじゃん! ワタシは……ワタシは、稲見のこと嫌いになったりしない! それに、ワタシだって稲見のこと好きだよ。ただ、ワタシの一方的な思いで、稲見を困らせたくないだけだよ──」
「一方的な思いって?」
稲見がわからないというように首を傾げる。
「……手、つなぎたいとか、腕組みたいとか、ハグしたいとか……キス、したいとか……」
何言ってるんだろ……ワタシは──
「……よかった」
「え?」
稲見はホッとしたように話し出した。
「おれも、そうだよ。手つないだらあれかなとか、嫌われてないかな……とか。果乃と一緒だ──」
そう言って、稲見はハグをしてくる。
ワタシもゆっくり手を回す。
「初めてだ。果乃とこうするの」
「うん──」
温かい。
こんな近くに、稲見がいる。
「これからは、ちゃんと言って──?」
「うん。稲見もね!」
稲見を見ると、少し顔を赤くしていた。
「……?」
「キス……しよう?」
「……うん──」
見つめ合ってから、唇を重ねた。
心臓がバクバクした。
でもきっと、稲見も一緒だから……
「大好き」
「うん。おれも──」
これからも、一緒に居られたらいいな──
女の子視点でした。
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