#1 入学式と幽閉と
第1話です
※注意※
この作品に出てきているキャラクターに見覚えがあっても、別人ですので御了承下さい
ある日の朝、漆黒な髪色をした青年が目を覚ます。
時刻は午前7時00分。
1階に降りると、ピンク色のポニーテールの髪の女性が鼻歌を歌いながら朝御飯の準備をしている。オムレツをお皿に乗っけて、よし、と一言。聞こえていないように喋っているが、残念な事にまる聞こえだ。
呼び掛けようとしたけど、面白いのでそのまま見物する事に。すると、気配を察知したのか、女性は後ろを振り向く。
「あっ、あああアンタ! いつからいたのよ!?」
ピンク色のポニーテールの女性の名前は桜庭 紫。お馴染みである。そして漆黒の髪をした青年の名は神楽 凛。
2人はこれから入学する『M.S.G.学園』の入学式の為、指定した制服を着こなし、学園に向かう。
その途中、突然赤髪の男性が凛に近付き、拳を振りかざす。殴る気だ。
凛はとっさの判断で左手で拳を掴み、背負い投げ。
「悪いな、多少の護身術は身につけているんだ……てか、あんた誰?」
「俺様は如月 汰一、この学園でNo.1になる男だ」
それだけ言って汰一と名乗った男は去る。
式がもうすぐ始まる予鈴が鳴っているのに気付き、2人は急いで体育館に入る。中に入ると、後ろの2つだけポツンとある空席。
先生方に注意されながら席に座り、学園長の話に耳を傾ける。
「──と、言う訳なので、皆さんも気を付けてください」
学年主任と思われる人が校則のことについて長々と喋っていた。
入学式が終え、自分のクラスに戻る。
あらかじめクラス一覧表を渡され、それぞれが自分のクラスに移動。
「へぇ〜、Sクラス〜Fクラスあって、魔力や超能力の数値で決まってるのか。あっ、だから入試に測定器があったのか……」
「凛、あたしBなんだけど、アンタはどうなの?」
「D、お前とは隣の隣のクラスだな」
「そう……」
凛がクラスを言うと、紫が落ち込むように俯く。
渡り廊下を基準に凛と紫は別れ、クラスに入る。
何故かクラスの半分以上は女子で、男子が少ない。
自分の名前が書いてある席に座り、先生を待つ。
暫くして、クラスに担任がやってくる。
「みなさ〜ん、御入学おめでとうございます〜」
金髪で目は多少たれ目。
ホンワカとしていて、ホントに能力者なのか信じがたいが、名簿を片手に名前を呼ぶ姿はちゃんと様になっている。
10分後、クラスに赤髪の男がこのクラスに入ってくる。朝、凛に突っ掛かってきた人だ。
「センセー、まだ遅刻じゃねえよな?」
「えっ、ええ、早く席に着きなさい」
空いてる席を探すが、空いてる席は凛の隣しかないらしく、舌打ちをして椅子に腰掛ける。
「申し遅れました、わたしの名前は近藤 雪奈といいます。……では、皆さんそれぞれ自己紹介してください。あ、立って自己紹介してくださいね〜」
のんびりした口調で右側から順番に自己紹介させられる。神楽だから9番あたりだろう。
とうとう凛の番が来て、簡単な自己紹介をする。
それは名前、出身地、超能力者か魔導師か、それだけである。
汰一の番が近付き、雪奈が次、と言ったにも関わらず、立とうともしない。馴れ合いが苦手のようだ。
雪奈も呆れたのか、ため息を吐き、次の人に回す。
昼休みになり、凛と紫は学園の探検に行くことになった。3階へ移動して、上学年のクラスを見る。
「なーんか、普通だなぁ」
「何を期待していたのよ」
「いや〜、やっぱ上学年だからさ、不良に絡まれて……みたいな?」
それフラグ、と紫は心の中でツッコミを入れた。
階段を降りようとしたとき、後ろから頭を殴られる感じがした。
意識がもうろうとし、2人はゆっくりと目を瞑る。
凛が目を覚ます。そこは見慣れない天井と壁。恐らく幽閉されているのだろう、そう悟った凛は気が付くと身動きが取れない状況に陥っていた。
「おいっ紫! 起きろ!」
「ん、んん〜……こ、ここは……?」
「さぁな……だが、幽閉されているのは確かだ」
「そんな……!」
何かの気配を感じたのか、2人は扉の向こうに目を向ける。
するとドアが開き、ガタイマックスな男がズンズンと近付き凛を睨みつける。
凛は魔法で攻撃しようとしたが発動しない。
「グヘヘ、無駄だ。このキャンセルチェーンは魔力、超能力を発動させない。つまりてめえらは何をしても無駄だ」
絶体絶命、どうしてこうなったのかもわからない。
「誰かー! 助けてー!」