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第4話~お金持ちになっていた自覚はありませんでした~

今回も説明が主流になっちゃいました。

説明役がオジサマから女のコに変わります。



メルーロさんが退室してからしばらくはソファに座ったままボケ~っとしていた。

普段だったら豪華な部屋に1人で居るのは落ち着かないけど、今は脳が情報処理においつけなくて、部屋の様子なんて気にならなかった。


それでも体は正直に空腹を知らせてくる。

お腹がゴハンちょーだーいってキュルキュルと訴えているよ。

確か食事持ってきてくれるって言ってたよね?まだかな~?

こちらの世界の食事ってどんなのかな?

お茶とお菓子が美味しかったから実は期待してマス☆


食事のことを考えているとコンコンっとノックの音がしたので返事をした。

すると「失礼致しますぅ」と可愛らしい声がして、愛くるしい女のコ(でも羊顔)がワゴンに食事と思しき物を載せて入ってきた。

さっき、お茶をもって来てくれた人は中年に見えたが、この女のコは女子高生くらいに見える。

緩く三つ編みした髪に、茶色のワンピースっぽい服を着ていて、白いカフェエプロンのようなものを着けている。


「はじめましてユリーナ様ぁ、あたし、ミリファと申しますぅ。ミリーとお呼びくださぁい。メルーロ様からのお申し付けでぇ、お食事お持ちいたしましたぁ。ユリーナ様はヘアグは初めてって聞きましてぇ、違う世界の方に会えるなんてぇ、あたしスッゴク幸運ですぅ。あ、お部屋薄暗いですねぇ。明るくしてよろしいですかぁ?」

「あ、はぁ、お願いします。」

「きゃあ、私ごときに〔お願いします〕だなんて言ってくださるんですかぁ、嬉しいですぅ。でも、そんな丁寧に言わないでくださぁい。あ、お食事すぐにお仕度致しますねぇ」


…なんだか話し方が独特だし、やけにテンション高いコだな~


だけど不思議とイヤな印象は無い。

その明るさにこちらもつられてしまうような魅力のある女のコなのだ。


ミリーは「では明るく致しますぅ」と言い、入り口付近の台座の上にある箱の蓋を開けた。

すると、とたんに部屋全体が明るくなる。


すごーい!どーなってんの?!

電気なんて無い世界だよね…魔法か何かなのかな?


好奇心から台座に近寄り箱の中を覗いて見ると直径10cmくらいの輝く石があった。


「あ、その石は光源石っていいましてぇ、暗い場所でも明るくしてくれるんですよぅ。もともとはヘト石なんですけど1ヶ月間正光の光を吸収させると石が光って光源石になるんですぅ。」


ミリーがワゴンから次々とお料理ののった食器をテーブルにのせながら教えてくれる。


「さ、お仕度できましたぁ、どうぞ召し上がってくださいぃ」


やったぁー!

やっとゴハンだわ♪もう、お腹ぺこぺこなのよ!


早々と座り、いただきますと手を合わせ食事に手をのばそうとして、ハッと躊躇う。

テーブルに並んでいる食事は一流レストランのようにキレイに盛り付けられている。

どれも美味しそうなんだけど……ぶっちゃけ、これ、おいくらですか?と聞きたくなった。


「あ…ここまで用意してもらって今更なんだけど、あの、私、お金もお食事代代わりになるものも何も持ってないの…。それでもいただいt「何をおっしゃってるんですかぁ、ユリーナ様ぁ!」


まだ全部言い終わらないうちにミリーに遮られちゃった。


「ユリーナ様は我が一族の恩人なんですぅ!羊緑族の英雄なんですぅ!食事代なんて、お気になさる必要ないですぅ!」


握りこぶしで訴えるようにミリーが言う。

その意気込みにタジタジになっちゃったけど、つまりゴチになれるってことよね。ラッキーv


パンが数個(しかも温かい。焼き立てだよ、きゃっほう)、具沢山の野菜スープに黄色いソースがかかった肉のソテー(何のお肉かわからないけど、見た目はチキンっぽい)、豆っぽい和え物に、他にも副菜と思しきものが数皿。大き目の銀皿には数種類の果実っぽい物が山盛りにあって、ミリーが色々と切り分けてくれた。


「でもユリーナ様ぁ、お金ならぁ、かなりの大金をお持ちでしょう?ここではもちろんお食事代などはいただきませんがぁ、お金のことは気にされること無いんじゃありませんかぁ?」

「え?私、お金持ってないよ?」

「おかしいですねぇ~、ギルガに掛けられてた褒賞金ってユリーナ様が受け取られたと思ってましたぁ」

「あ、そうだったわ。そーいえば忘れてた。族長さんが大金貨1000枚与えるとか言ってくれたんだったわ」

「やっぱりぃ、ユリーナ様お金持ちじゃないですかぁ。それだけあれば、10年は働かずに贅沢して暮らせますよぅ」


その言葉にパンを持ったままフリーズ。


大金貨1000枚って…100万円くらいの価値だったらラッキーくらいに思ったけど…もっとスゴイのか?


「あ、あのね…私、ここでの貨幣価値わからなくて。お金のこと、教えてもらってもいい?」


食事の手を休めて、居住まいを正しミリーを見る。

すると彼女は「どうぞそのまま召し上がりながら聞いてくださ~い」と言いながら、お金のことを話してくれた。


「私ごときで僭越ながらぁ、お話させていただきますぅ。えっと、お金はヘアグ全土同じなんですぅ。

大金貨が一番高くって、次に中金貨、小金貨がありますぅ。

それから大銀貨、中銀貨、小銀貨。あと、大銅貨、中銅貨、小銅貨がありますぅ。

小銅貨10枚で中銅貨1枚、中銅貨10枚で大銅貨1枚、大銅貨5枚で小銀貨1枚、

小銀貨5枚で中銀貨1枚、中銀貨5枚で大銀貨1枚、大銀貨2枚で小金貨1枚、

小金貨2枚で中金貨1枚、中金貨2枚で大金貨1枚になるんですぅ。

えっと、お金の価値はぁ、ユリーナ様がいましがたお手にされてた丸パンのお値段が中銅貨7枚から大銅貨1枚くらいですぅ。」


…つまり、ええと、このパン1つ100円と考えると、大銅貨1枚が100円玉1枚と仮定して…


指を折り折り計算してみる。


100円玉5枚は500円玉1枚=小銀貨1枚

中銀貨1枚は2500円、大銀貨1枚は12500円、小金貨1枚は25000円、中金貨は50000円、大金貨は10万円


…つまり、ええと、私は10万円を1000枚もらったってことだから、1億円。



い、い、いちおくえんーーーーっっ



宝くじは300円しか当選しなかった私が、どんなに頑張ってバイトしても月々5万円しか稼げなかった私が、異世界生活半日で1億ですかーーーっっ

あの鳥、どんだけーーーっっ


フリーズ通り越して石化。


固まってる私をミリーが「どうかしたんですかぁ?お食事、さめますよぅ?」と気遣わしげに見つめてくれるけど、ゴメン、今とてもじゃないけど平常心になれないデス


「あっ、あぁ、ごめんね。大金貨1000枚の価値の凄さに怯んだっていうか…。私、今まで1ヶ月って、いやいや、ええと、30日でね、5万円…中金貨1枚稼ぐのが精一杯でね…」

「え?!ユリーナ様、働いていたんですか?すでに成人されてたんですね」

「ううん、成人までには、あと1年かな。って、働くのって成人してからなの?ミリーは何歳になるの?」

「あたしは今年の土の黒月で17歳になりますぅ。ユリーナ様は成人されてないのに働いていたのですかぁ?ヘアグでは未成年が働くってことあまりないですから、ビックリですぅ」

「私もミリーが成人してたなんてビックリだよ~。私のいた世界、地球って言うんだけど、地球は1年間365日なの。ヘアグの半分だね。だからかな、年齢と見た目の感覚が違うみたい。」

「ほえぇ、〔ちきゅう〕というところは時間が半分なんですかぁ~」

「そういえば、私の生まれた国では平均寿命年齢80歳なんだけど、こっちは40歳くらいになるのかな?」

「ええとぉ~、こちらではぁ、人間の寿命はだいたい64、5歳ですねぇ。魔物や精霊は種族に寄りますがぁ、150歳くらい生きる者もいますよぅ。私達羊緑族は魔獣の中でも短命なのでぇ、人間と命の長さも成長・老化速度もほとんど同じなんですがぁ、人間と同じくらい繁殖率が良いのでぇ、数が多いんですぅ。」

「そうなんだぁ。色々教えてくれてありがとう」

「どういたしましてぇ(にっこり)」


そんな会話をしながら、食事を美味しくいただきました。

結構な量があったけど、全部完食よ!

こちらの世界の食事が味覚にあって良かったよ~。食事って大切だものね。



その後何故かドッと疲れがでたので早めに寝させてもらった。

ベットの中で今日1日を振り返り、これからどうしようか、と考える。


思わぬ形で大金貨1000枚という大金を得たけど、なんだか嬉しいというより、戸惑っちゃう。

6畳一間のアパートで節約暮らしをしていた平民には、過ぎたお金だよ。

そりゃあ、この世界で生きていくためにはお金は必要だろうけど、不相応な大金なんか持っていても困っちゃう。

お金目当てのロクデモナイ男が寄ってきたらどうすんだ!

イイ男は、楽して得たお金で怠惰な暮らしをするような女なんか相手にしてくれないよ、きっと。

やっぱり、お金は働いて稼がないと。働かざる者食うべからずって言うしね。

でも、ここって成人してないと働けないみたいだし…どうしよう…


まあ、いっか。なんとかなるでしょ。

明日からのことは起きたら考えよ~っと。


睡魔に逆らうことなく、私はそのまま深い眠りに落ちていったのだった。




羊緑族の街『シプグリール』は

シープグリーンからつけました。

単純でスミマセン(^^;)

名づけって結構難しい……

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