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第21話~冒険者ギルドに行きました~

友人A「第15話でゼウォンが見てた依頼書『魔物討伐』になってたよ。さむこの話の世界観って『怪物』がモンスターの位置づけなんしょ?」

さむこ「え、マジ?すぐ直しとく」

と、言うわけで『怪物討伐』に訂正させていただきました。

今後も何かと間違いがあるかもしれませんが、温かく見守っていただけると嬉しいです。(^^;)



ヘアグ生活57日目


いつも通り、夜明け前に起床して身支度を整えた。空は白み始めていて、今日もいい天気になりそう。


ヘアグには4つの季節の呼び名があるけど気候の変化はそんなにたいしたことなくて、ヘアグ全域年中同じような気温(体感20℃前後くらいかな)らしいので、日本みたいに四季折々の風情といったものは無い。

雪が降るのも地面が凍るのも標高が高めの山くらいで、平野部では雪景色なんて在り得ないみたい。当然スノボやスケートも存在してない世界なの。


「この辺りに朝練できる場所ってあるのかなぁ?」


胸のあたりまで伸びた髪を皮ひもで1本に結いながらレギに聞いてみると「上から見たカンジでは無さそう~」とのこと。

少し考えて、結局この宿の屋上で薙刀の型だけをすることに。

レギには部屋に残ってもらい、もしゼウォンが来たら私は屋上に行っていると伝えてもらうよう頼んで、屋上に向かった。


朝の澄んだ空気を深く吸い込み、軽くストレッチをして体をほぐすと、薙刀を構え無心で振るう。


ふぅ、スッキリ!


一通り型が終わると薙刀を亜空間にしまって、屋上の端まで近寄りヌーエンの街並みを眺めた。

この宿屋は周辺の建物の中では一番高く、坂道の上にあるので周りの景色が良く見える。

ここはヘアグという異世界なんだけど、この街はテレビで見たイタリアのフィレンツェのように綺麗な街並み。

徐々に朝日の光に照らされて明るくなっていく大都市の風景にしばし見入っていると、屋上の扉が開く音がして、ゼウォンとレギが顔を見せた。


「おはよう、ユリーナ」


爽やかな笑顔で挨拶してくれるゼウォンは、本日もス・テ・キ。

おはよう、と挨拶を返すとゼウォンとレギは私の方へ来て、一緒にヌーエンの街並みを見る。


「ヌーエンってキレイな街並みね」

「そっかなぁ~、オイラはグリンジアスの方が良い風景だと思うけど~」

「もぅ、レギは私がシプグリールから出なかったって知ってるでしょ~?他の街、知らないもの~」


レギは各地をフラフラしてたから、色々な街を知っているんだね。上空からだけみたいだけど。


「そういえばコルエンの村長が言っていたな、ユリーナはシプグリールから来たって。生まれは大陸外の島なんだって?」


さりげないゼウォンの問いかけに、ギクっ。

ゼウォンに嘘つきだと思われたくないけど、村長さんに話したヘアグ用の経歴を訂正するのは、村長さんに嘘をついたと思われるだろうし…

羊緑族の族長さんは私が異世界人であることは口外しないと言ってくれたので、私がヘアグに来た経緯を知っているのは族長さんと第一番隊4人衆とミリー、それとレギだけ。

レギも私の経緯は他言しないと言ってくれているから、私が許可しない限りゼウォンにも話さないだろうな。

私は異世界から来ました~と教えたら、ゼウォンはどういった反応をするんだろうか…?

どうしよう…言うべきか、言わざるべきか……


考え込んで黙ってしまった私の頭に、ゼウォンの大きな手のひらが乗せられた。


「え?ゼウォン…?」


驚いて彼を見ると、柔らかい微笑みをしてくれている。


「何か事情があるみたいだし、言いづらいなら無理に言わなくてもいいさ。」


そう言って、優しく頭を撫でてくれる。


「出身がどこだろうと、ユリーナはユリーナじゃ~ん。」


レギ…私が異世界人だと知っていても、こうして仲良くしてくれて。

初めて会った時から今も変わらず一緒にいてくれる。


「…ありがとう、レギ。ゼウォン」


何だか胸がいっぱいになっちゃったよ。二人に出会えて、本当に良かった。





さてさて。

冒険者になるためにヌーエンまで来たんだから、早速ギルドに登録しにいかなくちゃ。

ゼウォンと一緒にギルドの依頼をこなすとしても、やっぱりメンバー登録は必要みたいだしね。

レギと一緒だと目立つし面倒なことになりそうだからと、私とゼウォンの2人でギルドに向うことに。


そしてついに来ましたヌーエンの冒険者ギルド!

3階立ての建物なんだけど、地下もあるんだって。

ギルドは大勢の人(魔物や精霊含む)が訪れるので、飲食スペースや歓談スペース、稽古スペースに武器防具や道具の販売スペースまであるらしいの。

きっとすごい賑わいなんだろうなぁ。わくわく。


ゼウォンに続いて入ってみると、そこは---閑散としてました。

あれれ?ちょっと拍子抜けなんですケド。


「ねぇ、ゼウォン。ここホントにギルド?やけにガランとしてない?」

「ん?まだ風の刻だからだろ?土の刻になれば報奨金を受け取りにきたり酒を飲みに来たりするヤツラで騒々しくなるぞ?」

「そうなんだ。時間帯によって違うのね」


ギルド内を真っ直ぐ進むと、沢山の紙が掲示されてる大きなボードがあった。

これが『依頼書版』ってやつね!

依頼書版は依頼内容ごとに分けられている。

『討伐・捕縛系』『護衛・警備系』『狩猟・採取系』『その他雑用』の4種類。

一番上に掲示されているのが5ツ星依頼で一番難しくて一番報奨金が高いもの。

一番下に掲示されているのが1ツ星依頼で一番簡単で一番報奨金も低いもの。


ギルドランクは

1ツ星が『駆け出し』2ツ星が『中堅』3ツ星が『上級』4ツ星が『達人』5ツ星が『神技』

なんだって。


星のランクを上げるには昇格試験に合格しなきゃいけないらしいんだけど、結構難しいらしくて皆さん1ツ星、よくて2ツ星止まりになっちゃうみたい。


ちなみにゼウォンは4ツ星なんだって。スゴっ


「じゃ、俺はコルエン裏山の依頼完了報告と報奨金受け取りにいってくるな。新規登録は上の階だ。俺のほうが早く済むはずだから談話スペースで適当に待ってる。頑張れよ、ユリーナ」

「あ、うん」


って、何を頑張るんだろう??

ま、いっか。

ゼウォン待たせたら悪いから、さっさと手続きしに行こうっと。




「あの、ギルドに登録したいのですが」

「はい。では、こちらの書類に必要事項をお書きください。書き終わりましたら、一番下の欄に署名をお願いします。」


渡された書類に名前や特技をヘアグ共通語で記入し署名すると、書類を受付の人に返した。

その書類を見ながら、何やら作業をする受付のオニーサン。


「お名前はユリーナさんですね。魔戦士ということですが力を試させていただきますので地下の闘技場へお進みください。」


え?何か試されるの??まさか怪物と戦ったりとかしたりする???

ただ書類を書けば終了~ってワケじゃないんだぁ~~っ。

だから「頑張れよ」って言われたのね……。


おそるおそる地下への階段を下りると、そこは意外に広さのある円形の広間で、周囲は長椅子に囲まれている。なんだかミニサッカー場みたい。


すぐにオニーサンが来たが、よくみると先ほどの受付の人とは違う人だった。

オニーサン2号は私をチラリと見て


「では、今から怪物と戦っていただきます。」

「(やっぱり戦闘か)わかりました。あの、もし怪物を倒せなかったら冒険者にはなれないんですか?」

「いえ、そんなことはありません。ですが魔戦士というのは希少なので本当かどうか確かめさせてもらうだけです。もし戦況が危うそうになったら、こちらから止めに入ります。」


なんだ、そーゆーことね。

ホントに魔法が使えて戦えるかどうか見たいだけなんだ。



ふう、と一呼吸して気を取り直すと、亜空間から薙刀をだす。


「いいですよ。いつでもどうぞ」


オニーサン2号は空間魔法と薙刀にちょっと驚いた表情を見せたけど、すぐに元通りになって私から離れた。


いつも通り〔風〕と〔重力〕の魔法をかけて身構えると、何やら空中に魔方陣のようなものが浮かんで、そこから尻尾の生えた蜘蛛っぽい怪物が3匹お出ましになりました。


ほえ~、これって召還魔法なのかな?さっきのオニーサン2号が出したのかな?

おっとっと、ポケっとしてないで倒さなくっちゃ。


怪物に攻撃する手順はコルエン裏山の時と同じパターン。〔吹雪〕で足止め、間合いをつめて薙刀を振る。


って、あれれ?


薙刀を振ろうとした時、蜘蛛もどきはすでに倒れちゃってた。もしかして〔吹雪〕だけでやられてくれちゃいましたかね?


チョンチョン


薙刀の刃の先っぽで突いてみたけど反応なし。



「あの、これで良いですか?」


オニーサン2号へ向き返ると、何故か口をあんぐりさせている。

ん?変だったのかな?


「あの~…もしもし?」


もう一度オニーサン2号に声をかけると、彼はハッとしたように私を見た。


「はっ、あ、はい。結構です。では、登録手続きをとります。1階でお待ちください。」


どうやら無事に冒険者になれそうだわ。良かった、良かった。




そして待つこと約10分。

名前を呼ばれたので、登録カウンターへと向かう。


「魔戦士ユリーナさん。登録番号は22698になります。あなたの合言葉は『主の魔物は』『竜鳥獣魚』になります。ギルドの規則や罰則などの詳細はこちらの冊子に書いてありますので、依頼を引き受ける前に一通り目を通して下さい。そしてこちらが冒険者ギルド登録者証になります。紛失されますと罰金として大金貨1枚いただきますのでご注意ください。」


そういってオニーサンさんは1cmくらいの厚みのある冊子と、キャッシュカードサイズのチェーン付きカードをくれた。

カードには 名前:ユリーナ、職業:魔戦士、ギルドランク:1ツ星 と、浮かび上がるような文字で記されている。

チェーン付きなのは、紛失や盗難を防ぐために身に着けられるようにっていうギルド側の配慮みたい。

これで晴れて私も冒険者!自立へ向けて1歩踏み出したってカンジね。


ギルガの褒賞金大金貨1000枚のうち10枚は自立資金として使うことにして(半分の5枚はブーツ代で消えた)残り990枚は無いものとして大切に亜空間にしまってある。

シプグリールでたくさんお買物をしたから、所持金残高は大金貨2枚と小金貨1枚と大銀貨3枚に中銅貨と小銅貨が数枚。


昨日のグクコの実もそうなんだけど、宿代もゼウォンが払ってくれているんだよね。

彼は私が大金を所持してるなんて知らないから、冒険者としてある程度稼げるようになるまで立て替えてくれるつもりみたい。

宿代くらい持ってるからちゃんと払わせて~って言ったんだけど、「出世払いでな」なんて笑ってスルーされちゃったし。

たくさん依頼をこなして稼いで、早くゼウォンにお金を返すのだ!


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