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第11話~初めて訪れた村は閑散としていました~



ヘアグに来てから47日が経過しました。いまだヌーエンに向けて旅を続けております。

そして、ワタクシ早くも野宿にヘコたれそうです…あうぅ


魔法も使えず道具もロクにない旅人さんに比べたら、かなり恵まれた旅してるってのは分かるよ?

でもね、アウトドア好きなわけでもない日本の一般人だった私には連日の野宿はキビシーの。怪物との戦闘や馬での移動で蓄積された疲れがね、なかなかとれなくてさ…。

心身強化されてなかったら、挫折してたかもしんない。


さてさて。

この日も夜明け前に起床して、体を慣らすためにレギと軽く朝練をしたらササッと朝食をとって出発です。

ここ数日は、遭遇した怪物を倒しつつ休憩や食事をとって先へと進み、少し薄暗くなってきた頃に野宿の準備をして就寝、の繰り返し。


いつものように野宿の準備をして夕食の仕度をしていると、レギの好物グクコの実が無いことに気づいた。


「あれ?ユリーナ、今夜はグクコの実ないの~?」


そう言って私が用意した夕食を見るレギ。


「そうなの、まだあるかと思ったけど昼ので最後だったみたい。適当に亜空間に入れてたから大体の量しか把握してなくってさ~。ゴメンゴメン。もっと買っておけば良かったなぁ」


今夜のゴハンはお肉と根菜をシチューっぽく煮込んだもの(レギも食べやすいように具は小さめに切ってあります)と、葉物野菜のサラダ。あとはマンゴスチンみたいな果物とパン。

レギにはシチューもどきとグクコの実を用意するつもりだったんだけど、ま、しょーがないか。シチューだけで我慢してネ。


就寝前に地図を確認すると、どうやらコルエンという人間の村にだいぶ近づいているようで、ここからだと明日中に着けそう。

よし、明日はコルエンでお泊りしよう。


「レギ、明日コルエンって村に着くから寄ろうよ。そこでグクコの実を買ってあげるね」

「お、約束だからな~。良かった~ぐふふっ」


シプグリールの市場でこの世界の人間は見たけど、人間の村というのは始めてだ。

どんなところなのかな~とワクワクしながら就寝したのでした。



次の日も夜明け前に起床、準備をして出発です。

朝の清清しい空気を感じながら馬を走らせるって気分爽快!

私の速度に合わせて少し前を飛んでいるレギも、朝日に照らされてキラキラ度が増しているよ。輝いています、レギさん。


爽やかな朝を堪能しつつ進むこと1時間、前方に怪物の気配がして手綱を引こうとしたら、レギに目で止められた。


ん?倒さなくていいの?無視しようとしても、怪物って追いかけてくるんでしょ?


アレ?ってな視線を向ける私にレギはチラっとこちらを見た後、飛行速度をあげて怪物へと向かっていった。と思ったら、なんの躊躇いもなく


ぼおおおおぉぉぉ


火炎を吐いた。


でっかいバッタみたいな怪物3匹は黒焦げ、墨になっていた…すげぇ…


レギは何事もなかったかのように私の近くに戻ってくると


「こんな雑魚に時間とらずに、さっさとコルエン行こ~」


すぐに先へと飛び始めた。


あ~、これは、あれだね。早くコルエンでグクコの実を買って欲しいんだね。

どんだけ好きなんですか、グクコの実。

そりゃレギが戦ってくれたら私はかなり楽だけど…グクコの実を買わないと怒るだろうな…あはは…はぁ…。



その後も襲ってきた怪物はレギが倒してくれたので、コルエンの村には正光になる頃に到着しちゃったよ。

村に入る前に適当な木に馬をつなげ、亜空間から飼い葉と馬用の桶を取り出して水を満たし「ここで待っててね」と声をかけてから、ワクワクしながら村へと入っていったのでした。

が。

ワクワクという気持ちはコルエンの村に入って5歩で消滅。5分じゃないよ、5歩だよ!

つまり、入ってすぐガッカリしちゃったってこと。

だって、真昼間だというのに活気どころか人通りすら無い。

いくら昼食時だからって…人っ子一人いない…寂しいよぅ…

人が生活してる雰囲気はあるからゴーストタウンってわけじゃなさそうだけど、これじゃ宿を探すのも難しそう…グクコの実なんて論外だね、こりゃ。


「ねぇレギ、この村なんかおかしいよね?」

「そうだなぁ、オイラもこの村は初めて来たけど、この雰囲気は不気味だ。でも怪物の気配はしないしなぁ…」


この調子じゃ、今夜も野宿になっちゃうのかなぁ…せっかく村に来たんだから屋根のあるところで寝たかったんだけどな。


鬱々たる気分で歩いていると、前方に大きな屋敷があったので近づいてみる。

すると、門扉の内側で中年のおばちゃんが庭掃除しているのが見えるではないか!

やったー!第一村人発見!


「こんにちはー!」


大きな声で元気よく挨拶をすると、そのおばちゃんはビックリ顔


「あれまー、予定より大分早いご到着ですねぇ、村長はお屋敷の中におりますので、ささ、どうぞ中へ中へ」


いそいそと門扉を開けてくれる。


ん?「予定より大分早い」って??

確かに予想してたより早くこの村に到着したけど、この初対面のおばちゃんには関係ないことよね?しかも村長って、誰?


頭の中は???って感じだったけど、とりあえず、おばちゃんに促されるままお屋敷へと足を進め、案内されるがまま部屋へと入り、勧められるがままソファに座った。


この状況は一体なに?


チラっとレギを見ると平然としているし。特に危険はなさそうだから、まあ、いっか。


程なくして、村長と思しき中年の男性がお部屋に入ってきた。

私はソファから立ち「初めまして」と挨拶をすると、中年の男性は笑顔で「どうぞお掛けください」と言ってくれた。


「初めまして。私はコルエンの村長でズアラットと申します。」

「あ、私はユリーナです。こちらは友達のレギです。」


村長さんは私の膝に乗っているレギを驚いた表情で見て「……友達…魔鳥と人間が…友達?」とブツブツ言っていたが、気を取り直すように頭を振るい、私に視線を戻した。


「早速ですが、貴女様にお願いしたいことは、裏山に棲みついてる怪物を退治してもらうことです。すでにギルドの依頼書で詳細はおわかりでしょうが、改めて私から説明させていただk「待ってください!」


大慌てで村長さんの話を遮る私。

人の話は最後まで聞くのが礼儀だろうが、この場合は仕方ない!


「裏山の怪物とか、ギルドの依頼書とか、はっきり言って何のことか分かりません。私はただ、たまたま今日この村に立ち寄っただけです。もしかしたら、お人違いをされてませんか?」


村長さんはポカンとした表情をすると、その時お茶を運んできた中年の女性(さっき案内してくれた人。奥さんだそうだ)に「おい、どうなってるんだ?」とぼそぼそと囁いた。

「金魔を従属させてるみたいだし…てっきりギルドから派遣されてきた高ランクの魔法士の方だと…そんな…まあ、どうしましょう…」と、こちらもぼそぼそ言っている。


おーい、お二方さん聞こえてますよ~


余計なことに首を突っ込む必要はないかなとは思いつつも、事情が気になったので、村長さんにお話を聞かせてもらうことにしたのでした。



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