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【彼女の喫茶店 】14話完結 「誰もいないのに、誰かがいる。あなたの言葉を静かに待つ喫茶店。七人の心の吐露が思いもしない連鎖を生む」  作者: Taku


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第零話 彼女の喫茶店 常連客たちの会話

こちらの作品は『彼女の計画』『彼女の教室』に続く、第三部となります。


シリーズ未読でもお楽しみいただけます。彼女のシリーズをより深くお楽しみいただくために、これまでの作品の概要を簡単にご紹介します。


◆『彼女の計画』(職場編)

職場の上司・拓が後輩・純に自分の裏アカウントを教えたことから始まる物語。不倫、炎上、そして「見る/見られる」の連鎖を描きました。


◆『彼女の教室』(学園編)

3年C組の6人(拓、瞳、康介、純、沙織、E)を中心に、「気づいたら決まっていた」日常の違和感を描いた45分間の密室推理。


本作『彼女の喫茶店』は、同じ名前を持つ7人の人物が登場しますが、設定や関係性はこれまでの作品とは異なります。それぞれの「核」を受け継ぎながら、まったく新しい物語としてお楽しみください。


舞台は、駅前の小さなカフェ「あおい」。そこには「誰もいないのに、誰かがいる」と言われています。


どうぞ、静かな連鎖の物語をお楽しみください。

カフェ「あおい」には、昔から「誰かがいる」と言われている。


「ここ、昔から“誰かがいる”って言われてるんだよ」

「でも誰も見たことないんだろ?」

「見たことはない。でも、話したくなるんだよ。不思議と」


常連客たちは、そうやって何年も話し続けている。


「あの席、誰も座らないよね」

「座る人もいるけど、みんな、なんとなく話したくなるんだって」

「話して、何か変わるの?」

「わからない。でも、話した人はみんな、少しだけ軽くなって帰るんだ」


「あの場所、昔は神社だったって聞いたけど」

「そうらしいな。戦争で焼けちゃったんだと。それで『噂の村』って言われてた時代もあったんだって」

「噂の村?」

「呟いたことが、何かを起こす。それが噂になって、また何かを起こす。だから、昔は影響を与えたかった将軍さんとか、政治家さんも来てたらしい」

「へえ……でも、今は?」

「今はわからない。でも、全員が呟いたことがそうなるわけじゃないらしい。逆の影響を与えちまうこともある。何も起きないこともある。なんだろうな……つぶやいて、立ち去っていく。それだけなのに」


誰も知らない。でも、確かにそこにある。

それだけで、人はここに来る。


挿絵(By みてみん)

本作は、ある喫茶店を舞台にした連作短編です。


各話は独立してお読みいただけますが、物語は少しずつ繋がっていきます。知らないところで、知らない誰かと、言葉が繋がっていく――そんな連鎖の美しさを、静かに描きたいと思いました。


第1話「沙織――描く女」では、あるイラストレーターの「描くこと」への罪悪感と、それでも描かずにいられない理由について書きました。描くことで誰かを「選んで」しまう。その感覚に覚えのある方は、少なくないのではないでしょうか。


次回、第2話「光莉――問い続ける女」では、人の「核」を研究する大学院生が登場します。「わからない」ことを放っておけない。その孤独と、研究という名目の「利用」への罪悪感――彼女の葛藤が、この物語のもう一つの軸になっていきます。


なお、この作品は全14話(予定)です。


ご感想、ご評価などいただけますと、大変励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。

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