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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第1章 異世界は光の向こう側
1/6

■■■ Step001 楽しい科学実験の果てに異世界に到達する

数年前から構想していた小説です。

ChatGPT、Gemini、Copilot、ClaudeというAIを使って校正しまくったので読めるようにはなっているはずです。

異世界と現代日本を行き来する、了とタニアの成長を見守ってください。

私は『マッドサイエンティスト』。『悪の科学者』だ。


世を忍ぶ仮の姿である...と言うつもりもない。

近所を散歩する際も白い上下のスーツに真っ赤な裏地の黒マント。白いシルクハットに黒ステッキを持って出歩いている。


いわゆる『死神博士スタイル』だ。

時々怪盗だと言われる事があるが、その度に訂正している。


おかげで近所の子供たちは「博士」と呼ばれて...なぜか親しまれている。


『悪の科学者』なのだが、近頃の子どもは怖いものを知らないようだ。

今度、マントに赤文字で『悪』の一文字でも入れてみるか...。


現在進めている実験は、既存の通信規格ではない。

全く別種の通信規格を考案すべく、実験を進めているのだ。


なぜ新たな通信規格の考案が必要なのか?

そもそも、公共の通信規格は金がかかる。いや、利用するにはお金を払う必要がある。


『悪の科学者』を目指すのであれば、自前の通信規格を持っていて当たり前。


「『悪』なのだからルールを無視する」という話もあるだろうが、それは私の美学に反する。

それに、理想を実現するまでに社会に対して波風を立てる必要もあるまい。


今はまだ「変わった奴」「変な奴」程度で良いのだ。



で、本日の実験内容である。


「魔波接続実験」という内容だ。


「魔波」とは「魔力」を構成するものの一部である。

その「魔波」を用いて、通信をしてしまおうという実験なのだ。


数年前、海外のとある田舎町の古本屋で「魔術大全」なる非常に怪しい本を見つけてしまったのだ。

眉唾物ではあったが、個人的な興味が勝ってしまい、おもわず買ってしまったのだ。


書かれていた言語は地球上の言語ではなかった為、少々苦労はしたが解読を終え、内容を把握する事ができた。



さて、今日の実験だが、まず確実に通信できるという実績を取る事だ。


通称『堅牢の間』と呼ばれる10m四方の地下室が今日の実験場である。


天井に送信機、その下に受信機を設置してある。

送信に必要な「魔波」は屋上に設置した装置から取り込む。


いつも行う最終確認も終わり、隣の実験室に身を移し堅牢の間を仕切る厳重なドアを閉める。

今回の実験では危険はないのだが、如何せん誰も実施した事のない実験である。

念には念を入れるのは当然だ。


実験室から堅牢の間のカメラ越しに装置を一瞥する。

最終確認が終わり、ディスプレイの前にある赤いスイッチに手を伸ばす。


いつもの事だが、この一瞬がとても緊張する。


「ポチッとな」


...ボタン...押した...よな...。


堅牢の間を映すディスプレイの隣には、送信機の出力状況を示すグラフが秒単位で刻々と表示されている。

それを受ける受信機のグラフも同じように秒単位でグラフが表示されている。


送信機はボタンを押した瞬間からゆっくりと出力が上がり、きれいな正比例のグラフが表示されている。

現在出力レベルは100%にしてある。そして受信機の受信レベルも100%だ。


しかし、受信状況を示すグラフは、30秒を経過した今現在もグラフの変化がない。

要は何も受信していないという事だ。


「これは...送信機の問題か?いや、受信機の感度が悪いのか...もう少し様子を見てみるか...」


思わず独り言を言ってしまうが問題ない。ここは私以外には誰もいないのだから。


「とりあえずは...送信側の出力を上げるよりも受信機の感度を上げる方が良いだろうな」



受信機の感度を、少しずつグラフを注視しながら上げていく。

想定していた数値を越えても反応は鈍く、私は眉をひそめた。


受信機の感度レベルが「128」に達した瞬間、グラフが揺れた。

受信できる事はこれで確定したが、まだ先があるし、本当の目標はここではない。


さらに上げる。


――256。


その瞬間、受信率はきれいに100%に張り付いた。


「なるほど...私の想定よりも少し強めの方が安定するのか」


そこで改めてグラフから目を離し、堅牢の間の様子を確認してみる。


天井の送信装置から真っ白な光のように「魔波」が降り注ぎ、受信機に吸収されている。

なるほど、送受信が安定すると「魔波」は真っ白な光のように見える、というわけか。


しかし...困ったな。

これでは「通信している」ことが、誰の目にも分かってしまう。


通信実験そのものは合格なのにな...。

送信データは綺麗に受信されている。減衰や取りこぼしもない。

にも拘わらず、光が見えるとは...。


だが、実験には想定外が付き物だ。むしろ、そこから何かが生まれる。研究開発の歴史がそれを物語っている。

ならば私がやるべきことは、慌てることではない。整理だ。


装置自体は正常だ。送信機も、受信機も、挙動に異常は見当たらない。

なら、この発光現象は「魔波」そのものの性質...あるいは、送信と受信が揃ったことで初めて表に出る現象だと考えるべきだろう。


だが、おかしい。

今まで「魔波」を調べてきた限り、こんな光り方は一度も確認されていない。

つまりこれは単なる魔波ではない。「通信状態」という条件が絡んでいる可能性が高い。


さらに観察する。

光は、散っていない。部屋に漏れている様子もない。降り注いだ光は、全て受信機へ吸い込まれていく。

...となると、やはり鍵は送受信の関係だ。送信機が出した魔波が、受信機に『受け取られる』ことで、途中の経路が可視化されているのかもしれない。


ならば次にやることは、一つ。


送信レベルを上げる。


私はためらわず、送信レベルをゆっくりと上げてみた。


グラフに変化はない。

受信率も、張り付いたままだ。


だが...装置の光が、段々と色を帯びてきた。

送信レベルが上がるごとに色は明確になり、送信レベルが256になった時、光はある風景を映し出していた。


不思議な現象である。

光の向こう側に、あきらかに堅牢の間ではない、別の場所と思しき景色が見える。

木造建築物の部屋の中...見る限り、雑然と物が配置されているので、物置のように見える。


堅牢の間は強化されたコンクリートで固められており、あちこちに実験失敗の痕跡が残っている。

『殺風景』とはこれを指すんだろうな。


なので、光の中の光景は見えるハズもない。



「なんだ...これは?」


装置の状態を確認すると、どこにも異常は見つからない。異常は実験装置の間だけで発生しているのだ。

であるならば、私の取るべき行動は一つ。現場に向かう事だけだ。


堅牢の間に入ると、先ほどディスプレイで見ていた光景がそこにあった。


やはり、木造の建物の部屋の中だと思われる。

窓があるのだろうか、かすかに陽光によって部屋の中が照らされているようだ。


まずは実験装置を中心に周りをゆっくり歩いてみる事にした。

歩くと光の中の光景も移動に合わせて景色が変わっている。魔波の光を通して、別の場所の光景が透けて見えている。


これは推測だが、この魔波の光と同じようなものが、見える景色の場所に存在し、魔波の光を通して向こう側が見えているはずだ。


さて、ここまで来るともう一つ実験をしてみたくなる。


「見える景色は現実か?」


という実験だ。


ポケットから500円硬貨を取り出す。それを見える光景に向かって投げ込んでみた。


...ココーン...


木の床の上に落ちる硬質な音をたて、500円硬貨が床に落ちて転がる。

光の向こうに見える光景の床の上に。


念のため、実験装置の向こう側の床を見てみる。

500円硬貨はどこにもなかった。


これは凄い事になったな。


と、今にも踊りだしそうな心を抑え込み、改めて実験装置の向こうに見える景色を見てみる。



すると光の向こうに人影が現れた。

先ほどの500円硬貨まで進み、500円硬貨を拾い上げた。

それを信じられないものを見るように眺め...そして、こちらを見た。


目が合った。

こちらが見えている。向こうからも、私が見えている。


その目は大きく見開き、驚いている事が良く分かる。

身に着けているものは...あまり詳しくはないが、現代の洋服ではない。

なんとなくではあるが中世と呼ばれる時代のヨーロッパで見られるような、やたら飾りの多い貴族階級の服を着た若い女性だ。


彼女は一歩、また一歩と後ずさった。警戒している。

左手には杖らしきものを持っており、こちらに向けている。


どうやら、私が『次に何をするか』を直感で分かっているようだ。


さあ、最後の実験だ。

...それは、最も愚かで、最も魅力的な実験。


500円硬貨が通ったという事は、物質は移動できるという事だ。

私自身さえも。


気合いを入れ、マントを翻し、光に向かって真っすぐ進む。

目の前の女性に向かって...



光に包まれた次の瞬間、全く見覚えのない部屋の中に私は立っていた。


自分の身体をざっと確認してみる。『問題』はない。


背後を見てみる。

堅牢の間からこの部屋を見ていたように、光の中に堅牢の間が見える。

どうやら、帰り道も問題はないだろうと安心する。まだ確証はないのだが。


改めて前を見ると、女性がこちらを警戒しているのが見える。


こちらとしては敵意は全くないのだが、信じてもらうにはどうしたら良いだろうか。

しかし、それとは別に大きな『問題』がある。それは...。


(日本語...通じるかなぁ...)



女性は、先ほどの驚きの表情から険しい顔つきになっており、左手に持っていた杖のようなものを私に向けている。

どういう訳か、その杖の先端が青白く光っており、直感的にあんまり...いや、かなり歓迎されていないと感じた。


女性からしたら、広くもない部屋の中に急に見知らぬ男が現れたら誰だって驚き、後ずさり、警戒をするだろう。


改めてみると非常に整った容姿をしている「かなりの美女」である。

どう見ても西洋の女性である。少なくともそのように見える。


いささか使い古された表現になってしまうが、透き通るような白い肌。

凛々しく私を睨むその瞳は、晴れ渡る秋の空のような蒼。

強い意志を感じさせるきつく結んだ唇は、普通にしていればふっくらとしていると想像するにかたくない。

きれいな卵型のその輪郭を覆うように、艶のある軽さを感じさせる金色の長い髪。


そして...見事なプロポーション。


「ボンキュボン」とはこの事だろう...いや、プロポーションは「西洋の女性」と断定する情報としては関係ないか。


ともかく、敵意は見せないように細心の注意をした。

まっすぐ立ち、両掌を女性に見せ、軽く両手を広げる。


このファーストコンタクトを成功させる為には、彼女からのアクションを待つのが重要だと言い聞かせる。


しばらくして、女性は勇ましくも杖で私を威嚇しながら一言私に問うてきた。


「お前は誰だ?」


と...。

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