【1000文字小説】続・ドレッサー舞踏会
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「ドレッサー舞踏会」
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舞踏会、それは出会い場であり、社交場。そして女たちがセンスを競う、闘争の場でもある。
その闘争に備える少女たちが居た。
「次のペア舞踏会、相手は誰を連れて行こう」
そう呟くのは、パーマの掛かった金髪に、碧眼の美少女。彼女の名前はエマ。
「お兄さんに頼むとか?」
答えるのは、ストレートの長い黒髪に黒目の美少女。エマの親友のマリア。
「ちょっと前に怒らせちゃって、今は頼みにくいのよね」
そう言ってエマは悩む。
「前の舞踏会で捕まえたイケメンは?」
マリアが前回の戦利品を思い出す。分かってない、と言う感じでエマが答える。
「戦利品は捕まえる過程に意味があるのよ。最初から持って行っても意味がないでしょ!」
そんなエマを、うっとりとした目でマリアが見つめる。
「だったらエマちゃん。いい方法があるわ」
そう言ってマリアはエマに提案を伝える。最初は渋っていたエマも、少し考えて乗り気になった。
そして舞踏会当日がやって来た。
当日の花形になったのは、エマとマリア。
美しいシャンデリアが照らす、黒髪の美少女はマリア。紫のドレスは黒髪と黒目を伴い、その美貌はまさに妖艶。その黒目が、目の前の男を熱っぽく見つめる。
いや、その相手は男でない。それは男装した金髪碧眼の美少女、エマ。頭上でまとめられた金髪に、鮮やかな青いスーツが凛々しく映える。
エマが周りの視線を感じている。いつもなら集まるのは男の羨望と女の嫉妬の眼差し。だが、今日は女のそれも羨望へと変わっている。
(一粒で二度美味しい。これは、ハマる!)
マリアは男装のエマに夢中だ。勝気なエマの顔立ちには、あまりにも男装が似合いすぎた。たまらないマリアは、目の前のエマに思わず囁く。
「エマちゃん、大好き!愛してる!」
ノリノリになったエマは、マリアの腰を掴んで抱き寄せ、覗き込むようにそれに答える。
「私だって、愛してる!」
男たちは目を逸らしながらも横目でガン見し、女たちは黄色い歓声を上げる。
エマとマリアは、最高にいい気分となっていた。
そんな光景を見つめるのは、社交界でもお喋りで有名な御婦人。扇子でニヤケ顔を隠しながら、内心で呟く。
(いいもの見ちゃった。みんなに教えてあげなくちゃ!)
そして数日後……
家の一室で、エマが厳粛に椅子に座っている。それを冷たく見下ろすのは、父、母、そして祖父の肖像画。皆、何も言ってくれない。
(いっそ罵倒して欲しい……)
エマは内心で呟いた。
小説家になろうの企画で書いた「舞踏会」をテーマにした1000文字小説「ドレッサー舞踏会」の続きになります。
カクヨムにも投稿したら反響が良かったので、調子に乗って続きを書いてみました。




