第8話: 「静と騒の遭遇 〜ナギとハルキと、俺の胃袋〜」
朝。
拠点ゼロには珍しく、にぎやかな朝が来た。
というか、にぎやかすぎた。
「おっしゃああああ! 朝の筋トレやるぞおおおお!!」
「いっちに!にーにっ! ん?あれ、にーにっ?」
木の棒で自作したバーベルを担ぎ、ハルキが雄叫びを上げる。
EDUの端末が跳ねて震える。
「朝からうるさいの、想定外ですっ!!」
俺は頭を抱えた。
「おい、静かにしろって……ナギが来る日かもしれないんだぞ」
「ナギ? 誰それ? 新しい仲間?いいねえ!!」
そのときだった。
廃材で作った扉が、軋んだ音を立てて開いた。
「…………うるさい」
ナギ、登場。
完全に目が据わっている。
「ナ、ナギ! ちょっと今日はな、事情があってな、あの、その……」
ハルキとナギの視線がぶつかった。
この拠点に沈黙が流れる。
いや、正確にはハルキが黙ってナギを見つめてる時間なんて今までなかった。
「おお……なんだかすげぇオーラ……」
「お前、絶対強えだろ!? 一発殴り合ってみようぜ!!」
「やめろおおおおおおおお!!」
「喧嘩なら、しない。でも、邪魔なら出て行け」
ナギが低い声で言い捨てる。
空気の温度が下がった気がした。
ハルキは一瞬、黙った。
だが次の瞬間、バッと笑った。
「気に入った!!」
「俺、ここに住むわ!絶対こいつと仲良くなってやる!!」
「やめろぉぉぉぉ!!(二度目)」
ナギは無言で座り込み、スープを作り始めた。
ハルキはドラム缶でプロテインを温めてる。
EDUはいつの間にか、端末に耳栓モードを搭載してた。
そして俺は——
「胃がもたれて死にそうだ……」




