最終話 「答えのない教室──生徒たちが教師になる日」
【本校/講堂・特設ステージ】
全国から招かれた生徒・教師・教育関係者たちが集まり、
“ゼロ式感情授業の最終公開”が行われる日がやってきた。
だが――
この日の講師は、ゼロ組の“生徒たち”自身だった。
【ステージ中央/ライガ】
ライガ:「今から始まる授業には、“正解”はありません。
教科書もプリントも、採点もない。
あるのは――お前ら自身の言葉と、気持ちだけだ」
「俺たちが知りたいのは、“教育とは何か”じゃない。
“お前にとって、学ぶってどういうことか”だ」
【発表:アミ】
アミ:「あたしね、昔“なにやっても無理だな”って思ってた。
でも、“笑ってくれる人”がいて、少しずつ“やってみようかな”って思えた」
「それって、教育だと思うんだ。“生きる勇気を教えてくれる”ってことじゃん!」
【発表:ヒビキ】
ヒビキ:「俺は、誰かをぶん殴ったり、怒ったりして、
“バカ”だって言われてきた。けど……
“その怒りの奥にあった気持ち”を、聞いてくれる奴がいた」
「そのとき気づいた。“本音で向き合う”ことが、学びなんだって」
【発表:ナギ】
ナギ:「ずっと静かにしてれば、平和に過ごせると思ってた。
でもそれ、何も得てないだけだった」
「“誰かに話したい”って思ったとき、初めて“勉強”が始まった。
だから、今日は……俺の声を、お前に聞いてほしい」
【EDU:最終ログ配信】
【ゼロ式授業ライブ・最終セッション】
✅参加学園数:237校
✅同時視聴者数:48,000人
✅感情接続ログ:37,000件
【ステージ最後/時雨ミナト】
ミナト:「私は、“教師”をやめさせられた男だ。
でも今日、君たちが“生徒として何を与えてくれたか”を見て、こう思った」
「“教育”は、奪われるものじゃない。
与えられるものでもない。
“ともに創り合うもの”なんだ」
「君たちがいれば、未来は大丈夫だ。
なぜなら、“この問いを忘れなかった”からだ」
『教育とは、誰のものか?』
【静まり返った会場】
やがて、ひとつ、またひとつと拍手が起きた。
それはやがて、雷のような歓声へと変わり、
誰もが“ゼロの問い”を胸に、教室へ帰っていった。
【ラスト/旧図書室】
ゼロ組全員が集まる、いつもの空間。
笑い声が響く中、黒板にひとりずつ、好きな言葉を書いていく。
アミ:「自由」
ナギ:「怖くても、伝える」
ヒビキ:「バカでいい、でもホンモノであれ」
EDU:「今日も教育革命ぅぅ!!✨」
ミナト:「教えてくれて、ありがとう」
ライガが最後に書いたのは――
「ゼロから始まった、最高の学校生活」
《完》
『転校したらスラムだった件 〜ゼロから始める学校生活〜』
『転校したらスラムだった件〜ゼロから始める学校生活〜』をお読み頂きましてありがとうございます。
ご反響やご要望があるならば、
続編 『転校したらスラムだった件 After 〜この素晴らしい教室に祝福を!〜』
を投稿したいと思います。
「ゼロから始まった、最高の学校生活」




