表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/66

第3章 第5話 「奪還──時雨ミナト、最後の授業」

【学園塔・第七隔離層前】


重厚な鉄扉が立ちはだかる。

その中心に刻まれた、ひとつの名前。


【教育被観察対象 No.7 - MINATO.SHIGURE】


ゼロ組の誰もが、その名を見て拳を握りしめた。


EDU:「この扉、開けられます……!

でも……中に設置された“感情センサー封鎖ロック”が作動すれば、

内部との接続が完全に断たれる危険が……」


ライガ:「大丈夫。俺たちは、感情を押さえ込むような教育、したことねぇし」


アミ:「そうそう。“心が震える”ってのが、あたしらのやり方でしょ?」


ヒビキ:「行こうぜ。“あの先生”を、俺たちの手で教室に連れ戻す」


【隔離室内】


部屋は薄暗く、人工照明の白光が静かに灯っていた。

その奥――簡素な机と椅子。その背に、うつむいた男の姿。


白髪が少し混じった、やや痩せた身体。

でも、その背中は――かつての“時雨ミナト”のままだった。


EDU(小声):「生命反応、安定……

でも意識レベル、低下中……!」


ライガ:「時雨先生――!!」


その声に、ミナトがゆっくりと顔を上げる。


ミナト:「……やっぱり、来たか。

お前らなら……そうすると思ってた」


声はかすれていた。でも、目は――

あの日、ゼロ組を見つめていた時と、変わらぬ光を宿していた。


レンカ:「どうして……どうして“消された”の? どうしてひとりで背負ったのよ……」


ミナト:「……“感情教育”は、委員会からすれば“制御できない思想”だった。

だから、俺は“教育そのものに害を及ぼす異物”として……排除されたんだ」


ナギ:「ふざけんなよ……っ!!

アンタは誰よりも、“生徒を信じた教師”だったじゃねぇか!!」


ヒビキ:「……だから今度は、俺たちが“教師を信じる生徒”として、救いに来たんだよ!」


アミ:「……帰ろうよ。ゼロ組の教室に、もう一度、先生が必要なんだ」


ミナトは、長く沈黙し――

やがて、静かに立ち上がった。


「ああ……そうか。

教師ってのは、“教壇に立てる”ことじゃなくて、

“信じられている”ことなんだな」


「ありがとう。俺を、まだ“先生”って呼んでくれて」


【数分後/脱出ルート】


警報が鳴り響く。

扉のロックが自動で閉まり始める。


EDU:「早くっ!非常通路を抜ければ――!」


ミナト:「……行け。お前らだけでも、教室に戻れ!」


ライガ:「ふざけんな!俺たちは――全員で“教室”に帰るんだ!」


レンカ:「ゼロ組に、“欠けていい人間”なんていないの!!」


仲間の手が、ミナトの腕を掴む。

彼の身体が、ゆっくりと立ち上がる。


そして、その瞬間――

封鎖された教育施設の奥で、“授業の鐘”が幻のように鳴った気がした。


【夜/スラム拠点:旧図書室】


帰還したゼロ組。

そこには、教師・時雨ミナトがいた。


かつてと同じ姿ではない。

でも、生徒の笑顔の真ん中にいる、その背中は確かに“教壇に立つ者”だった。




次回予告:

「ゼロ組、再起動──時雨ミナト、授業へ」

再び教室に立つ男が語る、“本当の教育”とは――

そして、教育委員会が“最終手段”を発動する……!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ