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第3章 第3話 「審査報告会──ゼロ組、認可か抹消か」

【翌週/教育委員会審査本部・第一会議室】


磨き上げられたガラスの円卓に、

委員たちが整然と座る。

その中央に、資料を携えた視察官・天霧の姿。


その手元には、“ゼロ組の活動記録”、

そして“本校生徒の心の変化”を示すアンケート結果。


委員A:「では視察報告を」


天霧:「はい」


「結論から述べます。ゼロ組の教育活動は――“教育の定義において再考を要する”と認識」


委員B:「曖昧だな。認めるのか、認めないのか?」


天霧(静かに深呼吸し):「……私は、彼らの教育を“現場での成果”として評価します。

形式的には未整備。しかし、生徒の“自発的変化”が数値以上に明確です」


委員長(年配の男性):「だが、問題があるな。

“彼らを指導していた教師”がいない。

つまり――誰が責任を取るのか」


その瞬間、会議室に沈黙が走る。


委員長:「“時雨セイ”――かつてゼロ組を担当していた教師だな。

彼女は、どこへ行った?」


天霧(目を伏せながら):「……その名は、記録から削除されています」


委員C:「ふざけるな。我々の管轄から“記録ごと”人間が消えているのか?」

委員B:「誰がそれを命じた?」


天霧:「……上層の指示。

詳細は機密扱いとなっており、開示権限はありません」


【同時刻/旧図書室(ゼロ組拠点)】


アミ:「ねぇ、なんか、今日って裁定の日だよね……」


ナギ:「審査会で何が話されてるのか、全然わかんねぇ……」


ライガ:「でも、もし“認められた”ら……うちら、次のフェーズに進める」

「だけど、もし“潰される”なら――もう、真正面からぶつかるしかない」


そのとき、EDUが通信端末にエラー通知を受ける。


EDU:「……!な、なにかが、“外部通信網”からアクセスを試みています!」


レンカ:「誰?」


EDU:「識別IDは――“SEI・SHIGURE”。

消去されたはずの、時雨先生のIDです!!」


一同:「……!!」


【審査会場】


委員長:「視察官・天霧。あなたは、彼らの教育を“新しいモデル”として推奨するか?」


天霧:「――はい。

“形式のない教育”にも、人は学ぶということを、私は現場で知りました」


「だからこそ、私は“もう一度、現場の声を制度に戻したい”と考えています」


委員A:「……わかった。“条件付き仮認可”としよう。

指導責任者が明確になった時点で、再審査とする」


【放課後/本校・放送室】


EDU:「速報入電!教育委員会から正式通達ありましたぁ!!」


アミ:「どっち!?!?」


EDU:「ゼロ組、仮認可決定!!!✨

ただし、“指導責任者不在のため、要再審査”とのことです!」


ヒビキ:「よっしゃああああ!!ギリ勝ったッ!!」

ナギ:「でも、“次”が勝負ってことだよな……」


ライガ:「ああ。……そして、“あいつ”の名前が、戻ってきた」


「時雨先生が、まだ俺たちを見てくれてるってことだ」




次回予告:

「封印解除──時雨セイ、痕跡を残す」

ゼロ組がついにアクセスする、“教育委員会が隠してきた”教師の真実とは!?



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