第2章 第5話: 「校則違反──教育の自由、封じられる日」
【朝/本校・正門前】
今日も本校の朝は静寂で始まる。
誰も喋らず、無駄のない登校列。
張り詰めた空気は、“正しさ”の象徴。
そこに――
「うぇーい!今日も生きてるって感じィ〜!!」
「EDU、今日の朝メッセージ頼む!」
「みなさま、おはようございますっ!!✨
本日も革命的1日になりますよう、教育熱量全開でいきましょうぅぅっ!」
ゼロ組が、笑顔で歩いてきた。
【教室・3年D組】
担任教師が教室に入るなり、ピシャリと一言。
「ゼロ組の皆さん、連絡があります。
昨日の“交流授業”について、生徒会から正式な指導が入りました」
全員の視線がゼロ組へ注がれる。
担任:「“自己表現を主とする教育活動”は、
本校学則第28条【教育効率規範】に抵触します」
レンカ:「……それ、どういう意味?」
担任:「“感情教育”“即興発表”“集団談話形式”──
すべて、“認可された指導計画に基づかない”非公式授業と見なされると」
ナギ:「はぁ!?ただ“好きなもん”喋っただけだぞ!?」
ヒビキ:「俺たちの授業、校則違反なのかよ……」
アミ:「ってことは、今日の“授業”できないの!?」
【廊下】
レンカが担任を追いかける。
レンカ:「校則って、“教える方法”まで規制してるの?」
担任:「規制というより、“守らせるため”にあります。
本校では、“計画された教育”が最も尊重されるのです」
【昼休み/校庭裏】
EDU:「これはいよいよ、“自由 vs 校則”の全面戦争に突入かもしれませんねっ!」
ライガは静かに立ち上がる。
「……授業ができないなら、“聞きに来る側”を作るだけだ」
【放課後/特別教室・通称“ゼロの間”】
黒板には大きく書かれた文字。
「本日の授業:何を話したら“怒られる”のか?」
ナギ:「挑発ぅぅ!!W」
アミ:「この授業やばすぎィィ!!好きッ!!」
【参加希望者:12名(本校の1〜3年混合)】
本校生徒A:「本当は昨日、ちょっと泣きそうだった。
でもそれを“言ったら怒られる”気がして……」
本校生徒B:「好きなことを語って、注意された。
だから“間違ってたのかな”って……」
ヒビキ:「それ、ぜーんぶ“怒られる側にされた”だけな」
「間違ってねぇ。言ってよかったんだよ」
そのとき、ガチャッと扉が開く。
現れたのは――生徒会直属監視官。
監視官:「この活動は、“許可なき授業”と見なします。
本日より、“ゼロの間”の教育活動を停止してください」
ライガ:「……は?教室で話してただけだぜ?」
監視官:「“学び合い”が発生すれば、それは教育行為。
教育は“指導計画の支配下”にあるべきです」
EDU(震え声):「教育って……
“本当に、管理されなきゃいけないものなんですかぁ……?」
【その夜/スラム拠点】
ライガ:「なあ、お前らに聞く。
俺たちが“授業”したいのは、なんでだ?」
ヒビキ:「答えなんて一個だろ。
“このクソ制度の中でも、生きててよかったって言える場所”を作りたいからだ」
アミ:「居場所作りたいだけなのに、“校則違反”って言われるの、ほんっとムカつくよね……」
レンカ:「……でも、逆に言えば、それだけ“影響を与えた”ってことよ」
ライガ:「だったら……徹底的にやるしかねぇな」
次回予告:
「非認可授業、決行!ゼロ組の“禁止された授業”」
― その授業が、生徒たちの心を奪うとき、“制度のほうが問われる”!




