第44話: 「最後の授業──ゼロ組vsセラフィム、教育の頂上決戦」
【W区特設ホール/公開対抗授業・最終日】
白い光が差し込む講堂。
そこに並ぶのは、かつて白教室で無表情だった子どもたち──
だが、今は違う。彼らの瞳には、“選ぶ意志”が宿っている。
中央には、2つの講壇。
右:セラフィム=クロード
左:ライガ率いるゼロ組
観客席には、各スラム教室の代表や元白教官、仮設教師たち。
そして、学園本部からも特別審査官が到着していた。
EDU:「あああああ!これはもう……教育界の最終決戦ですっ!!」
セラフィムが口を開く。
「今日が最後の授業となる。
この場で、どちらの教育が“真に正しい”かを示す」
【テーマ:『世界を変えるには、どう学ぶか』】
セラフィムは理路整然と語り出した。
「変革に必要なのは、個ではなく“集団効率”」
「徹底した成果主義に基づく知識獲得。
それこそが“世界を変える正解”だ」
「感情、希望、夢。それらは変革に不要。
冷静に、着実に、正しいルートを歩ませることが教育の本質」
沈黙の中、子どもたちがうつむく……
だが、その目に浮かぶのは“戸惑い”ではない。“違和感”だ。
そして──
ライガが立ち上がる。
「じゃあ、俺の番だな」
ライガ:「俺は、みんなに聞きたい」
「“正しい”って言葉に、心はあるか?」
「笑えない教室に、本当に“未来”があるのか?」
彼は、黒板にチョークでこう書いた。
『学ぶことは、“生きること”だ。』
ライガ:「間違えても、バカにされても、途中で投げてもいい。
でも、その先で“また学びたい”って思えるなら、それが教育だ」
子どもたちが静かに涙を流しながら、笑った。
「あたし、もう一回、“自分の声”で話したい」
「ううん、もっと……話したい!」
レンカ:「教育は、記憶じゃない。“関係”よ」
「誰かと一緒に、考えて、間違って、笑って……それが、教室の正体」
セラフィム:「……感情で世界は救えない」
ライガ:「でも、感情がなきゃ“世界を変えよう”ってすら思えねぇだろ?」
静寂。
その中で、セラフィムの手がわずかに震えた。
「私の……教育は……間違っていたのか?」
ひとりの少年が立ち上がる。
白教室にいた、最も“優等生”だった少年が、
泣きながら、叫んだ。
「先生……!笑ってください!」
「あなたも、きっと、昔は笑ってた!!」
……その瞬間。
セラフィムは、初めて、ほんの少し、笑った。
「……愚かな感情だ。
だが、確かに……温かい」
審査官:「判定の必要はありません。
生徒たちの表情が、答えです」




