第34話: 「スラムの影、そして失われた教師」
【深夜/拠点ゼロ】
レンカの立てたホワイトボードには、スラム区の地図が広がっていた。
赤いピンが打たれたのは、ゼロ組が以前活動していたエリア。
青いピンは、レンカの旧拠点。
そして黒いピン――それは、今は“支配下”に落ちた区域を示していた。
レンカ:「……三箇所。全部、潰されたわ」
「私が築いた情報網も、物資ルートも。あいつら……“Dブロック組織連合”は容赦なかった」
「連中のやり口は、ただの縄張り争いじゃない。もっと……戦略的」
ナギ:「つまり……ただのスラムのチンピラじゃないってことか」
ライガは地図を睨みつける。
「その“Dブロック連合”ってやつ……放っておくと、スラム全域が奴らの支配下に入るな」
EDU:「情報解析中ですがっ! どうやらその背後には“学園本部からの資金提供”の影もありますっ!!」
全員:「……は?」
EDU:「正確には、“生徒会保守派”の一部資産が“裏の支援ルート”を通じて流れてますっ」
「つまり、レンカさんを潰した連中は……ゼロ組そのものを潰す準備をしてる可能性が高いですっ!」
その瞬間、EDUの光が赤く点滅した。
EDU:「新着警告メッセージ……!」
『指導担当・時雨レイジは、学園保安局命令により“一時隔離”されています』
『安全保障上の理由により、外部との接触を制限します』
『復帰時期:未定』
アミ:「えっ……時雨先生、捕まったの……?」
ハルキ:「ウソだろ……! なんで……!?」
ライガ:「どおりで、なかなか戻ってこないと思っていたが……繋がったな」
「あいつら、俺たちが“本気で学ぼうとしてる”のが怖いんだ」
「だから、レンカを潰して、スラムを抑えて、時雨先生まで奪って……」
「全部、潰そうとしてる。俺たちの“教室”を」
レンカが言った。
「なら、やることは一つね。**“取り返す”のよ。スラムも、先生も、私たちの教室も」
「あの時、私は支配しようとして失敗した。でも、今度は違う」
「“ゼロ組”として、みんなで取り返すのよ」
ライガは、拳を握って言った。
「いいか、これはもう授業じゃねぇ。戦いだ」
「だけど俺たちは、武器を持たねぇ。教室を持って戦うんだ」




