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第33話: 「烏丸レンカの正体――スラムの影を統べた少女」

【放課後/ゼロ組・焚き火の周り】


夕食後のひととき、ゼロ組の面々はリラックスしていた。


ライガが木の枝で炭をつつきながら、ふと思い出したように言った。


「そういえばさ……レンカ、俺が転校して最初にあった時、お前“スラムを仕切ってる”とか言ってなかった?」


一瞬、空気が止まる。


アミ:「え?そんな事、言ったの!冗談でしょ?」


ハルキ:「見た目だけはボスっぽいけどなW」


皆が笑い合う中、レンカだけが静かだった。


「……冗談じゃないわよ」


その声は、炎の揺らめきに溶けて冷たく響いた。


「私は、かつて“仕切っていた”わ。スラムの、経済を」


場が静まり返る。


ヒビキが表情を強張らせ、低く呟いた。


「まさか……《C.R.》って、お前……」


レンカ:「ええ。“C.R.”——烏丸レンカ。匿名取引ネットワークのコードネームよ」


レンカはゆっくりと立ち上がり、焚き火を背に語り始めた。


「学園がスラムを“捨てた場所”にした時、残された子どもたちは飢え、奪い合い、壊れていった」

「私は、祖父……理事長の情報網を使って、スラム内の取引を一括管理するネットワークを作ったの」

「換金、食糧の配布、情報の流通……それが“影の経済圏”として機能し始めた」


「私は、表では優等生。裏では“供給元”。

スラムのいくつかの区画は、間接的に私の裁量で生きていたわ」


ナギ:「……それが、なんでうちに来た?」


レンカは小さく笑った。


「壊されたのよ。“別の勢力”に」

「急激に大きくなった私の影に、警戒した連中がいた。

“白衛隊シンパ”の武力派閥、そして……もう一つ、もっと厄介な存在が」


「情報網は壊され、拠点も奪われた。

 私は“支配者”としてではなく、ただの“敗者”としてスラムを彷徨っていた」


「そのとき見つけたのが、あの瓦礫の“教室”。あなたたちよ」


ライガ:「……最初から、ただの転校生じゃなかったんだな」


レンカ:「ええ。最初は“観察”のつもりだったわ」


「でも、気づいたの。“支配するより、一緒に学ぶ方が、ずっと強い”って」


ナギが、ポツリとつぶやいた。


「……ゼロ組、すげぇな。どんな奴でも居場所になっちまう」


ハルキ:「もう“烏丸様”って呼ぶか……!?」


レンカ:「やめなさい。殴るわよ」


その夜。

ゼロ組の壁に、レンカが新たな紙を貼った。


『経済復旧計画:フェーズゼロ』

『スラム区・独立教育拠点への支援網構築』


EDU:「レンカさん、正式にゼロ組の参謀就任ですねっ!!」


ライガ:「……頼もしいやつが、本当に仲間になったな」



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