第20話: 「ゼロ組VS玖堂カイ! 牙を持たない者たちの反撃」
旧教化センター——
その中央ホールに、冷たい靴音が響いた。
コートの裾が揺れるたび、
まるで空気が、重たくなる。
「玖堂カイ。学園治安部執行官。対象“ゼロ組”……排除任務、開始する」
彼の視線は、まるで“機械の照準”。
命に対する感情が、存在していない。
ハルキが、先陣を切った。
「筋肉には通じねえ話だな。来いよ、カイ!!」
拳と拳がぶつかる。
——否。ハルキの拳を、カイは指一本で受け止めた。
「遅い。重い。無駄だ」
背中を取ったかと思えば、一瞬で肘が返され、
ハルキの巨体が床に叩きつけられた。
「ハルキ!!」
俺が叫んだ瞬間、ナギが背後からカイに手裏剣状の金属片を投げる。
だがカイはそれを、振り向きもせず指先で弾いた。
「次は誰だ? “弱者の希望”など、幻想に過ぎん」
その時——EDUが叫ぶ。
「ライガさん!戦闘スペックで勝てません!このままでは皆、やられます!!」
俺は、地図を見ながら叫んだ。
「なら……戦場を変える!」
「皆、中央ホールを捨てろ!狭い通路へ誘導するんだ!」
◆ ゼロ組:ゲリラ作戦開始!
コウタが廊下の照明を落とす
レイが端末ハッキングで通路の自動ドアを開閉トラップ化
ナギが通風口から仕込んだ“缶玉スモーク”が視界を奪う
ミカとリュウが、手話とスピーカーでカイの位置を音で撹乱する
カイ:「……なるほど、“戦えない者たち”の戦いか」
だが、その動きを冷静に見切る。
「それでも——俺には届かない」
その時だった。
ボロボロの体で、ハルキが再び立ち上がった。
「なぁ、カイ……お前、なんでそんなに強いのに……弱ぇんだ?」
カイ:「……どういう意味だ」
「仲間いねぇからだよ。背負うもんねぇから、好き勝手やれてんだろ」
「でもな、俺たちは違う。“帰る場所”があるんだよ。だから——」
「その分、死んでも負けられねぇ!!」
ハルキの叫びと同時に、
俺たち全員が動いた。
・ハルキが囮になって突っ込む
・カイが反応→レイの開閉トラップで足止め
・ナギのスモーク&足場崩しで体勢を崩す
・EDUが、全ドアを同時解放して——
「カイを、“吹き飛ばせ”ッ!!」
最後に、俺が天井から落としたのは——
重ねた机とコンクリートブロック。
ドオォォンッ!!
土煙と轟音が施設を包んだ。
静寂の中。
玖堂カイが、床に膝をついていた。
「……この、俺が……?」
「生徒に……出し抜かれた……だと?」
俺は、ゆっくりと言った。
「俺たちは牙がない。でも、知恵がある」
「そして……仲間がいる。」
カイが静かに笑った。
「……なるほど。ゼロ組、か」
「この名前……覚えておこう」
そのまま、彼は意識を失い、倒れた。
【奪還ミッション:成功】




