第1話:配属先:スラム区(通称:ゴミ捨て場)
「……え?“正式登録なし”?どういうこと?」
俺の言葉に、返ってきたのはAIの無機質な音声だった。
《確認:特待枠・七瀬ライガ。配属区域――該当なし。分類:管理外個体。スラム区へ移送処理中。》
「スラム区ってなんだよ!」
叫ぶ間もなく、俺の足元が沈み――
床がパカッと開いた。
ドサァァッ!!
落ちた先は、コンクリむき出しの空間。
天井の鉄格子から差し込む光だけが、俺の転落を照らしていた。
「……新入りか?」
声がした。
振り向くと、鉄パイプを肩に乗せた女生徒が立っていた。
黒髪ポニテに血の気の引いた目。
制服は破れ、靴は片方しかない。
「私は烏丸レンカ。ここのまとめ役だ。あんた、運が悪かったな」
「運が悪い?冗談じゃない、ここはどこだよ」
「“スラム区”。正式名称は“第零区域”。
表向きは存在しない場所。ここに配属されたやつは、学園の“失敗作”って扱いだ」
俺は言葉を失った。
進学校だと思ってた。
再起のチャンスだと信じてた。
でもここは——
壁には血の跡、天井は剥がれ、空気は鉄臭い。
周囲にはボロ布を被った連中が数十人、横たわっている。
俺が“転校”してきた先は、
教室じゃなく、社会のゴミ箱だった。
「ようこそ、無冥学園へ」
レンカが皮肉っぽく笑う。
「ここで生き残れたら、拍手ものだぜ。転校生」
……でも、俺は、もう決めてる。
何度でも這い上がるって。
この地獄のような学校で、
俺は――
「ぶっ壊してやるよ。この“学園スラム”ってやつをな」