第17話: 「ゼロ組に“先生”がやってくる! その名は、鬼教官・時雨」
その日、スラムに雷のような足音が鳴り響いた。
EDU:「監査者、接近中。……これはヤバいですっ☆」
「どこがどうヤバいんだよ!」
「担当教員:時雨ミナト」
「元・第一学区特別戦術教官。あだ名:“鬼教官”」
「職務歴:暴動鎮圧6回、授業中の逃走者ゼロ、通知表で生徒が泣いた件数多数」
そして、姿を現したのは一人の男。
軍服を思わせる黒いジャケット。無表情。背筋が軍刀みたいにまっすぐ。
「……貴様らが、ゼロ組か」
「担任代行、時雨ミナト。今より、“貴様らの教育”を始める」
◆ 第一印象:地獄
いきなり朝礼5分で「整列訓練」
ハルキ:開始2分で腕立て命令
ナギ:目が合っただけで「態度が気に入らん」と座禅させられる
コウタ:質問したら「質問は訓練後だ」と黙らせられる
EDU:ビビって「ミュートモード」に突入
「貴様らが作ったこの“教室ごっこ”……その甘さ、俺が叩き直してやる」
「だが——」
時雨は、全員を見渡した。
「一つ、認めることがある。お前たちは、逃げずに集まった」
「このスラムで、それは奇跡だ。だからこそ、俺は本気で教える」
午後の授業は、**“命を守る基礎訓練”**だった。
ロープワーク(避難時用)
空き缶と布を使った簡易担架の制作
他人に指示を出すための「声の出し方」訓練
途中、レイが倒れた。
「……無理……やっぱ、私、戻れない」
「あたしみたいな奴が、教室にいていいわけ……」
そのとき——
時雨は、声を低くした。
「戻れ。お前が戻ることで、教室が完成する」
「いなければ、未完成のままだ。……不完全は、俺が嫌いなんだ」
レイは……少しだけ、泣きながら頷いた。
授業が終わったあと、皆がバテて横たわる中——
時雨はポツリと、ライガにだけ言った。
「……お前は、“教師の器”を持っている」
「だが、教師には“覚悟”が要る。誰かの未来を、握ってしまう立場だ」
「その責任、背負えるか?」
ライガは、静かにうなずいた。
「まだ答えは出せない。けど、逃げるつもりはない」




