第15話: 「10人を集めろ!“ゼロ組”設立ミッション開始!」
「……これ、マジでやるのか?」
俺は、アスカから渡された“学級登録申請フォーム”を見つめていた。
『仮登録名:「自治区ゼロ」——通称:ゼロ組』
『申請条件:構成人数10名以上、教育活動の証明、指導担当の有無(AI不可)』
要するに、スラムのど真ん中に**“もうひとつのクラス”を作れ**ってことだ。
まるで冗談みたいだが——
今ここにいる皆の顔を見ると、なぜかやる気が湧いてきた。
「いいねえええ!!学級ってことはあれだな!?
俺が体育の先生で、ナギが保健の先生で、ライガが……担任か!!」
「勝手に決めるなハルキ!ナギに勝手に“保健”押しつけるな!」
「……うるさい(と言いながらハーブティー配布中)」
EDU:「ちなみに私は“副教頭・広報・生活指導・教務主任・給食管理”を兼任ですっ☆」
「多すぎるわ!!!」
だが、笑ってる場合じゃない。
条件は「10人」。
今いるのは、ライガ、ナギ、ハルキ、コウタ、アミ……あと子どもたち数人。
あと3〜4人、新たな“仲間”が必要だった。
「じゃあ、声かける相手はどうする?」
「こっちの名前はもうスラム中で噂になってる。“ゼロ組ってやつが人集めてる”って」
「でもそれ聞いて、笑ってる奴もいりゃ、警戒してる奴もいる」
コウタの言葉に、ナギがぽつりと呟いた。
「……“裏切られた奴ら”に、声をかける」
◆ ◆ ◆
【その1:元・優等生→問題児にされた少女:沢井レイ】
元・第2区在籍。家庭の事情で成績が急落しただけで“異常者扱い”され、スラム送り。
今は古本を読んで一人暮らし。口が悪く、人間不信。
「学校? 勉強? 仲間? 笑わせんな」
「“先生”が私を見捨てた。そんなもん、もう信じない」
→ ライガ:「それでも、お前の知識が誰かの命を救うかもしれない」
→ レイ:「……は? わけわかんない。でも、考えとく」
【その2:喧嘩狂の留年生:ガジ】
年齢不詳。筋トレ基地に住みついてる。すぐ殴る。全身傷だらけ。
→ ハルキとバチバチに殴り合いになる。
→ 10分後:「気に入った!俺、ゼロ組入るわ!」
→ ナギ:「……バカが増えた」
【その3:無口な弟と話せない姉:蒼井ミカ&リュウ】
姉は声が出せない。弟は他人と話せない。
“音”を介してしか心が通じないきょうだい。
→ EDUが即興で“ビジュアルボイス端末”を作成し、交流可能に。
→ ライガ:「言葉にならなくても、気持ちは届く。そうだろ?」
→ 姉弟:コクンと頷く。
そして。
集まった人数は——ちょうど10人。
「ゼロから始まった、俺たちのクラス《ゼロ組》」
「学園には存在しない。だけど、ここには確かに“学び”がある」
「だから俺は宣言する!」
「この地に、もう一つの教室をつくる!」
「“スラム学級《ゼロ組》”、設立だッ!!」




