第13話: 「監視の眼、スラムに降る。生徒会《監視班》始動」
翌朝、EDUの起動音がやけに低かった。
「……ライガさん。外部からのアクセスログを検知しました」
「外部って……どこから?」
「学園中枢サーバー……“生徒会本部ネットワーク”です」
学園最上層、“選抜生徒”によって構成された生徒会。
その実態は、教育という名のもとに管理と選別を司る、
ミニ国家レベルの権力機構だ。
その中でも特に厄介なのが——
「“監視班”……通称の動きが活性化しています」
◆ ◆ ◆
場所は学園上層、第1ブロック “情報管理室”
生徒会副会長:**常磐アスカ(ときわ・あすか)**がモニターを見つめる。
長い黒髪、無表情、眼鏡。
言葉数は少ないが、“全てを把握していないと気が済まない”完璧主義者。
「……スラムに、異常な動きがある」
「第5層の子供たちが、複数、単一拠点に集結」
「行動履歴には……“仮設ベース・ゼロ”という名前が記録されている」
生徒A:「まさか、自治区……?」
「“秩序なき区域”が自ら秩序を作るなど、学園の権威への反逆行為に等しい」
「観察対象——調査、優先順位:A」
◆ ◆ ◆
その頃、拠点ゼロでは。
EDUが低音で警告を鳴らしていた。
「“電波照射型ドローン”の進入を確認。
※このタイプは生徒会以外、使用不可能です」
「……見られてるな」
ナギはすでにフードを被り、警戒モード。
ハルキは筋トレをやめ、木刀を握っていた。
「よぉ、ライガ。やるなら、俺、正面突破でいい?」
「違う。まだ、喧嘩じゃない。交渉の前の睨み合いだ」
俺たちは変わらない。
でも、もう——気づかれてしまった。




