第10話: 「瓦礫の向こうにいた奴ら ~スラム第5層の子供たち~」
「……EDU、このマップ、妙に空白多くないか?」
「はいっ。第5スラム層は“記録抹消エリア”扱いになっていて、AIアクセスが制限されています」
「記録……抹消……?」
「要するに“問題が多すぎて放置されたゾーン”ですねっ☆」
俺たちは今、第3スラム層の境界付近にいる。
気配を感じて、瓦礫を越えた先——
そこにいたのは、子供たちだけのグループだった。
年齢は、小学生〜中学生くらい。
明らかに栄養不足、ボロボロの服、だが目だけはギラついている。
「……誰だよ、お前ら」
棒を構えた少年が睨んでくる。
だが、その棒は定規をくくっただけの即席武器だった。
俺は、静かに手を上げた。
「敵じゃない。飯を持ってる」
「交換しよう。“話”と“信頼”と、缶詰ひとつで」
◆ ◆ ◆
子供たちは、かつて**学園の社会実験クラス“特殊育成組”**に入れられていた。
「自己管理による社会性育成」と称して、支援も教師も与えられず、
問題児とされた生徒だけが隔離されていた——
それが、この“第5層”。
そして制度が消えた今、彼らは「いない者」として放置されていた。
ナギは黙って、水と包帯を差し出した。
ハルキはいつの間にか「筋肉遊び教室」とか始めてる。
「一緒に腕立てしてぇやつはどこだあああ!!」
EDUは無言で「テンション過多警報:警戒レベル1」を表示してる。
俺は思った。
「この子たちも、スラムの“生徒”だ」
ここに教科書はない。机もない。
でも、“学ぶこと”を俺たちが示すことはできる。
「俺の名前はライガ。仮設ベース・ゼロの代表だ」
「もしよければ、“こっち側”に来ないか?」




