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夢の終わり
それからあとは、最悪だった。
「殿下!! スチュワート殿下!」
異変に気がついたのだろう。
遠くの騎士たちが走ってくる音が聞こえ、絶望という言葉が最も近い表情でフローラがこちらを眺めているのが目に入った。
その瞳からはとめどなく涙があふれ、光を失っていた。
ハルクが何かを伝えていたようだったけど、彼女は反応せず、そのまま力なく座り込んでしまった。
同じく動けなくなった俺は、騎士たちに支えられながらそのまま意識を失っていった。
それが、俺が幸せを感じたあの深い森の小さな小屋での最後のひとときになった。




