表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/108

魔女が大好きな騎士のお話

 運命の日は、すぐにやってきた。


 夜が眠れないのか、フローラが日中眠そうにしていることが増えた。


 時間が来たら起こしますよ、とお伝えしても大丈夫だと一点張りのくせに強い睡魔には敵わないのだろう。お昼ご飯を食べたあとは特に眠そうにしていた。


「フローラ、どうぞ」


 ぼんやりした状態のフローラが顔を上げる。


 午前中はせっせと薬草づくりに励んでいたが、そろそろ電池切れのようだ。


 自分の肩を指すと、そのまま俺の胸に頭を預ける。


 いつもなら絶対になかったしぐさだ。


「フローラ、無理はしないでくださいね」


 この声がどこまで彼女に届いたのかはわからない。


 言い終わる前に彼女は小さく寝息を立て始めたからだ。


「フローラ」


 愛おしくてたまらないのに、どうしようもできない。


 それがとても苦しかった。


「フローラ、触りますね」


 そっと彼女を抱きかかえ、そばに置いていたタオルケットを彼女にかける。


 とても軽い。


 こんな小さな体で頑張っているのかとしみじみ思ってしまうほどに。


「フローラ」


 一体どうすれば、あなたとこれからも共に過ごしていけるのだろうか。


 ずっとずっと考えている。


 彼女の幸せを願いつつ、いつも自分本位になってしまうことが嫌になる。


 目覚めたときは、また彼女が笑ってくれることを願い、窓の外に目を向けた。


 モフモフが飛んでいた。


 ユリシス様の話で知ったのだが、モフモフは王家の人間のみが扱える生き物なのだとか。


 そんなことがフローラに知られたら、俺の正体なんてすぐにバレていただろう。


 思わず苦笑しながらも、フローラの頬に触れる。


「すぐ、戻ります」


 外で待機をしているのはハルク率いる近衛騎士たちだろう。結界を解く必要がある。


 あーあ、とこらえきれないため息を吐き、名残惜しくも外へと繋がる扉を開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ