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アベンシャール国の末王子

 アベンシャールには五人の王子がいる。


 そのうちのひとり、末王子はかつて国に仕える魔女の孫娘によって呪いをかけられた。


 しばらく彼は公の場に姿を見せなくなったという。


 その間、呪いを解くために国に仕えるすべての術士が全力を尽くしたと言われる。


 次に人が彼の姿を見たときまるで人が変わったと口々に囁かれたほどだったそうだ。


 文武両道で自分自身に厳しく、人望も厚い。さらには騎士に劣らないくらいの戦闘力を持ち、洗練された太刀振舞と気品に満ちた姿は、年頃の令嬢達を虜にし、様々な人間の視線を奪ったという。


 しかしながら、彼はかつてと明らかに違う部分があった。


 笑っていても心が、ここにない。


 常に遠くを見つめていて、近くにいても遠い。そう表現したものもいる。


 彼の婚約者になりたいと名乗り出る令嬢は星の数ほどいたが、彼は笑顔でかわし続けたそうだ。


 笑顔は彼の鎧で、本当の部分で人を寄せ付けない。


 彼は変わってしまった。


 アベンシャールの末王子は、心を失ったのだ。


 それが、魔女にかけられた彼の呪いだった。



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