エピローグ
長きに渡り、栄華を誇ったアベンシャール国にかつて五人の王子がいた。
第一王子が王位を継承し、ますますの繁栄を遂げたその国で、続く王子たちは兄の手となり足となり、第一王子を支えた。
特にその末王子は騎士として、外から国を守り続けた。
その傍らには、絶大な魔力を誇る魔女が常にそばに居続けたという。
穏やかで冷静沈着だった末王子は、恐ろしい魔女の呪いにかかり、別人のようになってしまったのだと恐れる者もいた。
末王子は、魔女以外見えなくなった。
そう言われることもあった。
戦場でその銀色の髪を見たものは『銀の獣』を見たと表現し、彼はもう人間ではないのだと国外からも恐れられるようになった。
凶悪な魔女は末王子に捕らえられてしまったのかもしれない。
捕らえた挙句、我が物顔で魔女の力を利用しているのだと。
人から人へと語り継がれる噂の中にはふたりの様々な逸話があった。
その話を耳にするたび、王子たちは声を上げて笑ったのだという。
彼らのほかに、深く深く誰も知らない森の奥で、騎士と魔女とその家族たちが楽しそうに笑い合い生活している姿を知るものは誰もいない。




