記念日の再会
他のWeb小説投稿サイトに、自身の書いた小説を投稿したことはありますが、この「小説家になろう」に投稿するのは初めてです。よろしくお願いします。
主人公がとある出会いや出来事を通して、物語の根幹へと迫っていくお話です。ここで話す事が出来るのはこれだけですので、皆さんの目でどんなお話なのか、是非確かめていって下さい。
よろしくお願いします。
ここは人間とモンスターが共存する世界。
人々の暮らす村や町の周辺には、大小様々なモンスターが息づいている。その姿かたちは荒々しく、時には人々を怯えさせるものもいるが、同時に多くの人々にとって不可欠な存在でもあった。
モンスターの肉や皮、時には血や骨までもが、人間の生活を支えている。
狩りを生業とする者たち――「ハンター」と呼ばれる者たちは、狩り場へ赴き、命を懸けてモンスターを狩ることで生活を立てている。彼らは村や町の守り手であり、同時に収入源でもある。モンスターとの共存は決して平穏なものではないが、古くから続くこの世界の理だ。
人類もまた、モンスターを恐れながらもある種の畏敬の念を抱いている。モンスターの存在がなければ、自分たちの暮らしは立ち行かない。しかし、殆どのモンスターは自分達に害をもたらしてしまう。それゆえに、人とモンスターの間には奇妙なバランスが成り立っている。
そんな世界のとある村では、慰霊をする記念日「霊祭」が行われていた。
その村とは「ルナレア村」。温帯とも亜寒帯ともとれる微妙な涼しさが特徴だ。村の規模は小さく、都市からははずれた場所に位置するため、そういった庇護は受けていない。温帯とも亜寒帯ともとれる微妙な涼しさが特徴だ。
そんなルナレア村に、アセロンという男がいた。
――――――
アセロンはルナレア村で行われる慰霊祭に合わせ、久しぶりに故郷へと戻ってきていた。夕暮れの空に、村の祭りの準備をする人々の姿が映える中、彼は幼馴染みたちと共に並んで立ち、懐かしい村の景色を眺めていた。
彼らは“ハンター”だ。しかし、全員ただの狩人ではない。モンスターと人間の共存が揺らぐ中で、人々の守護者として圧倒的な力を誇る「フォルガー」と呼ばれる精鋭のハンターたちだった。しかもそのフォルガー中でも特に腕が立つ彼らは、村の誇りであり、頼りでもある。
「やっぱり、皆とじゃないと落ち着かないな」
アセロンの隣でシリウスが穏やかに笑みを浮かべた。彼はハンターとして冷静で判断力に優れ、堅実な物腰が仲間を支えるリーダー的な存在だ。その真面目な性格は村の人々からも信頼され、フォルガーの一人として活動し続けている。
「ほんと、みんなが揃うとなんだか安心するよね」
少し後ろから優しく微笑むのはレオだ。彼は五人の中でも特に優しく、柔らかな心を持つ青年で、戦闘時にも仲間のサポートに回ることが多い。ハンターとしての腕も確かだが、その穏やかな人柄が周囲に与える安らぎこそが彼の強みだ。
「そりゃあみんな揃ってないと、心配になるわよね。でも、集まってくれて良かったわ」
そして、腕を組みながら言ったのはミラ。19歳にして才気あふれる彼女は、幼少期から男たちに囲まれて育ったこともあり、気が強い。その性格は戦闘スタイルにもよく表れており、自身の身体能力に任せて戦う姿勢が特徴的だ。彼女もまた、フォルガーの名に恥じない狩猟技術を持つ若き天才である。
彼女は19歳という若さ故に、レオと共に行動している。基本レオはミラのストッパ-的存在であり、まだ誰かが付いていないといけないという幼さが拭えないのがネック。
「それでも、油断は禁物だ。フォルガーとしての誇りがあるなら、いつ何が起こっても対処できる準備が必要だ」
冷静な視線で皆に語るのは、知略に長けたルーカスだ。五人の中では冷静で、特にフォルガーの中でも状況分析や戦略立案に優れたルーカスは、その爽やかな雰囲気からも冷静さと信頼を感じさせる。
だが、フォルガーとは未知のモンスターとも戦わされる立場。彼の戦略が役に立つ機会があまりないため、戦略立案の部分がおろそかになってきている。
彼はアセロンと共に行動しており、フォルガーという立場から様々な地へと派遣されることがよくある。そのため、霊祭という名目を得てアセロンと共に休暇を得た上でこの場に居る。
「さぁ、そろそろ祭りが始まるぜ。行こう」
そう言って先導するのはアセロン。この5人の中では一番腕っ節がある。腕力、脚力、持久力に敏捷性・・・身体能力だけで言ったら、人間を超越していると言っても過言では無い程に、強靱な肉体を持っている。それこそ頭脳派のルーカスと行動して初めて完璧になるといえる。
五人の「フォルガー」は揃って村の中心へと歩き出した。その背中には、村と仲間を守る覚悟と、ハンターとしての誇りが確かに刻まれていた。
――――――
「はぁ~」
5人は霊祭が一通り終わった後、村の居酒屋に訪れていた。ここは霊祭終了直後ということもあり、大いに賑わっている。この高揚感を味わうことが出来るのは故郷ならではだ。
しかし、そんな中でアセロンはため息をついている。
「さっきからそんなテンションでいるの止めてくれない?あんたが休暇の申請を忘れたのが悪いんでしょ?」
思わずミラがそう反応した。
「仕方ねぇだろ。こんなゆっくり出来る日に依頼が来てんだぞ?」
そうだ。ルナレア村にいる“休暇の申請を忘れた”アセロンあてで依頼が届いたのだ。
肝心の依頼内容はというと・・・
~ルナレア村周辺に謎のモンスターが現れたため、調査・討伐に当たられよ~
彼がフォルガーで、しかも休暇ではないというだけで強引に押しつけられたそうだ。
「そう文句言うなよ。折角ルーカスもついて行ってくれるんだし」
シリウスが呆れたように言った。彼は手に持った酒を一口飲んで、ルーカスに視線を送った。
「そうだぞアセロン。いい歳して情けないぞ」
ルーカスは水を飲みながら追い打ちをかけた。
「アセロンなら速攻で終わらせられるでしょ?それからまた遊べばいいじゃん?」
レオは僅かにミラの方をチラチラ見ながら酒を飲んでいる。彼は確かに感じ取っていた、嫌な予感を。
「わーってるよ。でも何でこんなにピンポイントで来るのかね・・・明らかに狙っているとしか思えねえ。クソ気分悪りぃ・・・」
アセロンは頭を掻きながら水を一気飲みした。
何故水なのかというと、アセロンとルーカスはこの後すぐ依頼に出る必要があるため、酒を飲めない。そのため余計気分が悪かった。
「あーもう!さっさと終わらせれば済む話じゃない!あと周りも気分悪くなるから、もう黙っててくれない!?」
ミラがキレてしまった。
その瞬間ルーカス、シリウス、レオの三人は察知した。喧嘩が始まると。この二人は気が短く、よく揉めることがあった。
「確かに今の発言は良くなかったな。・・・だが、てめえも短気ですぐに強い言葉使う癖をさっさと直したらどうだあ~?ピアスを開けてもまだまだガキだなぁ~」
「この――」
「ハイ、ストップ!ミラ落ち着いて!アセロンも大人げないよ!!」
堪らずレオが割って入った。彼はミラのストッパー、それゆえにいつもこのような役目ばかりだ。
「大丈夫だよミラ、そのピアスすっごい似合ってるから!」
これでもこの5人は仲が良い。アセロンとミラはよく揉めているが、昔ながらの仲であるが故にその人物の長所短所をよく知っている。それを理解した上で喧嘩をしている。他の三人からしたら堪ったものでは無いが、こんな関係が十何年も続いているため多少は慣れている。
――――――
アセロンは狩りに出る前に、とある場所を訪れていた。
その場所とは、父親の墓だ。
「父さん・・・久しぶりだな」
彼は墓の前に立ち、それを見下ろしている。幼い頃の、父と過ごした思い出に耽りながら。
最近はフォルガーとしての派遣が多く、村の外で過ごす時間が多かった。そのため墓参りは、実に数年ぶりとなっている。
すると、横からルーカスが彼に花束を手渡してきた。
「おい、これを忘れてるぞ」
「・・・あ、忘れてた!ありがとな」
「思い出に耽るのはいいが、やることはやっておけよ?」
そしてルーカスから花束を受け取り、アセロンはそれをお墓に供えた。アセロンは今度はしゃがみ、食べ物を供えた。
無音の時間が流れる中、アセロンが口を開いた。
「あれからどれくらいの時間が経った?」
「そうだな・・・大体、18年ぐらいだったか?」
「もうそんなに経つのか・・・」
アセロンの父親はハンターであり、このルナレア村を護っていた。だがしかし、アセロンが6歳の頃、モンスターから村を護って父は戦死した。そしてアセロンはこの出来事の直後、父のような村を護るハンターになろうと、志し始めた。
アセロンがハンターを志し始めた時は、彼の身内だけに留まらず、ルーカスとシリウスまで反対していた。アセロンとは違って他の人達は分かっていた。ハンターという職は、村を外敵から護るという夢があるならこれほど適した職は、他に少ない。しかし、同時に死のリスクが大きく伴う。
皆は、このことを危惧していたため最初の頃は反対していた。
「俺がハンターになってここまで来れたのも、お前達のおかげだよ。ありがとな」
「正直、俺もシリウスも驚いてるよ。アセロンだけじゃ無く、俺達二人もハンターどころかフォルガーにまでなれたなんて」
アセロンは全員の反対を押し切り、ハンターになった。でも、心配だという理由だけでルーカスはアセロンに着いていき、同じくハンターになった。
そして二人がハンターとして活躍していく内に、シリウスやレオ、ミラといった幼馴染み達もハンターを目指し始めた。
「全員ハンターで、かつフォルガー・・・。こんなに珍しいこと無いだろう」
「生きてたら、面白いこともあるってもんだ」
アセロンには、例えどんな立場に立たされても諦めない意思があった。夢を反対されても諦めずに押し通し、ハンターになったら村のためにと必死に勤め、村が窮地に陥ったら迷わずに先陣を切る。
この意思が、次第に皆を引きつけ、同じ道へと導いていったのかもしれない。
そしてアセロンは立ち上がり、別れを告げて歩き出した。
「俺はなれたよ。父さんみたいなハンターに」
――――――
そしてアセロンとルーカスは依頼に行く準備を終え、村の出入り口に立っていた。
「よし、準備完了」ルーカスは背中に剣を携え、準備万端といった表情を浮かべている。
「謎のモンスターだ、くれぐれも無理はしないように」シリウスが柔らかな表情を浮かべて、二人を見送っている。
「飲み足りないからさっさと終わらせてよね?」ミラは少し不満げに腕を組んでいるが、不機嫌さは感じられない。
「大丈夫、気長に待ってるよ。二人なら大丈夫!」レオは笑顔で激励しており、暖かな雰囲気がある。
「おう。じゃあいつもの・・・」アセロンは背中に大剣を携え、右手には荷物を持っている。
そう言ってアセロンが残っている左手を挙げると、他の四人も手を差し出した。
そしてアセロンは、四人の差し出された手と一度にハイタッチをした。
「よし、それじゃあ行ってくる」
アセロンが軽く手を振り、村に残る三人に別れを告げた。
そして二人は謎のモンスターがいるという森へ入っていった。
二人の去り際に、シリウスは臭いを感じ取った。その臭いは酒の臭いか、はたまた二人のどちらかが単に臭いだけなのか、そんな嫌な臭いだった。
第一話、読んでいただきありがとうございます。
この小説は超不定期で更新していきますので、銀閣寺を見ていくぐらいの感覚で読んでいって下さい。