エピローグ:だからまた
永遠に等しい時を生きるエルフ。
しかしやはり誰かを待つ事は彼女にとっても長く感じる。
そして今……
「もう春かぁ~」
私は空を見上げ、飛んで行くタンポポの綿毛を見ている。
森の中でもここは開けていて、近くでは蜂蜜を取っている仲間のエルフの姿も見える。
私に割り当てられている薬草採取の仕事はとっくに終わっていた。
「いたいた、サーナ! あなたにお客さんよ?」
声のした方を見るとシャルがいた。
彼女は何やらニマニマしている。
また何か良いことがあったのかな?
私は空を眺める為に草むらに横になっていたので起き上がる。
そしてシャルの方をもう一度見て、一瞬息が止まる。
「やあサーナ、ただいま」
そこにはしっかりと年を取って雰囲気もがらりと変わったイオタがいた。
私はすぐに起き上がり、彼の前まで駆けてゆく。
あれから十年以上が過ぎていた。
ファイナス長老が黒龍様から連絡をもらっていて、思いの外修行に時間がかかったそうだ。
鬼神ショーゴが納得いくまでさらに五年、結局私は十年の時を待たされたのだった。
私は震える手でイオタの顔に手を伸ばす。
当時の彼とは違い、少し小じわがある。
浅黒く日焼けした肌、無精ひげが目立つ顔。
しかしその瞳はしっかりと私を映している。
「イオタ……」
「うん、ただいまサーナ」
私はイオタに抱き着き唇を重ねる。
こんなおじさんになって!
ちゃんとお風呂にも入っていないのか、少し臭うし!
それにそれに!!
でも口づけから離れて彼の顔を見て私は全て言いたいことを忘れた。
そして微笑みながらイオタに言う。
「おかえり」
そしてまた私は彼の唇に私の唇を重ねるのだった。
―― 風来坊エルフの旅路~あの約束を果たす為に~ ――
おしまい
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あとがき:
まずはここまで読んで頂きまして、ありがとうございました。
今回中編のクラスの物語で、エルハイミシリーズの世界観で長寿種のエルフのお話でした。
旅、奇跡、成長、魔法、出会い、別れ、相棒などのキーワードをもとに書いた今回のお話し、コメディーが入れられなかった……
書いてみれば結構真面目なラブストーリー?
まぁ、長寿種であるエルフがいたとしたらこんな感じで外の世界とのギャップを感じるんかなとか思いながら書いてました。
何はともあれ、終わったのでよかたよかった。
応援していただいた皆様、本当にありがとうございました。
とりあえず、エルフのサーナはこれで幸せになるでしょう。
彼女たちに永遠の祝福を。
それではまたどこか別のお話でお会いできることを祈って。
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