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Doubt~三年と一日の恋愛契約~  作者: あらかんさん
8/10

言いにくいこと


 ーーもしそれが、『運命の女性』だったら……


 

 だったら、話が早いのでは……?



 けど、そんな証拠あるわけないし、そもそも記憶がほとんどない。この状態で、どうやってその子を探し出すんだよ。



 ーーーーちょっと、期待してしまった。



 そのまま俺は眠りについた。頭の中は、モヤモヤしたまま。




 

 「でさー、悠花もそのまま寝落ちしちゃってさー、」


 朝から他人の惚気話に耳を傾けている時間ほど、憂鬱な時間はないと思う。春の恋愛は順調のようで、日に日に機嫌がよくなっているようにも見える。そのまま爆発してくんねぇかな。



「そいえば、閏の隣の女子。どうだった?」


 雫さんのことだ。


「ああ。可愛いよな。お前の言う通りだった」


「だろ! びびるよなー、あの子、双子らしくてさーー」


 それ以上は聞きたくない。


 俺の中で謎のトラウマが生み出されている。



 『ねえーーーー』

 

 


 ーーーー



 二卵性双生児。

 

 双子には二種類ある。

 

 一卵性と、二卵性。


 一卵性は本当にそっくり。ドッペルゲンガーのような感じ。


 昔、二卵性の双子にあったことがある。マジで似ていない。声ももちろん、性格も見た目も何もかもが似ていなかった。


 まるで、この姉妹のように。



 

「……あれ」


「ん?」


「なんだ、雫さんだと思ったけど雅か」


「けどって何よ。私じゃ問題あんの」



 声だけは似ているのかも、と思った。


「あのさ、あんた外部生じゃん」


「何悪いか」


「まだ何も言ってないでしょ」


 こいつとは初対面から噛み合わない。


「なんで尚英ここきたの」


「なんでお前に話さんとならんの」


「いいじゃん別に。興味ないけど」



 だったら聞くなよ。


 そういえば、この高校は中高一貫。大学までがエスカレーター式の私立高校である。高校から外部生として入学してくる奴は俺含め若干いる。

 

 俺がこの高校にきた理由はいろいろある。大きな理由として特待生制度だ。


 家庭環境がアレなだけに、小学校時代から極貧生活を余儀なくされてきた。高校も行くか迷った。


 けど、唯一の俺の武器『学力』が輝いた。

 

 この高校に指定特別特待生として授業料、入学金全額免除、さらには学業特別奨学金の選定生徒として毎月5万円の給付型奨学金が俺の懐に入る。こんなオイシイ話は、ないよな。


 理由はあと二つある。もう一つはーー



「もういいわ、呆れた」


「……は?」


 そう言って雅は教室を出て行った。あっちから聞いといてなんなんだよ……


 俺は席に戻った。


「おはよ、ジュンくん」


 隣には、相変わらずの女神の姿が。


「お、おはよ……!」


「ごめんね、雅意地悪してない?」


「えっ……! ぜ、全然! 聞いてたの?」


「ううん、見てただけ」


 そうか、見られてたのか。


「あのね、雅のことなんだけど……」


「うん……?」


 ……



 沈黙。


「……あの子、不器用だから。人間不信と言うか……とにかく、不器用なの」


「そうなのか……」


 俺には、ただ口の悪い性悪女に見えたが。


 ただ、雫さん今何か言いたそうだった。何か言いにくいことでもあるのだろうか。



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