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Doubt~三年と一日の恋愛契約~  作者: あらかんさん
5/10

隣の女子に恋する年頃


「おい」


「……」


「オイオイオイオイオイオイオイオイ」


「…………」


 グサっ


「……! いってっ」


 誰かの爪が俺の脇に当たる。普通に痛い。


「……んだよ……って、お前」


 目の前にいたのは、悪魔ダウト。相変わらず黒スーツに身を包み、こちらを睨んで不敵に笑っている。


「ふふは、すまん。久しぶりだな、閏」


「お前……てことは、俺やっぱり……」


 こいつに最後に会ったのは確か、俺が死んだ日。


 ーーそっか。俺やっぱり死んだんだ。


「おまえ、生きてるよ」


「へ?」


 あれ? 今なんて言った?


「いやだから、お前、いきてるって」


「やだって、お前と会ったってことは……」


「バカかお前。俺は死神とかじゃないんだわ。なに、死にたいの? せっかく俺が与えた命なのにバカだなーお前。お前ってホントにーー」


 気のせいだろうか。悪魔が前より馴れ馴れしい。


 


 悪魔曰く、俺は死ななかったらしい。


 悠花は『運命の女性』ではなかった。


「しかしまぁ、お前も可愛いとこあるな。他人の恋愛で命懸けって……ふふふふふ」


 悪魔は嫌味っぽく笑っている。死ななかったのは嬉しいが、腹立つ。


「そりゃそーだろ! こちとら命懸けなんだよ!」


「ははは……悪い悪い。で、どだ。それっぽい女は見つけたか?」


「見つかるわけないだろ……こんな短期間で」


「だよな」


 今はとにかく、死ななかったことが嬉しくて仕方がない。本当に良かった。


 けど、なんでこの悪魔は俺に『生きるチャンス』を与えてくれたのだろう。


 悪魔って、そんな悪い奴じゃないのかな。


「死ねば良かったのに、閏お前」


 前言撤回。クソ悪魔め。




「聞きたかったんだけど、なんでお前は悪魔なのに俺を生き返らせてくれたんだ?」


「んー」


「だって、普通赤の他人の俺なんか、どうだっていいはずだろ。お前、俺になんかあんのか」


「や、別に」


 ーー嘘だ。絶対に、何かある。


「隠す必要はないだろ」


「…………禁則事項、だな」


 なんか聞いたことある言葉だなと思いつつも、これ以上深掘りすると本当に殺されそうなので、やめといた。


「じゃ、高校でも頑張れよ。じゃ、早く起きろ」


「ちょ……! 終わりかよ……」


 俺は目覚めた。





 一月ひとつきが過ぎ、今日は入学式。


「閏! クラス一緒だったな! これからまたよろしくな!」


「閏くん、私も! よろしくね」


 そこには、1年間クラスが一緒の春アンド悠花カップルの姿。


「ああ、よろしくな」


 何度もいうが、俺は他人ひとの恋愛に興味がない。だが、親友の恋愛くらいは、応援してもいい。俺はそこまでひねくれていない、多分。


 だが……! この二人のせいで死にかけたことは、絶対忘れないだろう。別にこいつらが悪いわけじゃないけど。


「そいえば、閏の席の隣。結構可愛かったぞ」


 ドドドドドドドドドドキッ!!!!!


 心臓に悪い。


 隣の席に可愛い女子。フラグでしかない。


「別に、興味ねえよ」


 嘘である。俺も今日から生粋の男子高校生。こんなの興味しかない。はやくクラス行きたい。ワクワクワクワク……



 ーーいや待てよ。


 もし、隣の可愛いらしい女子が『運命の女性』だったら! ?

 

 もし、隣の可愛いらしい女子が『モテモテ』だったら! ?


 もし、隣の可愛いらしい女子が『他の男子と付き合った』ら! ?


 もし、もし、もし……! ?

 ーーーー


「おい、閏! 閏!」


「はっ」


「なに、妄想してんの? きも」


「ち、違う! これはあくまで仮の話であって……」


「……は?」


 慌てる俺を見て、頭に?が浮かんでいる春。だめだ、落ち着こう。


 そうだ、考えすぎなんだ俺は。普通に生活して、普通に『この人だな』って人を見つければいい。焦る必要なんでないんだ。時間と運命に任せようーー


 そう自分に言い聞かせて、教室に入った。



 …………

 

 俺は、絶句した。


 



 ーーーー隣のコ、くっそ可愛え。



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