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2.実力確認中の事件。









「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」




 ――ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!



 ガンヅさんが大剣を振り下ろすと、打ち付けた大地は轟音鳴り響き陥没した。

 それによって魔物――デイモンは断末魔を上げて消滅。魔素の欠片となり、カランと音をたてた。欠片を拾い上げながら、ガンヅさんは強面に笑みを浮かべる。


「どうだ、少年! このガンヅの実力を思い知ったか!!」

「すごい! すごいですよ、ガンヅさん!」

「大振りですけど、あたしが陽動すれば十分に戦えますね!」


 そして自慢げにそう言うので、ボクとベネットは素直に称賛した。

 事実、彼の攻撃は一線級のそれだと思える。振りこそ大きく隙があるものの、ベネットの連携次第では凄まじい活躍をすると感じられた。

 こちらの言葉に気を良くしたのか、大きく反り返って胸を張るガンヅさん。



「さぁ、実力も証明できたことだし。今日はこのくらいにしておくか!」



 彼は仕切るようにそう口にする。

 というのも、今日はひとまず各々の実力を計るためにダンジョンに潜っていた。だから、それが済んだのだから帰ろうと、ガンヅさんは提案したのだ。

 しかしボクは少し考えて――。



「……いや。ガンヅさんと一緒なら、もっと奥に行けると思います!」

「へ……?」



 笑顔でそう返した。

 ポカンとするガンヅさん。

 ベネットは少し考えてから、納得するように頷いた。


「たしかに、ですね。奥にはもっと強力な魔物もいますが、その分だけ得られる物も大きいです。今の戦力なら問題ないかな、って」

「ちょ、お前たち……?」


 それにボクは頷く。

 今いるのは、前回ベネットと出会ったよりも浅い階層。もう少し進めば魔素も濃くなるため、ドラゴンなどが出現する。

 危険は大きいが、この三人なら大丈夫だ。


「――って、あれ? ガンヅさん、どうしました?」


 そう思っていたのだが、もう一人の様子がおかしいことに気付く。


「え、あ――なんでもないぞ!?」

「なんか、顔が青ざめてますけど……」

「だ、大丈夫だ。気にするな……!」

「は、はぁ……」


 しかし、問いかけてもそんな答えだった。

 そして大きく息をついたかと思えば――。


「い、行くなら行くぞ! 日が暮れてしまうからな!!」


 そう言って、歩き出す。

 ボクとベネットは顔を見合わせて、はてと首を傾げるのだった。







 ――そして、ちょうど中間層。

 ボクたちは慎重に歩みを進めて、周囲に気を配った。


「あ、あの……」


 だが、そんな中で気になることが一つあって……。



「大丈夫、ですか……?」

「大丈夫だと言っているだろう!?」

「いや、そんな内股で歩きながら言われても……」



 ガンヅさんの様子がおかしい。



 表情は相も変わらず仏頂面。

 しかし足は内股になり、生まれたての小鹿のように震えていた。


「お手洗い、ですか……?」

「ち、違うぞ!?」


 ベネットの問いかけに、必死に答えるガンヅさん。

 そんな彼の姿は、先ほどまでの堂々としたものとかけ離れていた。

 もしかして体調でも悪いのだろうか。そう、思っていた時だ。




「――!? 二人とも、気をつけて!!」




 周囲に強力な魔力反応を感じ取ったのは。

 それは、間違いない。先日のドラゴンよりも強力なもの。



「ヒュドラだ……!」



 辺境のダンジョンでも、滅多に見られない凶悪なドラゴンの亜種。

 毒のブレスを使う、八つの頭を持つ竜――ヒュドラ。



「一体しかいないから、慎重に! ガンヅさん、お願いしま――」



 それでも、力を合わせれば簡単に倒せるだろう。

 そう思い指示を出そうとした、瞬間だった。




「いやああああああああああああああああああああああああああああ!!」





 悲鳴を上げて、ガンヅさんが逃げ出したのは……。


「……え?」

「……はい?」





 ボクとベネットは再び顔を見合わせた。

 そして、唖然として彼の消えていった方を見つめるのだった。



 


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「【大器晩成】の少年、偶然に手にした【超速成長】で世界最強に。」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
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