5.決断。
あとがきに、また新ジャンル挑戦の旨を記載。
「ナタリアさんが、王女様……?」
「あぁ、黙ってて済まない。これは俺の落ち度だ」
「いえ、ガンヅさんは全力で守ろうとしたんですよね? それなら――」
「それでも、だ」
「…………」
ボクの言葉に、一通りの説明を終えたガンヅさんは首を横に振る。
ナタリアさん――もとい、ナタリー王女は連れ去られた。それがどこなのか、ボクには分からない。でも、件の男たちはボクとフリーラスを連れてくるように言った。
いったい、なにが目的なのか……。
「あ、ああああの!」
「ん……えっと、ミリアさん?」
そう考えていると、宿の一室の隅っこで小さくなっていた少女が声を発する。名前はミリアというらしいけれど、あまり覚えていないのは申し訳なかった。
そのミリアは、なにやら緊張した面持ちでこう言う。
「き、聞いたんです! あの男たちは、学園を爆破するつもりだって!」
「学園、って……魔法学園を!?」
その言葉を聞いて、ボクは驚いた。
まさか魔法学園にテロリストが攻撃を仕掛けるなんて、どういう考えなのだろうか。そう思っていると、部屋の外から声が聞こえた。
ドア越しでも分かる。
それは、フリーラスの声だった。
「理由は簡単だろう。――復讐だ」
「え……?」
ボクが眉をひそめていると、彼はドアを開けながらこう続ける。
「奴らはお前と私に居場所を奪われた、そう思っているからな」
「ボクと、フリーラスに……?」
「アインに対しては、逆恨みも良いところだがな。学園に居場所を失ったことで、完全に混乱しているのだろう」
「………………」
苦々しい表情の彼は、おもむろに踵を返した。
「フリーラス、どこに……?」
「今回の一件は私に責任がある。もとはと言えば、私がお前に対する嫉妬心を堪え切れなかった、抑えきれなかったことが原因だからな」
「だからって、一人で行くっていうのか!?」
ボクがそう叫ぶと、彼は肩越しに振り返る。
そして――。
「自分の不始末は、自分で片づける。それだけだ」――と。
フリーラスはそう言い残して、去っていった。
残されたボクらは、思わず黙ってしまう。その中で、
「あ、あの。アインさん……」
「ベネット……?」
最初に口を開いたのは、ベネット。
彼女は申し訳なさそうに、こう言うのだった。
「このままだと、ナタリアさんもフリーラスさんも、危険なんですよね。そんなの、嫌です……」
「…………」
ボクの服の袖を、きゅっと掴みながら。
そうだ。彼女にとっては、ナタリー王女は仲間のナタリアさんで、フリーラスも大切な友人なのだった。だとすれば、心苦しいのも当たり前。
そんなベネットの姿を見て――。
「……あぁ、分かったよ」
ボクは、覚悟を決めた。
いまは迷っている場合ではない。
「助けに行こう、二人を……!」
夜明け間近。
ボクたちは決断した。
それは、過去の因縁を振り払うためでもあった。
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