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8.その後のこと。









 というわけで。

 その後、どうなったのかというと……。



「おはようございます、アインさん!」

「おはよう、ベネット」



 いつものように、ギルドで待ち合わせるボクたち。

 明るい挨拶をしてくれた少女に、こちらも元気に返事をした。しかし以前とは少し異なることがあって、それというのも――。



「おはようございます! フリーラスさん!」

「あぁ、おはようございます。ベネットさん」



 ギルドにはもう一人、見知った顔が増えたということ。

 フリーラスはあの一件のあと、ギルドで職員として働き始めた。少しでもベネットの家にお金を入れたい、というのと、一人暮らしするための生活費を稼ぎたい、ということらしい。今のところはまだ、ベネットの家に居候しているが、もうじき資金も貯まるとのこと。



「どうです? 職員の仕事には慣れましたか?」

「あぁ、慣れてきたところだ。意外にやりがいがあるからな」

「新人冒険者への指導、好評ですからね」

「それは、昔取った杵柄、というやつだな」



 彼の仕事は、駆け出し冒険者たちへの魔法指導など。

 基礎魔法などの科目には、多くの新人たちが師事していた。

 だてに魔法学園の教員をしていたわけではない、ということだろうか。



「まぁ、せっかく受け入れてもらえたのだ。今度こそは、信用を裏切らないように謙虚にやっていこうと思っている」

「そうですか。どこか、不思議な感じがしますけど――」



 ボクは頬を掻いて、こう伝えた。



「頑張ってください」――と。



 学園のことを水に流すには、もう少し時間がかかるだろう。

 それでも、前を向いていかなければならない。フリーラスはフリーラスで、学園を追い出されるという報いを受けたのだから。

 ボクは気持ちを切り替えた。

 その時だ。



「おはようございます、アインにベネット」

「あぁ、おはようございます。ナタリアさん」

「おはようです!」



 ナタリアさんが、ギルドにやってきたのは。

 彼女はこちらに挨拶すると、なぜかフリーラスに鋭い視線を送った。



「ん、どうかしましたか?」

「いいえ。少し状況がまずいな、と……」

「状況が、まずい?」



 首を傾げるが、答えは返ってこない。

 分からないままに、この話は有耶無耶になってしまった。まもなくガンヅさんもやってきて、ボクらはその日の予定を話し合うことになる。


 まぁ、特に気にする必要もないだろう。


 そう思いつつ、ボクは一日の始まりを感じるのだった。







 一方その頃、王城。

 国王は渋い表情を浮かべていた。

 それもそのはず、娘のナタリーが帰らなくなって久しいのだ。心配や不安、その他にも憤りなど、感情が綯交ぜになってしまっている。



「まだ、捕まらぬのか」

「申し訳ございません……」



 王の漏らした言葉に、配下の者が頭を垂れた。



「まったく、ナタリーは昔から自由奔放が過ぎる。将来的には国を支えなければならない、その気持ちはあるのだろうか」

「国王陛下の心中、お察しいたします」

「……察しておるだけだがな、お主たちは」



 もはや愚痴に近いそれ。

 大きなため息をついてから、国王はこう言った。



「ところで、例の書状の件だが――」



 悩み深く、といった感じに。




「魔法学園への脅迫文、出どころは分かったのか?」――と。




 ――王都立魔法学園への、犯行予告。

 そこには、こう書かれていた。



【フリーラスとアイン、両名を見つけ出して引き渡せ。さもなければ、魔法学園は塵となって消滅することになるだろう】



 何者かによる脅迫。

 そのことを、まだアインたちは知る由もなかった。



 


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「【大器晩成】の少年、偶然に手にした【超速成長】で世界最強に。」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
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