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5.フリーラス、善戦。







「あはは! おじさん、ずいぶんと戦えるようになったね!」

「ふ――これでも、魔法学園首席だったからな!」




 繰り出される大鎌を回避しながら、小威力の魔法を放つフリーラス。

 サナとリナも、思わず賞賛の言葉を送っていた。彼の動きは先日の比ではない。格段に素早く、迷いなく、確固たる意志を持った動きをしていた。

 時に攻め、時に守り。

 その判断速度には、彼女たちも驚きを抱いたのだ。



「なにが、そこまでおじさんを変えたのかなぁ?」



 大地を穿つ鎌。

 瞬間止まる動きを察して、フリーラスが無詠唱魔法を放ちつつ答えた。



「守りたい存在ができた! ――それだけだ!!」



 火球がサナへと迫る。

 しかし、それを遮ったのはリナだ。

 片割れへと向かう攻撃を叩き落として、さらに問いかける。



「守りたいもの、ね? それってつまり――」



 ニヤリ、おかしそうに笑いながら。



「ベネットさんのこと、かな?」

「………………」



 直後、両方の間に沈黙が降り立つ。

 フリーラスが少しだけ構えを解くと、双子も静かに待った。




「彼女は私に、大切なことを思い出させてくれた。若かりし頃に抱いた理想、その先にあるであろう未来の話だ。だからこそ――」




 魔力が高まる。




「私はここで、貴様たちには負けられないのだ……!」









「え、それってどういうこと?」

「サナちゃんとリナちゃん、フリーラスさんの知り合いじゃないのですか?」

「フリーラス……ってもしかして、フリーラス先生のこと?」

「フリーラス、先生?」



 ボクは宿にやってきたベネットから話を聞いて、首を傾げた。

 かくいう少女もわけが分からない、といった様子。お互いに疑問符を浮かべながら、状況をゆっくりと整理していく。

 結果的に、ベネットが言っていた『拾った犬』が、何を指すのか分かったわけで。そのことに気付いたボクは、即座に立ち上がり駆け出すのだった。



「ベネット、急いで戻ろう!」

「は、はい!」



 全速力で、彼女の家へと向かう。

 手遅れになる前に、どうにかして止めなければいけない。



 サナちゃんとリナちゃん。

 あの二人は、時々に力の加減を忘れてしまうのだから……。



 


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「【大器晩成】の少年、偶然に手にした【超速成長】で世界最強に。」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
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