6.双子は兄が大好き。
ここまで、第5章。
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――翌朝のこと。
「ん、んん……?」
違和感に目を覚ます。
宿の一室はそこまで広くなくて、備え付けのベッドもそこまで大きなものではない。かといって一人で寝るには十分な大きさだし、このように寝苦しい感覚は初めてだった。
「いったい、なんだ――って!」
その正体はなんだろうか。
ボクは目をこすり、身を起こして――気付いた。
「サナちゃん、リナちゃん!?」
妹二人が、ボクを挟む形で寝ていることに。
声を張り上げると妹たちは、小さく声を漏らしながら起きるのだった。
そして、ボクと同じように目をこすりながら。しかし、意識ははっきりしていないのか、どこか蕩けたような口調で。
「ほわぁ、お兄ちゃん。おはようぅ」
「まだ、眠いよぉ……」
こちらに身体を預けるようにしながら、そう言うのだった。
――いやいやいや。
「二人とも、どうしてボクの部屋に!?」
「「ふえぇ……?」」
思わずツッコむと、二人はトロンとした目をして答えるのだ。
「だってぇ」
「お兄ちゃんと、一緒が良いんだもん」
そして、今度はしっかりと抱きついてくる。
こんなところ、誰かに見られたら勘違いされてしまう。幸いなことに、ベネットやナタリアさんは滅多に宿を訪れないのだけど――。
「アインさん? 起きてま――」
「え……」
「――あ、お邪魔しました」
「待ってええええええええええええええええ!?」
なんで、こんな時に限ってベネットが!?
ボクは思わず声を上げるのだった。
◆
「それで、二人はこれからどうするの……」
ベネットに説明してから、ボクと妹たちは朝食を摂っていた。
そういえば昨日の一件の後に、二人の今後について話をするのを忘れていたのだ。ボクの問いかけに、サナちゃんとリナちゃんは、互いに顔を見合わせる。
そして、ニッコリ笑って言うのだった。
「お兄ちゃんと一緒が良いって、言ったでしょ?」
「だから、私たちも王都で冒険者するよ!」
「………………」
清々しい程までの、宣言。
ボクはそんな二人を見ながら、苦笑いをすることしかできなかった。
「ま、まぁ……。なんとかなるでしょ……」
そして、きっと大丈夫だ、と。
そう自分に言い聞かせるのだった。
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