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6.小さな恋心。

意外と早く書けました_(:3 」∠)_

そして、ここまで第3章です。







「【ファイア】――!!」



 ボクは露払いをするために、下級魔法を放った。

 デイモンの下位互換であるリトルデイモンにはこの程度で十分。短い断末魔を上げてから、数体のそれは魔素の欠片へと還った。

 小指ほどの大きさの欠片を拾い、袋に仕舞う。

 そして、次に行こうとした。が――。



「流石ですね、アイン!」

「え、ナタリアさん!?」



 それを遮るようにして、腕を絡めてくる人物があった。

 その人――ナタリアさんは、嬉しそうに笑いながらボクのことを褒め称える。もっとも、大したことはしていないので、本気で困惑してしまった。


「私は魔法を使えませんから、尊敬に値します!」

「え、いや。これくらいなら――」

「それでは、前に進みましょう!」

「あ、はい……」


 しかし、そう言われては頷くしかない。

 だから首を傾げながらではあったが、ひとまず先に進むのだった。









「むぅ……!」



 そんな二人の様子を、膨れっ面で見ていたのはベネット。

 少女はアインとナタリアの後ろを歩きながら、こう静かに口にした。


「ベタベタしすぎです……!」


 明らかなヤキモチ。

 その言葉を聞き逃さずに笑ったのは、ガンヅだった。


「おぉ、ベネット。やっぱり、気になるのか!」

「そりゃ、気になりますよ! あんなにくっ付いて歩いたら、アインさんの邪魔にしかならないじゃないですか!!」

「はっはっは! ホントにそれだけかぁ?」

「うぅ、ガンヅさんは黙っててください!」



 茶化すように言われたベネットは、小さく彼の横腹を小突く。

 誰の目にもアインへの好意は明らかな少女だが、本人は頑なにそれを否定していた。しかしながらナタリアが加入してからというもの、嫉妬は一層に強くなる。

 同時に、寂しさも強くなるのだった。


「やっぱり、アインさんもあたしみたいな子よりも……」


 そして、思ってしまうのだ。

 自分はやっぱり、アインには不釣り合いなのではないか、と。

 彼の隣を一緒に歩きたいという気持ちはあるものの、領主の息子であるアインと、貧困層出身の自分とでは住む世界が違うのではないか、と。


「気にする必要はないんじゃないか?」

「ガンヅさん……」


 だが、そんな彼女の気持ちを察してか。

 ガンヅが何ということもなく、そう言うのだった。



「よく言うだろ? 人を想うのに、身分だとか年齢なんて関係ない、って」



 ニッと、笑って。

 それは彼からの、精一杯の励ましだった。

 ベネットは、ほんの少しだけキョトンとしてから答える。




「その顔で言うには、似合わないですよ?」――と。




 くすりと、小さく笑ってから前を向いて駆け出した。

 そして、自身もまたアインに抱きつく。次いでナタリアの顔を覗き込むようにして、少女はこう思うのだった。



 ――負けないですよ、と。





 新しい仲間の加入で、起こった小さな波。

 それが後に国を巻き込む事態になることを、この時の三人は知る由もなかった。




 


面白かった

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「【大器晩成】の少年、偶然に手にした【超速成長】で世界最強に。」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
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