プロローグ 嫌われ者、冒険者になる。
連載するにあたり、ちょこちょこ弄りました。
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「アイン・クレイオス――今日をもってキミを、退学処分とする」
「…………ありがとうございます」
世界各地のエリートが集まる、王都の魔法学園からの退学処分。
それを言い渡されてもボク――アイン・クレイオスは、至って冷静だった。目の前でニヤリと口角を歪める教員たちの顔を見なくて済む。
それだけで、ボクにとっては嬉しいことだったのだから。
だから、自然と感謝の言葉が出た。
嫌みだと取られるなら、それもそれでいいだろう。
ここにいる人たちの心象など、ボクにとってはもうどうでもよかったから。
「キミのような嫌われ者、どこも受け入れてくれないんだろうがな? ――あぁ、そうだ。卑しい冒険者にでも成り下れば、生きていけるのではないか?」
一人の教員が言うと、他の者も揃って腹を抱えて笑った。
ボクはもはや感情の消えた瞳で、彼らのことを見つめる。
「それでは、失礼します」
そして、そう言って部屋を出た。
誰もいない廊下を進み、今までの居場所を捨てる。
学園に入学してから、わずか半年。
こうしてボクは、忌々しい学園から解き放たれ自由となったのだった。
◆
王都――ガリアには、いくつか生活様式が異なる層がある。
いわゆる貧困層から富裕層まで、幅広く、様々な人種がそこで生活をしているのだった。ボクはそのどちらでもない、中間層と呼ばれる人の中を歩く。
「はぁ、田舎から出てきて酷い目に遭ったなぁ……」
そして、おもむろに立ち止まり。
空を見上げつつ、そう呟いた。
ボクは王都から遠く離れた、辺境領主の息子である。
そこで魔法や剣術の才を認められて、魔法学園に入学したのだが、どういうわけか教員たちからイジメの標的とされてしまったのだった。
「帰ろうにも路銀もない。ひとまずはどこかで金を稼いで生活しないと……」
そして、最終的には理由のよく分からない退学処分。
それは良いとして、心配なのは当面の生活についてだった。故郷に帰ろうにもお金もない。そうなると、この街のどこかで稼がなければならない。
父さんたちには、心配かけたくないからね……。
「んー……、だとしたら冒険者になるか……」
そう考えた時に、ボクの頭に一番に浮かんだのは教員の言葉だった。
彼らは卑しい職業と言ったが、ボクのいた地方では重宝されている冒険者たち。彼らのように、一度自由に振舞ってみるのも良いかもしれない。
「よし、それなら善は急げ!」
ボクはすぐに、冒険者ギルドの門を叩いた。
貧困層と中間層のちょうど間にあるようなそこは、足を踏み入れるとどこか酒臭く、雑然としている。でも、どこか懐かしい。
そう思えるのは、ボクの生まれ育った地方を思い出すから、だろうか。
「ギルドカードも発行できたし、あとはダンジョンに潜るだけだ」
というわけで、簡単な手続きを経て。
ボクは正式に冒険者となった。そして、その足でダンジョンへと向かった。
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