魔王というシステム。
俺は目の前の映像に目を奪われてる横で、凉と夜月のものではない視線が俺の方を向いている。
残りの眷属であるユラと、紅だ。
二人は取っ組み合っている凉と夜月をよそになにか食べている。
それは、さっきまで俺がいたあの世界の食べ物に凄く似たもの。
俺はそれに気がつき辺りを見渡した。
あれ?ここって、、、
見慣れている風景だったが以前の神の間ではなく、それはあの世界で俺が過ごしていた部屋に似ていた。
唯一違うと言えば、ポスターがない、漫画がない、テレビがなく、アニメのDVD等のオタク必需品がなかった。
俺は理解した。
あいつだ。
あいつが俺があの世界、あいつの世界にいってる間にここに来てここと俺の住んでいた部屋を繋げやがった。
ということは俺はずっと、アニメキャラ見てにやけているのを眷属に見られていたということだ。
となると、魔王をこの世界に侵入させたのはあいつか?
いや、魔王は採点に応じて現れるものらしいからあいつではない。
送り込んだのはあの爺だ。
俺は映像を見て呆然とし、いまだに取っ組み合っている凉と夜月を見て呆れ、辺りを見渡しては頭を抱える、これを繰り返していた。
どこを見ても俺を困らせるものしかなかった。
そんなとき頭の中であいつの声がした、トリガーだ。
「よお、アル、、、いや今は千鬼って言うんだっけ?すまんな未だに俺の中ではお前の名前、前のままだからよ。」
「いやいいさ、それよりお前よくもやってくれたな、つまり俺のあそこでの生活を全て眷属たちに見られてたってことだろ?」
俺はそいつの声に答える。
これはいわゆるテレパシーだ。
神同士なら使うことができ、眷属に力を与えれば自分の眷属とも交信することができる。
が、俺は一度眷属が凉と夜月だけのときに試したら俺が夜月と会話するたびに凉の、殺しますよ?千鬼様?、この声が聞こえ続けたためすぐに二人から力を奪いそれ以来力を与えてない。
トリガーは俺の質問に答える。
「いやーばれた?でもあれだ、俺がそことお前のいた部屋とを繋いでお前の影が現れた瞬間、お前のそこにいる二人の眷属、すぐにお前の影の横に座り、お前が立ち歩けばそれについて歩き回ってたぞ。」
俺はなにかを食べているとユラ、紅をながめた。
何だか嬉しく、気持ちが暖かくなった。
トリガーは続ける
「それとあれな、お前が俺の世界で高校通ってるときに出回ったあのガセ噂の数々、お前の眷属、誰とは言わないけどそいつに頼まれたから俺が広めるよう仕向けたやつだから、そしたらお前、あからさまに落ち込んで笑えたぞハハハ」
俺は驚き納得した。
その眷属が誰かは大体想像できるがどちらかはわからない。
凉か夜月のどちらかだろう。
凉は見ての通り俺に対する独占欲が強い眷属だが、夜月も実際、奥底、本質的なところでは何に対しても独占欲の強い眷属だ。
俺はため息をつく。
がトリガーは更に続ける。
「そしたらお前、俺の世界のアニメにはまりやがって、あれ良くできてるだろ?俺があの完成形になるように導いたんだ、すげえだろ」
俺は思わず答える
「あれは凄いな。あのときあれ見てよくこの世界の、お前の世界の人たちは現実で恋できるなあって感心したからな。」
「魔王が4体侵入してるお前が感心してる場合か?別のために創造してたものが役立って消滅はしてないし人口も減ってないようだが。俺がお前の部屋とそこを繋いだときには既に1体は魔王侵入してたぞ。」
トリガーはごく普通の事のように話してきた。
「いや待てお前、だったらその時伝えに来てくれても良かっただろ。お前俺がどの部屋にいるのか知ってたんだから。」
俺は慌てて返す。
その時に教えてきてくれたら4体も侵入してくる事はなかった。
だけどまぁこいつが教えてくれなかった理由も 想像がつく。
「だって面白そうじゃん?、それにまた俺の世界から勇者をつれていってくれて、それを俺の世界で物語にしたら俺の世界が活発になるんだもん。4体の魔王を相手に戦う勇者って面白そうじゃん。今回は自分でやるようだけど。」
ほらきたこれだ。
たしかに俺がこいつの世界で見た異世界での勇者について描かれた物語って言うのは全て俺の世界の物語だ。
つまり俺がこいつの世界で異世界だと思っていたのは俺が創造した世界だった。
、、、え?それぞれの物語に出てくる異世界の雰囲気が違うって???、、、でもそうなんだからさ、、、絶対違う?、、、え?。
俺の世界で魔王が出たら俺がトリガーに連絡し、トリガーが勇者を選んで送り込んでくる。
俺は勇者一行に魔王討伐を頼む。
そして、それをもとにトリガーが自信の世界の作家に、その物語を書かせるよう仕向け世にだす。
この繰り返しだった。
んだよなぁあれ?違った??
「ふざけんなよ、お前。」
俺は色んな意味で思わずキレそうになる。
自ら世界をほったらかしにしたのを忘れて。
「まぁいいじゃん、俺たち神なんだからそれほど難しくないだろ。それに今回は神であるお前がわざわざ出るのだから、すぐ終わるって。」
やはりこいつは小さな事だと思って話している。
俺は危うく、地下空間を作ってなかったら消滅していたのに。
でも魔王がどれ程強いのかは正直わからない。
ただ、魔王相手には神でもしっかり戦って倒さなければならない。
知っているのは、この決まりだけだ
「今まで人間に戦わせていたから正直どれくらい魔王が強いかわからないんだよね。」
「お前ももう少し世界広げたらどうだ?広い世界で上手くやれば魔王をあの爺から送られなくてすむぞ。」
トリガーが提案してきた。
その通りだ。
俺ら神はある爺さんに採点され続けてる。
神は広い世界を創造し続けるこれが常識らしい。
そして、あの爺は狭い世界を創造したらその世界に対する採点を低くし、罰として魔王を送り込むと宣言した。
それを恐れ、多くの神はたちまち広い世界を創造した、トリガーのように。
だが俺はある程度の広さである程度の人口で静かに過ごしている人たちを見れたら良い。
そう考えて世界を創造した。
他の神とは比べ物にならないほど小さな世界だった。
宣言通り爺は時々罰として魔王を俺の世界に送り込んでくる。