深刻すぎる。
「マジかよ4体か、、、初めてだな。まじかなるほど、うん。そうか、4体か、地下か、信仰心が低い。ヤバイな。」
俺は凉から聞いた現在の俺の世界の状態をききあまりの深刻さに慌て、頭の中で要点を繰り返しとなえながら社長室のなかを歩き回る。
ついさっきまでここが自分より凄い目上の人の部屋だったという感覚は既に頭の中にはなく、まるで使い慣れた自分の部屋であるかのように歩き回る。
あれ?さっき消えた人間は?
まぁおそらく式神か、以前、凉にちょっかい出してキレられたんだろう。
こいつはちょっと危ないやつだからなぁ普通に人も消しかねない。
ほんとに昔のことさえも根に持つから。
あれはきっと思い出さなかったら私があなたを消しますって警告か、、、思い出してよかった、、、
俺がいくら神だといっても、この状況はそう簡単な話ではない。
この国の書籍やアニメと同じように魔王は神に対抗する勢力だ、いくら神と言えど手を叩いたりなにかまじないをかけたりしてはい終わりっていくものではない。
いつもは魔王が侵入してきても1体だけで住人が地下に逃げ込んだりはしなかった。
その度に俺はこの国から勇者一行を呼び寄せ退治させた。
なら今回は英雄一行を4集団呼び寄せればいいのか?。
いやダメだダメだ。そんな事をして英雄一行の方が神である俺よりも信仰心を集めたらどうする?
結局消滅だ。
今回は俺に対する信仰心の回復もさせなければならない。
つまり俺以上の信仰心を持たれそうな存在は使うわけにはいかないのだ。
凉はこの事態の深刻さを理解しているのだろうか。
なんで四体も魔王が侵入してから俺に記憶を戻したんだ?
4人目の眷属の件での当て付けか?俺への当て付けなのか?
いっそのこときえてしまえってか?
そーかそーなのだな。
ここでひとつ重要なことをいっておくぞ、
俺が消滅したらお前たち眷属も消滅するからな!
そう心の中で怒鳴りつけた俺は静かにばれないよう歩き続けながら横目で凉を睨めつける。
凉が歩いている俺を目で追いながら静かに微笑む。
「千鬼さま?なぜ私の事を睨んでるのですか?私だって千鬼様が消滅したら自分が消滅する事くらいわかります。それが嫌だからギリギリでお伝えしたのではありませんか?そもそも4人目の眷属さえ連れてこなければ私は怒ったりしなかったのですよ?怒られてそれが嫌で逃げ出したのは千鬼様の方ではありませんか?当て付けだなんて言われたら心外です。」
ブォッッフォーーー!!!
さすが俺の第一眷属。
俺の考えることが手に取るようにわかるらしい。
さすが300年以上の付き合いだ。
俺は歩き続けながら凉の言葉を聞き流した振りをする。
しかしあれだ、これは本当に非常に深刻だ。
俺が消滅したら、消滅するのは俺と眷属に加え、俺の世界の住人、そこにいる生き物も全て、そしてその空間そのものだ。
つまり今生きている住人だけでなく過去に生きた住人の記録さえも、消えてしまう。
つまり俺の世界で生きていた全てのものが存在しなかったものとされてしまう。
さすがに神を名乗ってる俺はそれは阻止したい。
そう考えながら歩き続ける俺は重要なことを聞き忘れていたことに気がつき凉にそれを尋ねる。
「このままだと俺はどのくらいで消滅する?」
凉は淡々と答える。
「おそらくかと、」
ブォッッフォーーー!
思った以上に短い、、のだろう。
聞き逃したのだ。
だが短いことにはかわりがないだろう。
その間に魔王4体倒し、俺に対する信仰心をあげる、、、どう考えても難しい。
確かに30年も自分の世界をほったらかし、アニメキャラを見てはニヤニヤして、四体もの魔王を自分の世界に侵入させ、自分の世界の人間を地下に潜らせて、自ら住人からの信仰心を下げてるのだからなにか言える立場じゃない。
が何度でも言わせてくれ
これはまずい。深刻すぎる。
「どうしますこの世界から勇者でも連れて帰って討伐させますか?」
「それだけはしない!!」
俺は尋ねてきた凉に強く答えながらも足早に部屋中を歩き回る。