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現実世界の僕と異世界のボク  作者: 昼寝王
プロローグ
2/41

2話 僕は異世界へと旅立ってしまいました。



「胡散臭いにも程があるだろぉぉぉぉ!!!!!!」



 疑問があり過ぎて話の内容が整理できない。異世界に旅立つとか、普通に言われて理解出来る奴がいるのだろうか?


「聞きたいことはたくさんあるけど、おっさん本当に神様なのか??」


「おっさん、おっさんって失礼しちゃうわぁん。見なさいこの肉体美(びぼう)!! どう見たって、こんな整ったボディライン神様以外にいるはずないでしょっ、うっふん♪」


「まじかよ………」


 僕の座右の銘は、【()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()】だったのに……

 良い事をして、神様に見てもらおうと思っていた僕の生活態度は、あの神様に届いていたのか……日課だった加藤家トイレ掃除係も今日で引退だな。


「まぁ、肉体美(美しさ)を意識したこともない凌多ちゃんにレベルの高い話をしても無駄だわねぇん。私がこの真っ白な空間にあなたを連れて来たことの方が証明になるかしらぁん?」


 確かに...こんな空間を作り出せるなんて、タダ者じゃ無い事は確かだ...


「認めてやるしかねぇか......」


 こいつが神様であるか、俺の理解出来ないほどの超常的な存在である事は間違いない。それでも納得の出来ない事がある。


「それで、僕が今の世界に必要なくなって異世界に飛ばされる意味(理由)を説明してくれ!」


 神様を名乗るおっさんは、真剣そうで悲しみを抱えた様な表情になると、教え込む様な口調で凌多に告げた。


「生きていく中で、ちゃんと理解出来る事なんて一握の事しかないわよぉん。理解出来ない理不尽の中を掻き分けて進み、死んでいくの...... 。最後に自分の人生が幸せであったか否か、その結末だけを握りしめてねぇん。」


「今聞きたい事は、人生に対する説法なんかじゃねぇんだ。()()()()()()()()()()!!」


「あらぁん、そう残念、まだまだ若いのね」


()()()()()()()()!!」


「そうなのねぇん。そうしたら、教えてあげないこともないけど……()()の法則っていうのは、知っているかしらぁん?」


「…………なんだそれ、知ってるわけねぇだろ!!」


「今からあなたは今まで暮らしてた世界とは異なる【異世界】、そうねぇ、科学じゃなくて魔法が発達し、魔物が存在するファンタジー世界に旅立つと思ってくれていいわぁん。その中で新たな人生を歩んでほしいと思っているのだけれどもぉん。あなたが異世界に転移させられる理由がわからないのよぉん。それを知るためには神力を使って調べる必要があるのよっ、神力を使うためには………」


 詳しい話を始めようとすると、凌多は目を輝かせ前のめりに食いついた。


() () ()!!!!!」



「魔法とか憧れてたんだよ、おっさんが連れていく世界だから変態しかいない様な馬鹿げた世界に連れていかれるのかと思ったぜ、なかなかいい仕事するじゃねえか!!」


 凌多の反応を聞き流石にイラっとした神様は、拳を振り上げ、生意気すぎる小僧に【神の鉄槌(トールハンマー)】を喰らわせようとしたが、時間制限(タイムリミット)が迫っている事を思い出し、話を進める。


「だからねぇん、おっさんって言わないで………はぁ、その態度はちょっとやそっとじゃ変りそうがないわねぇん。」


 仕方ない。という様な表情を浮かべると神様は続きを話し始めた。


「まあいいわ、話を進めるわよぉん。今まで何もしていなかったあなたが何も持たずに異世界に飛び出したんじゃあ、すぐに野垂れ死ぬのは明白でしょぉん。だからこのプリティーかつエレガントな【()()】の私が異世界に行く前に望みを叶えてあげようってわけよぉん。」


「なるほど、チートか!!」


 凌多は異世界転移のファンタジー小説っぽくなって来たなと思ったがそうではなかった様だ。


「たぶんあなたの言っているチートみたいに簡単な話じゃないわよぉん。神力を使うためには、本来望みと同価値な代償が必要なのよぉん。今回は勝手に転移させられてしまうわけだし、神からの依頼として、あなたの望みと同価値な依頼を用意してあげるわぁん。つまり、代償を後払いにしておいてあげるってわけねっ♪」


 話を聞いていた凌多はあごに手を当て、どうしようか考え始めた。







 3分後、どんな願いを叶えてもらうか、考えの纏まった凌多は神様に向かって欲望をドヤ顔で言い放った。


「わかった。まず最初に俺専用100人美少女ハーレムを用意してくれ!!」


「それは、()()♪だわぁん。生命がどれだけ尊く、精密に作られているかあなたは、分かっているのかしらぁん?」


「ちぃっ、使えねぇ筋肉ダルマだ」


「ちょぉっと、おっさんよりも聞き捨てならない言葉がまた聞こえた気がするのだけど、まぁいいわぁん。次なる望みを言いなさぁい。」


「全能力値MAXで異世界に送り込んでくれ!!」


「あなた、思っていたよりも欲望に忠実ねぇん。驚いちゃったわぁん………()()よぉん♪」


「おい!何にも出来ねえじゃねえかこの糞神め」


「同価値の代償が必要って言ったでしょうっ、世界滅ぼすほどの力と同等な依頼なんて用意できないわぁん。そんな力を手にしてどうしたいっていうのよぉん」


「世界征服後、自由気ままな100人美少女ハーレム作り生活」


「あなた心の底からに欲望に忠実ねぇん。もしかして………()かしらぁん。ごめんなさい()()()()ちゃん、それは出来ないわぁんwww」


「うるせぇ!生まれ変わったらモテモテのイケメンになるのが、俺の目標なんだよ!!」


「その夢は叶わないわぁん。異世界には今のあなたの体で旅立ってもらうもの。うっふん♪残念ねぇん」


 まじかよ、僕の夢は叶わないみたいだ、なってみたかったよイケメンに………







 って、茶番はここまでにしとかねぇとな、僕が思ってる神様とは違うことは分かっていたが、僕が思っている異世界転生の定番とも外れているようだ。スキルとか強力なチートは貰えないみたいだ。


 同価値な代償がってことは、望みすぎると後が大変になるパターンだ。

 おっさん(神様)からの依頼が何か分からない状況で望みすぎるのは良く無い気がする。仮に強いスキルを手に入れたってそのスキルが効果を発揮する場面の依頼じゃねえと意味がねぇ。


 

 大事なのは、汎用性のあるものと、すぐに必要となるものだ。

 まずは()()、僕の腹はおっさんにメシの邪魔をされたせいで本格的に限界を迎えだしている。

 

 あぁ、昨日面倒くさがらずにちゃんと夜飯食えば良かったんだ。そうすれば………いや、過ぎたことを考えても意味ねぇな、異世界のことは全く分からない。

 

 

 飯の次は、移動中の寝床だ。野外で一泊もしたことのない僕が、異世界の野外に放り出されて何も持ってないなんて無謀すぎる。

 とりあえず、山岳用セットとしてテントや寝袋を望もう。これさえあれば寝床には困らないだろう。

 

 異世界物の小説みたいな物を欲しがれない理由は、()()()()()()()からだ。

 優れた知能もなければ、桁外れの運動神経もない。なんなら、自分から何かをやってみようという夢や積極性もなかったのだが………

 そんな訳で、ファンタジー世界で活躍する前に、自然の中でも生きていける様な使い方がなんとか分かりそうな道具の方が必要だ。

 


「魔物がいるんだったな、使えねぇと思うが武器も必要か……」


 使えなかったとしても、あるか無いかで言えば、あった方が良いだろう。いくら魔物に遭遇しないようにしたとしても、可能性はゼロでは無い。


「出会って即座にゲームオーバーは嫌だしな……」


 

 最後に欲しいのはゲームでいうところのイベントリ【()()()】が欲しい。先ほど望んだものを全て手に入れられたとしても一人で全てを運びながら移動なんかできない。できれば、容量無制限の収納袋が欲しい。


 どうにかして手に入れておきたいところではあるが、まぁ、あのおっさんだと、小説の中の神様と違って無理だろう。まぁ、後は考えても仕方がねぇ、()さえよければ、生きて人の住むところまでたどり着けるだろう。





「…………できるわよぉん。」


 言葉にしていないというのに返答が返ってきた。


「何を驚いた顔してるのよぉん凌多ちゃん。ここは私が作り出した空間で私のテリトリー。しかも、神様の私がこの状態で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のよぉん。」


「ちぇっ、そうかよ」


「まぁいいわぁん。【食料】【山岳セット】【上級武器】【∞収納袋】【幸運】の5つねぇん。これくらいならいけそうだわ。早速だけど望みをかなえちゃおうかしらぁん。」


「おいおい、まだ、ちゃんと伝えたわけじゃねえz……….」


「神の名において行使するわねぇん♪【神からの贈り物(スペシャルギフト)】」


 慌てて止めようとしたが、時すでに遅かった。紡がれた言葉が魔法陣を描き中心に収束したかと思えば、光となり遥か上方へと飛んでいくと、ある程度の高さで消失した。



「ふぅー、一件落着だねぇん。うっふん♪ 久しぶりに神力使ったから疲れてしまったわぁん」


「おい、この糞神が!! 望みは、考え途中だったんだぞ」


「凌多くんが選ぶの遅すぎて、そろそろ()()になっちゃうんだもの。準備パートはそろそろタイムリミットだわぁん。」


 おっさんがそう告げると、後ろには一枚の扉が設置されていた。嫌な気がすると僕の勘が警鐘を鳴らしている。


 突然、扉から引き込まれるような引力を感じ、抵抗すらできぬままに、扉の中へと引き込まれていった。





「行ってらっしゃい。うっふん♪」とおっさんからの不快な挨拶を最後に僕の意識は沈んでいった。







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