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12話 久しぶりの友人と勘違いしました。




「「ええーーーーーっ、第一王女っ???」」


 凌多(りょうた)とリリーの驚きに対してメリアは軽い笑みで返す。


「何でこんなところに第一王女様が?」


 凌多(りょうた)が驚きの声で返すと、女性のエルフは困った顔をしつつ答えた。


「メリア様は、王女様であると同時に巫女様でもあらせられるのです。巫女様が本日集落に向かうという事を聞きませんでしたか?」


 そう言えば今日に巫女様が、、、


「いや、聞いていたのは巫女様が選出した精鋭の部下みたいなこと言ってたぞ?」


「あぁ、そのはずだったのですが、巫女様がどうしてもとおっしゃい部下の制止を振り切り向かってしまったので、私が追いかけて来たのです」


「なるほどっ、お転婆な巫女様なんだねっ」


「そうなんです。とても困っているのですが、、、」


 そう言って女性のエルフは巫女様の方を見るが、巫女様は聞いていないように知らん顔でほんわかとした笑顔を浮かべている。


「まぁ、聞いた話をまとめると巫女様は王女様でもあったんだな」


「そうです。()()()()()なのですが現在は巫女様としておられます」


 なるほど、だから第二王女様が王位後継者の第一候補になっていたのかと疑問に思っていたことの一つは解消できた。

 まぁ、巫女様であり、第一王女様である彼女がこんなとこにいて良いのか?という根本的な疑問は無くなっていないのだが、


「なるほど、理解はできた」


「面倒ごとを押し付けてしまい申し訳ございません」


「え〜、私面倒ごとじゃないですぅ」


 メリアの発言に3人のマジで言ってるの? という視線がメリアに集まった。

 

「皆様、ひどいですぅ。部下なのにそんな目をしちゃうカンナは減給ですぅ」


「えぇーーー待ってください。それの方が酷い」


 腹黒ほんわり巫女様と部下エルフによる漫談が始まった。

 だが、今の 凌多(りょうた)にそんなことはどうでも良い。カンナという発言で完全に思い出した。カンナの顔を見た時にどこかで見たことがあると思っていたのだ。


「お、お前、柑奈(かんな)か?」


「はいっ?」


「何でここに?」


「えーっと、()()()いきなりどうしたのですか? 理解できないのですが」


「どうしたも何も、こっちが聞きたいんだが? 何でお前がここにいるんだ」


「何でと言われましても、先ほど説明したようにメリア様を追って来たのですが?」


「違うよ、何で()()()にいるのかって話だ。しかもエルフになってますます可愛くなってるじゃねーか」


「ええっ、()()()()()()? 英雄様何を言っておられるのですか!?」


 メリアは、何が起こってるのか分からず戸惑い顔を浮かべているが、リリーは凌多(りょうた)()()()という発言に反応し、耳をつねりあげた。


「いきなり、なに口説いてるのっ?」


「痛ってー、リリーやめてくれマジで耳がもげる」


()()のクセしてそんなこと言っちゃう 凌多(りょうた)には身の程を分からせる必要があるのっ!」


 頬を膨らまして怒っているリリーと可愛いと突然言われ下をうつむき赤くなっているカンナ、英雄様は相当痛かったのか耳をさすりながら涙目になっている。

 収拾がつきそうに無くなった為、巫女様が声を掛ける。


「詳しい話は、集落に戻ってからにするのですぅ!」


 とりあえずそうだなと凌多(りょうた)達は、集落に向けて歩き始めた。



 








「お待ちしておりました巫女様。凌多(りょうた)殿を紹介しようと思っていたのですがその心配は必要なかったみたいですな」


 集落にたどり着くと、エルフのおじいと強面エルフのおっさんに到着を伝えるために屋敷までやって来た。

 到着するとともに、最初に話し合いが行われた部屋へと通された。


「そうなのですぅ。途中で、魔物を狩っている英雄様にお会いして一緒になったのですぅ」


 メリアはそういうと、英雄様の強さを二人に向かって話し出してしまった。

 まぁ、二人も凌多(りょうた)とリリーが戦っているようなところなど見たこともなかったのですごく興味深そうに聞いている。


 しかし、凌多(りょうた)が興味があることはこっちだ。


柑奈(かんな)、マジで俺のこと知らないか?」


「はい、()()()とお会いするのは初めてのことですが、、、、」


「マジか、、、」


 移動の最中にリリーには話をしておいたのだが、 凌多(りょうた)はカンナの顔を知っていた。

 知っていたと言ってもカンナがあったことは無いと言っているし、俺の知っている柑奈(かんな)はエルフではなく人間であるので違いはあるのだが、、、

 

「やっぱりキミ会ったことあるよねっ、っていう口説き文句は古いように思うのだけどっ」


「だから口説いているわけじゃ無いんだって」


 確かに、古臭く使われている口説き文句のようになってしまっているのは申し訳ないが、ちゃんと説明したのにリリーは信じてくれてはいないようだ。

 カンナはリリーの言葉を聞いてまた赤くなってしまっているし、、、


「本当に違うのかなぁ、、、」


 凌多(りょうた)が小さな声で呟く。


凌多(りょうた)の世界の友達にそんなに似てるのっ?」


「そうだな、そっくりっていうか生き写しみたいだ。最後にあったのが中学の時だから5年前くらいになるけど」


 結論が出ない問答を繰り返していると、長老と強面エルフのおっさんとの情報交換が終わったのかメリアから声がかかった。


「皆様、お話はそれくらいにして食事にするのですぅ。お腹がペコペコですぅ」


 時間は夕日が落ちかなりの時間が経っていたので、夕食にはちょうどいい時間だろう。

 長老と強面エルフのおっさんは情報をまとめてから行くということであるので、お世話係のエリスさんに連れられ食堂へと向かった。



「ご飯っご飯っ」


「ご飯ですぅ。カンナの調理が()()だったのでしっかりしたご飯は久しぶりですぅ」


「巫女様、そんなこと思っていたのですか!」


「あっ、本音が出ちゃったですぅ」


「そんなぁ、、、」


 腹黒巫女様の計算された攻撃にカンナはダメージを受けているみたいであったが、凌多(りょうた)の頭の中は柑奈(かんな)のことでいっぱいだ。

 エリスさんが食事を運んできてくれたが、考えに集中していたので味を感じることなく食べ終わってしまった。


 リリーの食べる量を見た巫女様がどこにそんな量が入るのかと驚いていた。俺と同じようにそんなに食べると太るとバカにして喧嘩していたようだが、そんな会話にも混ざらず、過去の記憶の柑奈(かんな)とカンナを見比べていた。

 

凌多(りょうた)っ、私たちご飯終わったから水浴びをしてくるねっ」


 いや、どう見ても俺の記憶にある柑奈(かんな)だ。他人と見間違えるほど浅い付き合いでは無い。


凌多(りょうた)っ、聞いてる?」


 まぁ、違うところといえばエルフじゃなかったし、俺のことを絶対に知っているはずなのだ


凌多(りょうた)っ、私の話をききなさーーーいっ」


「ぶふぁぁっ」


 凌多(りょうた)の頬にリリーのパンチが炸裂した。


「何するんだ!」


「何するんだ、じゃなーーーいっ! さっきから声かけてるのに無視してるからだよっ」


「無視なんかしてねーよ」


「してたわっ!」


 隣にいた、エリスさんもコクコクと頷いている。

 マジか、やっちゃったみたいだ、、、、


「カンナちゃんなんて、見られすぎて真っ赤になってるじゃ無いのっ」


 カンナは守るべきはずの巫女様を壁にするように凌多(りょうた)の視線から隠れてしまっていた。

 メリアは凌多(りょうた)に向かって言い放った。


「英雄様、エルフの国を救ってくれたらカンナは英雄様に()()()()捧げるのでそれまでは待って欲しいですぅ」


「ええーーーーーっ、勝手にそんなぁ!!」


「巫女様権限発令です! 私を困ったちゃん扱いした報いを受けるですぅ」


 まだそのことを根に持っていたのかという視線に晒された巫女様は、


「水浴びに行ってくるですぅ!」


 恥ずかしくなったようでリリーとカンナを連れると逃げるように裏庭に向かった。


「はぁ、本当に違うのかなぁ?」


 何度も繰り返したその問いを自分に向けると、エリスさんから話しかけられた。


凌多(りょうた)様、お話したいことがあります」


「えっ、どうかしたか?」


「先ほどから、話されている話に心当たりがあります」


「本当か!?」


「その経験があるだけで、解決策を知っているわけでは無いのですが」


 と前置きをすると凌多(りょうた)に話し始めた。

 



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


Side:???




「だからねぇ、君、物を盗んじゃ駄目なことくらい子供でもわかってるんだよ!」


「だから、俺がもらってやるって言ってるんだから感謝することはあっても何か言われる筋合いは無い!」


 はぁ、なんなんだこいつは、この歳で万引きで捕まって反省もしないとは、、、


「こんなことをしていると両親も悲しむぞ」


「俺に両親なんていない。知ったかぶるな中年風情が!!」


 普段だったら、怒っていたかもしれないが、常識がなさそうなこいつに言われても怒りの琴線に全然響かない。


「まぁ、いい。分かった。万引きは確かに防犯カメラに映っていたんだ。言い逃れはできない。現行犯逮捕だしな!」


 そういうと、他に取った物がないか持ち物を検査を開始した。


「曲がった木の棒に、なんだこの玉は、というかお前身分証は持っていないのか?」


「なんだそれは?」


 あぁ、話にならないと思いつつも持ち物の検査を終えると、反省していないようだし金も持っていない。

 めんどくさくなりそうと思いながらも取り調べを再開しようとしたが、机に着くと同時に対応していた()()()の意識は途絶えた。


()()()()《スリープ》」


 男は、小さく呟くと同時にそれは起こった。


「はぁ、面倒だが犯罪を取り締まるような国の機関が一番情報を入手しやすいからな」


 そういうと、曲がりくねった木の杖を眠っている警官の頭に当てると


()()()()《マインドコントロール》」


 小さく呟いた。眠りこけていた警官は起き上がり


「あぁ、すまんすまん話の途中だったな疲れていたのか眠ってしまったよ」


 というと、


「この国は日本という名前で、ここは東京って都市のだな、、、、」

 

 と一人語りを始めた。


 男はニヤリと笑うと、話に聞き入った、、、、







読んでいただきありがとうございます

今後もよろしくお願いします


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