第1話:主人公の帰還_プロローグ
【ストーリー概要】
これは、現代を舞台とした物語。
国の条例で、『ふるさと期間支援制度』というものが設けられた。
都心で働かなくとも、補助金を出すから田舎で働いても良いという内容だ。
二〇一九年十一月のこと
国会で新たな法案が可決された。
その名も『ふるさと帰郷支援制度』というものだ。
田舎から東京へとやってくる若者が増加することにより、地方の活性化が衰えてしまうことを対策するものとして制定されたもので、若者に対し、自身が生まれ育った町へと帰ることを条件に、仕事や支援金、ごく一部だが税金の一部免除などの保証を設定し、金銭面によるワークプアをカバーをしてくれるという素敵な制度だ。
都心よりも自身が生まれ育った町で生活をしたいという者もいれば、大手企業で学んだ知識を自身の地元で活かし、チャレンジしたいという者もいる。
国から都内に住む若者に対して呼びかけを行ったところ、想定以上の地方出身者の人たちが、帰還することを希望し、東京を去る決断を取った。
家族の近くで生活が出来ること、
安心できる場所で暮らすこと、
そして、仲間と共に生きていけること。
都心でなくても良い。
自分らしく生きていこうという考えを持てる時代になった。
話を聞いたとき、真っ先に反応したのはオレだろう。
この制度へと申し込みをし、二十三歳という年齢で、和歌山県の白良浜が見える田舎へと帰郷するという決意をしたのだ。
オレが地元で始めた商売はペットショップ。
元々動物が好きで、仕事も都心で有名な動物園で働いていたくらいだから、我ながら天職と言える。
なぜ、都心での仕事を辞めてしまったかというと、一言で言えば『仕事が辛かった』からである。
動物園は、有名どころじゃない民間だと、決して資金繰りが良いわけではない――というか、多分普通に良くない。
オレは、そんな動物園で勤めていたわけだが、少人数体制で動物の世話や、お客さんへのサービス、各学校等への営業、施設の整備を三百六十五日行っていた事もあり、体力面で非常に疲弊していた。
給料も良くなく、都心に来てまで社畜として田舎でも出来るような労働をしている自分が許せなくなり、言ってしまえば逃げるように地元に帰ることにしたのだ。
町も、オレや他の人たちを快く迎え入れてくれており、戻ってきて良かったと思っている。
正直、この年齢で個人経営を始めるということには強く不安を感じているが、それでも国の支援の下、自由に仕事が出来るという事に強く期待をしている。
そんな失われかけていた自らのチャレンジ精神を胸に抱き、地元での早い第二の人生を歩み始めたのだ。
そして、一年後――




