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46話 戦闘服

「そういうわけで『クワイベル』の息のかかった者を全て消し去ろうと思考がショートした結果、この星が半壊してしまったのよね。私はあの時この星しか持っていなかったから、自身の力も半分以下になってしまったし」


ふふっと笑うケイミーの、けれど瞳にはほの暗い光が瞬いた。


つまり、神としてのケイと、限りなく神に近くなったクワイベルと。

お互いの力がぶつかれば、被害は想像を絶するほど甚大だったということだ。


「わかりました」


人を消化するための生き物だと認識する彼を、討伐しなければならない危険性は理解した。

私が了承すると、ケイミーがホッと息をする。


「そうと決まればみんなにに配るものがあるわ。私はリーナを呼び寄せる時に地球にほんを勉強したから、地球で戦う女子の戦闘服を用意しておいたのよ」

得意げに腰に手を当てるケイミー。


……一柱の神には決して見えないな。


「……地球にほんの女子に戦闘服なんてあったっけ?」

自衛隊か?

お姉ちゃんの呟きに続いて、リーナが

「なんか嫌な予感がする」と呟いた。


そんな2人とは裏腹に、自信満々な笑顔でケイミーが手を振った。

その手から大きな光が飛び出して、私達を包み込む。


そして、光が晴れると浮かび上がった。


足には膝を隠すほどの白色のロングブーツが。

腕には光沢のある白いウエディンググローブが現れた。

上半身は肩の出たすっきりとした服がピタリと張り付き。

そして、下半身には下履きがギリギリ隠れるくらいのスカートがひらめいた。


最後に、これでもかというくらい大きな魔石のついた武器が現れると、なぜかお姉ちゃんとリーナが「こっちか」とガックリ項垂れた。


「……すっごいコスプレ感」

「これで戦うとか、なんていうムリゲー」

リーナが呆然とすると、お姉ちゃんは手で顔を覆った。


2人はこの衣装に見覚えがあるらしい。

てことは、地球という場所では女子が本当にこの格好で戦っているということなんだろう。

地球にほんは少し破廉恥だな。


「ね!ものすごく強そうでしょ?」

得意満面なケイミーに半分だけは同意しておく。

「強そうではないけど、動きやすそうではありますね」

破廉恥だけど。

母様は短すぎるスカート丈に戸惑っているっぽいけど。


強そうというならば、騎士達のごっつい鎧の方が強そうだ。けれど、重い鎧は女子向きではないだろうし。

動きにくいのは、少なくとも私向きじゃない。


それにこれだけ身体のラインがはっきりくっきり出ている衣装で、これほどまでに短い丈のかわいいスカートならば、ちょっとラージに見せたかったなと思う。


きっとうぶい反応をしてくれただろうなって。

そういう反応が、きちんと好かれている証拠みたいで、私を幸せな気持ちにさせてくれるのだ。


ラージ、元気にしてるかなあ。


「さあ、これが地球の女子の戦闘服よ。行ってらっしゃい!」

「地球の女子はこれで戦わないわよ!」

リーナが否定するとケイミーが胡乱げな顔をした。

「ちゃんとテリビとやらでやってたのに」

テリビ……って何だろう。あとでお姉ちゃんに聞いてみよう。


「あの、ちなみに疑問なんですけど」

まだ衝撃から立ち直っていないお姉ちゃんがケイミーに目を向けた。

「何かしら?」


「クワイベルと戦った時のことが、前代の姫君たちの戦いなんですよね?」

「ああ、うん。ドウシタンタの歴史には残ってたんだったわね」

前代の戦いってなんだろう。リーナも母様も2人を見守っている。

「その時もこの衣装みたいので戦ったんですか?」


「違うわよ。5人のうち2人は男神だったし、私も伴侶が決まってなかったから性別がまだ未定だったし。なんで姫君が戦ったっていう話に変わったのかしらね。

そもそもその時点では、この星の方が地球より優れた文化を持っていたから、わざわざ地球文化を取り入れる必要が無かったし」


「じゃあ!この服である必要はないですよね!?」


一瞬ちょこっと止まったケイミーだったけど、にっこり笑ったかと思うとお姉ちゃんを「まあ、行ってこいって!」と突き飛ばした。


「覚えとけよおおぉお〜!」

とお姉ちゃんらしくない叫び声が聞こえた次の瞬間、リーナが作ったという結界の中から爆音がした。

と、ピキピキとヒビらしきものが。


「あの娘、何やってくれてんの!?」


神をも驚かすお姉ちゃんは、もはや人ではないと思います。




久しぶりに風邪をひきまして。復活後に筆が乗らずにあたふたしています。

皆様もご自愛くださいね。

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