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プロローグ

私、アレス。


私には異国の血が入っているんだって。

だから、普通の人とちょっと違うかもしれないね、って母様が言っていた。

その母様は私が10才になる時にきらきらと輝きながら死んでしまった。


そして、その後はばあばが面倒をみてくれていたんだ。

けど、もう年だったからね。昨日、永遠のさよならをした。

これからは、1人で生きていくように言い残すと、ばあばもきらきらと輝いて消えてしまったんだ。


私、1人になっちゃったんだなあ。

まあ、でも大丈夫だよ。


で、ばあばが言ってた西の町に行ってみようかなって思っているんだ。

ばあばの娘さんがいる町で、穏やかで水のキレイなところだってよく言ってたからさ。


そう言えば、森でサバイバルをしている時、ばあばから母様は特殊な体質でこの場所から離れられないんだって聞いたことがある。

理由は聞いても理解できなかったから覚えていない。

ちなみにサバイバルって、命をかけて魔力の訓練をしながら生き抜く訓練をすることだ。

むっちゃハード。

小さいころは本当に死ぬと何度も思ったけど、大きな動物に組み敷かれる度にどこからか、ばあやの火の矢や水の矢が飛んできて助けてくれていた。

今では余裕で課題をクリアできるようになったけど、それもこれもばあばのおかげだよね。


そんなことを思い返していると、ここには誰もいないから、やっぱりさみしいと感じるようになった。

私は腰まである長い銀髪を、肩のあたりまでばっさり切り落とし1つに結わえる。

森に出て生活をしたり、大きな魔物と戦う時に邪魔だなってずっと思っていたからちょうどいい。もう、私の髪をほめてくれる人はいないんだし。


『アレスの髪、捨てちゃうの?』

この子はスライムのジェリー。家の掃除とか手伝ってくれている。

お母さんは寝たきりだったし、私もばあばも森に出ていることが多くて家の中を整えることができなかったから、本当に助かっていた。

私、食料の調達なら得意なんだけどな。


「うん。邪魔だし、もういらないしね」

『じゃあ食べてもいい?』

「いいけど、おいしい?」

うえってならない?

『おいしいよ。魔力たっぷり!』

ジェリーが嬉しそうだから、いっか。


そうだよな~。ジェリーも連れて行こうかな。私だって1人はさみいしいと思って出ていくのに、残していったらかわいそうだよね。

私はジェリーをつかむとフードに入れる。


ばあばが森に行く時くれたバッグは持っていこう。

お母さんが実家から譲り受けたものなんだって。とても便利なバッグで驚くほどたくさん入るんだよ。

最後に母様がくれた護身用の細長い剣を腰に差すと、長い間の3人の思い出いっぱいの我が家を見上げた。


行ってきます。

母様、ばあば。私立派に生きていくから、心配しないでね。




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