事件の予感
困った事になりました。マグナさんの家の家事全般を預かるフィーネです。
トウカちゃんが新しく家にやってきて、世間知らずの発言でみんなを困惑させているけど、みんなで楽しくやっています。
で、肝心のマグナさんはというと、相変わらずでした。
今日もお仕事から帰ってきたら――。
「みんな集まってくれ。今日からこの子も家に住むことになった」
また女の子を連れ帰ってきたんです!
すごく不思議な髪の色をしている子で、白い髪の毛の毛先は金色に染まっています。
肌は泥一つついたことないんじゃないかってくらい綺麗で、唇は綺麗なピンク色なの。
ハーフエルフのあたいから見ても反則的にかわいい。お人形さんみたいな可愛さです。
綺麗な部屋でオシャレな椅子にちょこんと座って、紅茶を飲んでいる姿が似合いそうな人だなぁって思う。
子供たちは新しいお姉さんに喜んでいるけど、あたいはマグナさんに耳打ちされて、困って笑うしかありませんでした。
「相手は女王さんだけど、いつも通り振る舞って欲しい」
「ははは……。分かりました」
本当にマグナさんは誰が相手でも分け隔て無いんだよね。
そこが良い所でもあって、あたいも救われたところなんだけど、ちょっと鈍感なのがたまに傷。
そういう意味では、ちょっと変だ。いつもの身分とかを気にしないマグナさんなら、その子が自分から言い出すまでその子の出自は言わないんだから。
「今回はちょっといつもと勝手が違うみたいですね?」
「よく分かったね」
「マグナさんとの付き合いも長いですから。事情を説明してくれたってことは、お仕事ですか?」
「その通りだよ。依頼は女王の暗殺だった」
「どうやら込み入ってそうですね」
「そうなんだよね。後でリンファとトウカを交えて話すから、この後、俺の部屋に来て欲しい」
そう言ってマグナさんが教えてくれた話は、これからもっと大きな事件が起きるだろうと予感させるには十分過ぎる内容でした。