表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/48

卒業旅行のふたり おまけの帰り道

   卒業旅行のふたり ―――おまけの帰り道―――


「ところで、玲、伊藤さんとどういう関係?」

 帰りは旅っぽい雰囲気のために町田までロマンスカーに乗ることにした。玲がどうしてもというので、夕食は駅弁。

「どういう?」

 駅前で買ったロールケーキもデザートにつけて、玲はご機嫌で弁当を頬張っている。

「俺、ふたりを紹介したことなんかないよね?」

 というか、俺はそもそも玲を誰かに紹介したことはない。玲はよく友達に俺を紹介してくれるけどね。

「うん、でも、宗ちゃんの部活の先輩でしょ?」

 伊藤さんは玲をものすごくマネージャーにほしがっていた第一人者だったから、俺はその点かなり警戒してたはずなんだけど。

「伊藤さんの引退試合の日の帰りに、告白されたの」

「はぁ?」

 つまんだはずのたくあんが箸から落ちそうになった。

 伊藤さんの引退試合の日は俺の高校初の公式戦出場の日だった。玲は弁当を差し入れてくれて、一緒に帰ろうといったが、友達と約束があるからと断られ、俺は一人で帰った・・・なのに?

「ちょっと待って、あの日は確か、帰りは友達と約束してるって・・・」

「うん。だから、伊藤先輩と約束してて」

「いやいや、伊藤さん玲の友達じゃないでしょ?」

「うん、だけど、伊藤さんが宗ちゃんにはそう言ってほしいって」

 俺より伊藤さんのいいなり?

「で、付き合ってほしいって」

「は?そんなの聞いてないよ?」

「だって、私、お断りしちゃったから・・・そんな話したら、引退だってわかってても、宗ちゃん、伊藤さんと気まずくなるでしょ?」

 そんな配慮いらないんだよ!

「だから、『三井には内緒にしておいてほしい』って」

 しかも伊藤さんからの配慮?

「でも、もう時効かと思って」

 玲がにっこり微笑んで弁当を頬張った。


 伊藤さん、俺の玲に手を出したことに時効は存在しませんよ?







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ