ラブコメ主人公は童貞が多い
「裸無米ー!また私を置いて学校来たなぁ~!」
「やれやれ」
「なーにがやれやれよ!もう~、私を置いて学校行くなって何回も言ってんじゃん!」
そう叫んでいる金髪巨乳の彼女の名前は、あやめだ。
俺の幼馴染みで、よく昔からつるんでるやつだ。
いわゆる、腐れ縁ってやつさ。
「あー、今腐れ縁って考えてなかった!?」
「な、なんでわかるんだ?」
「私はね、裸無米のことなら何でもわかるんだから!」
「やれやれ…」
「あら、相変わらず仲良しね。そのまま、結婚しちゃえば良いのに」
こいつは、あやめの親友の、ちさとってやつだ。
赤い髪がよく似合う、巨乳の美少女なのだ。
「あー!裸無米!今変なこと考えたでしょ!やっぱり、あんたも大きいのが好きなんだね!さいってー!」
「大きい?なんのことだ?」
「そそそそ、れは、むむむ、胸にき、きまってるでしょ!何て事を言わせるのよ!変態!」
そう言うと、あやめは顔を真っ赤に染めていった。
自分で言ってるじゃないか。
やれやれ。
「あら、先輩おはようございます」
そして、今度は後輩のかなみがやって来た。
巨乳で、そして、青い髪が、ポニーテールにまとめられ、かなみの美少女っぷりを更に加速している。
「ちょっと、かなみちゃん、聞いてよ!裸無米が、胸の大きさで女の子を決めるんだよ!」
「せ、先輩。ほ、本当ですか?」
「やれやれ」
「おー、集まってるじゃねえか!裸無米ー、今度こそ付き合ってもらうぜ?」
そして、今度は真っ赤な髪をした、頬に傷のあるあかね先輩だ。
こちらも、中々の巨乳である。
「あー、ダメですよぉ!裸無米は私と…」
「えー?私と?」
「ななな、何でもないですっ!」
「ほほう、何でもないんだな?なら、私が貰っといてもいいんだな?」
「それはだめですよぉ!」
「だとさ、どう思う?裸無米?」
「やれやれ」
この四人全員俺の友達だ。
そして、全員処女で、全員俺のことが好きだ。
まったく、困ったもんだぜ。
「あの、あのね…」
あやねだか、なんだか、がもじもじしらなが、俺を見ている。
多分あれだろう。
ありがたい。
こいつらがいれば、昼飯代は毎日ただなのだ。
「弁当、今日も作ってあげたわよ!感謝しなさいよね!」
「やれやれ」
「ふ、ふん!」
そういって、あやねがそっぽを向き、どっかいった。
確か、あやねが俺を好きになったきっかけは、苦手な犬からかばってやった時だったな。
一回犬からかばってやっただけで、毎日ただで飯が食えるなら、安いもんだったな。
「あ、あのさ…」
今度は、あやねの親友の、かなめ?
とにかく、巨乳のやつが話しかけてきた。
「私も、作ったの。嫌だったら食べなくてもいいから」
「やれやれ」
また弁当が増えちまった。
邪魔くせえな。
取りあえず中身を確認してみた。
すると、高級食材がズラリと並んでいるではないか。
俺はすぐに、金髪の巨乳の弁当箱をごみ箱に捨てた。
こっちのほうがうまそうだ。
「せ、先輩。あ、あのですね…」
俺が、うきうきと弁当を楽しみにしていたら、また、巨乳が話しかけてきた。
今度は、青い頭の後輩のめぐみだ。
「今度一緒に映画見に行きませんか…?結構人気の映画でチケットとるのに苦労しましてけど、先輩と行きたいんです…」
「やれやれ」
チケットとるのに苦労しただと?
恩着せがましいやろうだ。
とにかく、そのチケットを受け取った。
「行ってくれるのですね!誘って良かったぁ~」
彼女は、なぜか涙を流し始めた。
俺も良かったよ。
ネットオークションで売れば、それなりの金がただで手に入ったからな。
泣きたいのは俺の方さ。
「がっははは!裸無米!付き合え!」
今度は赤髪の巨乳だ。
もう、名前も覚えていない。
「胸を揉ませてやるぞ?」
ん?
「どうだ!付き合う気になったか?」
「やれやれ」
「なめさせてもいいぞ?」
「や、れや…れ」
「匂いもかがせてやる」
もう、やれやれキャラなんざ糞っ喰らえ。
「付き合いましょう。今すぐに!」
「そう言うと思ってたぞ!取りあえず、放課後、部室までこい!」
「はい!」
よし、今から放課後が楽しみだ!
そして、どうでもいい授業を受け終えて、俺は部室へ向かおうとした。
「ちょっと、裸無米どこ行くつもり!?一緒に帰るわよ?」
しかし、金髪巨乳に腕を捕まれた。
くそっ!
「……なせ…よ」
「なに?聞こえないわよ!」
「はなせよ!」
「いやよ!また、他の女の子にちょっかい出すつもりでしょ!?」
「いや、マジでそういうのじゃないから!」
「えっ?そういうの?」
「そういうのじゃないからぁ!マジだから!そういうのじゃないからぁ!」
「え、えっ?きもっ…」
そして、俺は何とか腕を振りほどく事ができ、部室へ急ぐことにした。
しかし、今度は青い巨乳のやつが来やがった。
「あら、先輩…」
「あら、先輩じゃねえよ!普通の女はあらなんか言わねんだよ!痛いんだよ!キャラ作ってんじゃねえよ!どけよ!」
「えっ?」
「おっぱい見に行きてぇんだよぉ!」
俺はそう叫びながら、青い巨乳をかわし、廊下へ出た。
しばらく走って、廊下の角で曲がろうとしたら、こんどは金髪巨乳の親友にぶつかった。
「糞がぁ!今時まだ曲がり角でぶつかってんのかよぉ!何年間このやり取りを見てきたんだよぉ!学習能力マイナスですか?いい加減にしてくれよ!おっぱい見てぇんだよぉ!」
「え、えっ?」
「え、えっ?じゃねえーよ!どけよ!みんな同じリアクションと顔なんだよ!違うのは髪の色と形だけじゃねえか!ふざけんなよ!名前も似てて覚えられねぇんだよ!消えろ!」
そして、俺は最後の壁を越えて、部室にたどり着く事ができた。
道のりは長かった。
しかし、決して無意味なものではなかった。
決してなかった。
俺は意気揚々、扉をあけ、そこにいる、赤巨乳に声をかけた。
「おっぱいみせろや!」
「えっ?」
「もう、そういうのいらねえんだよ!」
そして、強引にシャツを脱がせ、おっぱいと目があった。
きた。
ついに来たのだ!
来たのだが……
なんだか、違和感が…
「お、おいなんか妙に張ってないか?シリコンか?」
「がっははは!そうだ!何て言ったって私は…」
そう言うと、赤巨乳はスカートを脱いで、下半身を露出させた。
「男だからな!」
「くそっ!くそっ!くそっ!」
男の娘設定とかいらねえんだよ!
んだよぉ!
ちくしよーがっ!
「こ、これは…」
そして、うしろから声が聞こえた。
金髪、青い、金髪の親友の巨乳がそこに立っていた。
「きも…」
「きもいです…」
「きもいわー」
こうして、俺はラブコメの主人公の座を失った。
しかし、悲しくはない。
俺にはまだ、母や、姉、妹の選択肢が残っているのだから。
そう、ラブコメの主人公は無理でも、まだエロゲーの主人公の可能性は残されているのだ。
因みに、この三人も全員処女で、全員俺の事が好きなのだ。