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春の日に
離婚届を見ていた。
ひたすら、離婚届けを見ていた。
じっとりとした目でその紙っぺらを見ていた。
あー、こんなはずじゃなかった。
予想だにしない出来事だ。
でもな、コレで良かったのかもな。うん。そうだよな。
でもな・・・
の繰り返し。
錦糸町に近い公園の脇の5階立てのアパートの2階の一室。
午後8時、隣りには妻
目の前のテーブルには妻の名前が記載された離婚届が一通
「早く書いてください」
とだけ言って後は無言の妻
コレを書いたら終わり。
全てが終わり。
色々な想いがグルグル周る
半ば自棄になって書き記した自分の名前の横に勢い良く判子をポン!
「コレでいーんでしょ?」
無言でそれを受け取ると、そそくさと帰り仕度をする妻
今まで暮らしてきたのに、既に他人の家と言わんばかりの態度。
この人とも情ともまるで無い態度に、ググッと怒りが湧いてきたが、すぐにその怒りもしぼむ形となった。
「じゃあ荷物は後日取りにくるから」
とだけ言い残し、妻は本当に出て行った。
ウソだろ!!
と、嘆いた。
春が始ろうとしていた季節のことだった。