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続・運び屋ジョニー

作者: 神城祐也

 おいらは、運び屋のジョニー。

 国一番の力持ちで、どんな物でも、お茶の子さいさいで運んで見せるぜ!!




 前回は、とんだ大失敗を見せちまって、小っ恥ずかしい限りだったけど、おいらはそのぐらいじゃめげないぜ!!




 ……いや、女王様に怒られたのは、ホントにショックだったけど……。




 と、とにかく、めげないんだぜ!!

 ホントだぜ!!




 今回の任務は、花の蜜集めだ。略して、蜜集めだ!!




 ……うん。何の捻りもない、そのまんまだぜ!!




 さすがに、今回は失敗しないぜ!!

 なんてったって、花の蜜を集めに行く運び屋は、おいらだけじゃないからな。

 だけど、おいらは国一番の力持ち、他の運び屋たちよりも、より多くの蜜を運んで見せるぜ!!

 だから、蜜を貯め込む袋も、他の運び屋たちよりデカいんだぜ!!






 おいらは、他の運び屋たちと共に国を出て、しばらく歩くと、蜜が溢れ出ているという、目的の花に辿り着いたんだ。




 ところが……。




 そこには先客がいたんだぜ……。

 おいらの宿命のライバルとも言うべき、恐ろしい武器を持った……、奴らが……。


 そいつらに威嚇されて、他の運び屋たちは、一目散に逃げ出しちまったぜ……。


 まったく、情けねえ奴らだ。あいつらと一戦交える気概のある奴はいねえのか。






 …………え? おいら? 無理無理、だってあいつら武器持ってんだよ、かなうわけないじゃん。






 悔しいけど、おいらも、もちろん逃げ出したんだぜ……。




 だけど、おいらは、このくらいで諦める男じゃないぜ!!

 花の蜜を貯め込んでいる、奴らの城に潜り込んで、その蜜を横取りしてやるぜ!!






 名付けて、運び屋ジョニー花蜜強奪大作戦!!






 ……うん。長い上に、何の捻りもないぜ。




 そして、おいらは変装して、奴らの城に潜り込んだんだぜ。

 苦労したぜ……。

 何で奴らは、こんな高い木の上に城を作りたがるんだ……。



 とにかく、ここに蓄えられている蜜をこっそり頂いて、国の皆を、あっと驚かせてやるんだぜ!!



 おいらは、花の蜜が蓄えられている部屋を探して、奴らの城をくまなく探索したんだぜ。

 そしたら、おいらは、見てはいけない物を見てしまったんだぜ。


 何匹もの、芋虫みたいな奴が、ウネウネと動き回ってる部屋があって、おいらは、その芋虫の1匹に見つかってしまったんだ。


 奴は、おいらを餌だと思ったらしく、口を大きく開けて向かってくるじゃねえか。

 おいらは、食われてなるものかと、必死に逃げ回ったんだ。


 そうこうするうちに、おいらは、花の蜜が集められている、目的の部屋に辿り着いたんだぜ。

 おいらは、運が良いぜ……。というより、逃げる途中で気がついた、甘い匂いに誘われてきただけなんだけどな。


 そんで、花の蜜集めにと持ってきておいた袋に、ここの蜜をたっぷり詰め込んで、持って帰ることにしたんだけど……、ここで一つ、大きな問題ができたんだ。




 おいら、さっき、芋虫みたいな奴から逃げるため、あちこち走り回ったんで……、出口が分からなくなっちゃったんだ。




 また、さっきの奴らに出くわしたら、やだなあと思ったんだけど、いつまでもここにいるわけにはいかないんだぜ。

 おいらの変装も、いつばれるか分からないし、目的達したんだから、さっさと逃げないといけないんだぜ……。


 おいらは、抜き足差し足忍び足で、恐る恐る、この城の出口を探したんだ。




 でも……、案の定、あの芋虫に見つかっちまったんだ。しかも、今度は、1匹だけじゃないんだぜ。

 見た限りじゃ、ウネウネしてるのが、5匹くらいは、いそうだぜ。




 もちろん、おいらは、一目散に逃げ出したぜ。




 だけど、なぜか今度は、逃げ切れないんだ。今はまだ、追いつかれこそしてないけど、奴らとの距離がどんどん縮まっているんだぜ。


 なんでだよ〜。なんで、あいつら、足が速くなったんだ〜? って思ったんだけど、別に、あいつらの足が速くなってたわけじゃ、なかったんだぜ。

 さっきは、蜜を袋に入れる前だったから身軽だったけど、今は、背負った袋にたっぷりの蜜が入ってるから、その分重くなって、おいらの足が遅くなってただけだったんだ。


 何にしても、このままじゃ捕まる〜。と思ったところで、おいらは出口に辿り着いたんだ。


 おいらは、助かったと、嬉しさのあまり、喜び勇んで飛びだしたよ。






 でもね、おいらはこの時、大事なことを忘れてたんだ……。






 この城が、『高い木の上に作られていた』ということに……。






 だから、出口と思って飛び出した先には……。






 足場がなかったんだ……。






 ……うん。もちろん、落ちちゃったよ……。おいらには、羽が無いから……。それはもう真っ逆さまに落ちたんだ……。死ぬかと思ったぜ……。

 幸い、蜜がたっぷり入った袋がクッションになったんで、無傷で済んだんだけど……。


 もう、いろんな意味で危なかったぜ……。




 でも、奴らの城から、しっかり、取る物は取れたし、後はこの蜜を、おいらの国に持ち帰ればいいだけだぜ。


 おいらは、袋を背負い直すと、自分の国に帰るべく、歩き出したんだ。






 おいらはもう、してやったりの、ルンルン気分だったけど、またしても、大変な事態が待ち受けていたんだぜ……。






 せっかく苦労して、奴らの城から蜜を持ち帰ったのに、おいらの国についた時には、蜜がほとんどなくなってしまってたんだ。

 調べてみたら、たっぷり蜜を入れておいた、おいらの袋に、小さな穴があいちゃってたんだ。


 ……たぶん、奴らの城から飛び出して、真っ逆さまに落ちた時に、出来ちゃったんじゃないかと思うんだ……。


 おいらはもう、ショックで泣きたくなったぜ……。死ぬかと思うほど苦労したのに……。






 でも、大変な事態は、これだけじゃなかったんだぜ……。






 次の日の朝、起きたら、国中が騒がしかったんだ。

 おいらの国のすぐ外で、あの宿敵達がブンブンと飛び回ってたんだ。

 見つかってないのに、なんで? と思ってたら、他の運び屋が、国の入口近くで、甘い蜜が落ちているのを見つけて来たんだ。


 その蜜とは、おいらが昨日、奴らの城から持ち帰った、あの蜜だったんだぜ。


 どうやら、おいらは、奴らの城から、蜜を垂れ流しながら、持ち帰ったらしく、奴らに蜜が盗まれていたことに気付かれてしまったみたいなんだぜ。






 ……もちろん、その後、おいらは、女王様に呼び出しくらって、すごく怒られちゃったんだ……。






 どんなに頑張ったって……、やっぱり、泥棒はいけなかったんだぜ……。






 またしても、おいらは1人、国の片隅で泣いてたぜ……。






皆さん、こんにちは。神城祐也です。


続・運び屋ジョニーはいかがだったでしょうか?

楽しんでいただけましたか?



前作を、あとがきまで読んで下さった方は、ジョニーの正体を分かってると思いますが、一応、3択クイズの答えを載せますね。


前作、あとがきに載せたクイズは、実は3択とも正解です。

当たり前ですね。ひらがなとカタカナと漢字で書いただけですから……。






では、今回のクイズです。




ジョニーが宿命のライバルと言った、相手は誰でしょう?


ヒント1 背中に羽があります。

ヒント2 お尻に鋭い針があります。

ヒント3 ブンブンと飛び回ります。

ヒント4 花の蜜を巣に運びます。

ヒント5 ジョニーの国と同じで、女王様がいます。


さあ、分かるかな? 分かるよね?

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